人は昔から、他界にこの世の理想を描いてきた 

(それは、極楽浄土であったり、天国であったり) 

僕らは、いつ他界を失ってしまったんだろう・・・・・ 

こんなにも彼岸を忌諱するのは、何故なんだろう・・・・・ 

僕らは、やがて失った半身(彼岸)を正当に取り戻し、等身大の 

自然でふくよかな有り様を思い出す

 

 Today's image index
 2010
04/06  厨子展を終えて
個展前 
gallery 2.0 Finale 
gallery2.0 No.3 
続 gallery2.0
gallery 2.0
コーチ免許更新
徒然
土偶展 
新年
正月

AXIS
Today's image index
2009
大晦日
 年の瀬
師走  
個展開催(陶彩)
  個展間近   
 個展準備 
 立冬 
秋なのか 
『砧の音が風にのる』
プチ同窓会 
オリンピック招致
 奥日光
 
Table完成  
 初秋
選挙
食あたり? 
 お盆
 徒然
夏祭り 
作るということ
 
アメリカンクラブ展示open
展覧会直前  
梅雨の晴れ間 
祝 W-Cup 出場!
アメリカンクラブDM 
忌野清志郎の詩  
SAVOIR VIVREの器
草彅報道
 花 見
(続)耳寄りなお話
耳寄りなお話
彼岸
湯飲み
確定申告の季節
「おくりびと」
別冊マーガレット
昼の月
アメリカンクラブ      
正月明け
元旦
謹賀新年


三ツ星 file index
人間って素晴らしいと願うあなたに
大工牧野 恋するミトコンドリア?
大工牧野軍団 博士の愛した数式
中田の憤死 白川静
名  人 卒業おめでとう!
 「つわり」のこと 空間の偏り
最近笑ってないな~と気付いたあなたに
本屋の Ben-i  玉虫
大学受験面接 続・恋するミトコンドリア
新粉筒 奥日光
エピステーメ ペット
しゃがれ声 南伊豆
  結婚と人生を振り返る?   山本モナが好きだ
家族って何だろう・・・・ふと立ち止まるあなたに
猫がきらい 自分を引き受ける
朝のリレー 涙っていいな・・・
サッカー部復帰 悪魔のヘルパー
僕の町(沼間)
恋愛(性)を慈しむあなたに
十代の恋 チャングムの誓い
雨上がりの桜 荒井由美のリビドー(性)
季節の風に吹かれてみたいあなたに
物憂い秋 大犬のふぐり
平安からの風
耳掻き 吾輩は主婦である
秋は煙 東京が好きだ
曇天 立秋
つわり 夏の臭い
小津安二郎の世界 星に願いを
薫風
木の実 明日香村石舞台
腑に落ちない社会に気付いたあなたに
男女共同参画社会 暴力の根元について
伊豆(地域の空洞化) 「沼」はダサイ?
宗教について 最近の子はよく寝る
介護の問題 8月15日
サービス残業0法案
無力な政治に気付いたあなたに
柳沢発言 ロンドンの自爆テロ
イラク増兵 すねの傷
アートの力を信じたいあなたに
年賀状制作中の巻 邦画『GO』と「n個の性」
石原慎太郎とのこと 東京再開発
超資本主義の中の工芸誌 中国現代美術の動向
民芸館 「厨子三様」
chain saw
手探りのキッス 「お・ばんざい!」(死について)
ハマヤキ  CMのこと
My favorite things
万年筆 植木等
ダイソー のCD リフティング
タモリの名言 VW TYPE Ⅱ
  since 1999
































中原中也 file index
short essay
小林秀雄
盲目の秋
梅雨の晴れ間
春の予感
中也詩椀

工芸の現在
はじめに
マニュファクチャーと付加価値
伝統工芸産地の今
新たな流通の確立へ
生活スタイルを決める経済
理想の生活スタイル
退潮著しい伝統工芸
<消費>について
続<消費>について




Home index




充実した個展だった。



予想していた通り、六本木という”虚”の空間に、すんなりと僕の厨子は収っていた。

(永 坂)











(名もない坂)
東京は坂が多い。この地六本木も、ちょっとした路地を曲がると、そこには名だたる坂が待っている。「暗闇坂」「芋洗い坂」「永坂」・・・・



その路地の向こうに見えるのが六本木ヒルズだったりするが、フッと都市の中で希薄になった他界が見えるようなクラックがある。瞬間、江戸の大名屋敷が立ち現れる様な気がする。



今僕らの眼に見えている風景の遙か向こうに、昭和、大正、明治、江戸、安土桃山、室町、鎌倉、・・・弥生・縄文と堆積した時空の層がある。その時空を遡れば遡るほど人間にとって他界は身近にあった。現代ほど他界から遠ざかった時は他にないんじゃないだろうか。。

(名もない坂)
今回、何人かの方から「どうして厨子を作るようになったんですか?」という質問を受けた・・・・・



そう、僕の修行した鎌倉彫の出自は仏師だ。

この世界に入って最初に叩き込まれたのが、古典の笈(修行僧が行脚のため背負った厨子)の文様の模刻だった。
 
160年前、欧米列強の圧力により鎖国を解き、僕らの国は明治維新を迎えた。天皇を中心に据え、国家をまとめ近代化に向かった。その時仏教は、神道一本で日本が一丸となるためノイズと見なされ、廃仏毀釈によって破棄される運命を持つ。



当然、仏師達の多くは職を失ったが、幾つかの工房では仏師としてのプライドを捨て、それまでのリソース(知的・物的・人的資産)を日常使いの工芸(主に盆皿etc)に転用して延命を図った。



結局、上手くいったとは思えない。特に戦後は危機的状況に陥り、超裏技で思いついたのが「お教室」というサロン化されたお稽古として生き残る道だった。当時は、鎌倉文士と呼ばれた川端康成・小林秀雄・中村光夫などの著名な文化人が住み、鎌倉は一種独特の知的な空気が流れていて、彼らの内何人かが株主となってこの「お教室」を盛立ててくれたと聞く(僕も小林秀雄宅に特注の盆を届けにあがったことがありました)。
 
(蓬莱紋笈)
いまの 日本で、仏事が未だに色濃く残るにも拘わらず、表向き廃仏毀釈が解かれたといった話は聞かない。今も表と裏の顔をもって僕らは生きている。それは、社会が無機的に整備された現代でも同じだ。



現代人が、限りなく死から遠ざかったように振る舞っても、人は必ず死を迎える。そして、現代医学は「生」しか目に映っていない。まるで「死」が悪であるかのようだ。こういった姿勢は、偏った人間観しか生み出さないと危惧するのは僕だけだろうか。
 
「蓬莱紋厨子」
僕は、このところ縄文に惹かれている。もちろん美術に関わるものとして、縄文時代が遺した土偶や土器などの美術品に魅了されていることもあるが、何より”死”への距離の取り方に惹かれてしまう。”死”を隠蔽したり抹殺したり、無視したりせず、きっちり見据えているところが凄い。なので、最近試みている乾漆のモデルも縄文型へと流れていく。















 (TITLE:「B.C.17th」 乾漆ぐい呑み)
 
 縄文の、あの一見稚拙な線刻やそれを支えるフォルムは、きっと彼らが持っていた死生観そのものが形になったものと思える。なので試作している乾漆は、縄文やそれ以前の時代のフォルムを積極的に取り入れている。何とか彼らの精神に近付けないかと、せっせと乾漆を作り続けている。



デザイン、そしてフォルムは、決して単なる形ではない。そこには、”形”を超えたある”もの”を含んでいる。僕らの「眼」は、そこを見逃さない。その”もの”こそが、ふくよかな「死」をも含んだ豊かな縄文や古代の精神なのだと思う。
 
 






































(Title:「B.C.17th」乾漆片口)
 
 「死」を含んでいない人間観は不幸です。同じ意味で”虚”を含まない人間観も不十分です。こういったことを”もの”そして、工芸を通して語れることを、僕は幸運に思っている。鎌倉彫の道に入って暫くすると、僕は「盆皿を作る工芸」ではなく、もっと人の生き死にに関わることのできる表現領域はないものだろうかと、ずっと考えるようになった。それは丁度、文学や哲学が人の生き死にに関わるように、工芸も同じ精神領域で成立できないか・・・・ずっとそう思い続けていた。



そんな僕に「新しい厨子を作ってみない・・・」と厨子の制作を勧めて下さった東京生活研究所の山田節子さんの一言が、今の流れを作ってくれていると思う。感謝。
そして、難しい僕の厨子の図面を工作して下さる会津若松のALTE MEISTERさん、そして陰日向で黒衣のようにサポートして下さる銀座厨子屋さんにも深く感謝します。
 
 
(2010年 SAVOIR VIVRE)
 
六本木という街が、どこか”虚”としてあることを無意識に感じて、SAVOIR VIVREのオーナーや店長は、今まで誰も企画したことのなかった”六本木での厨子展”を今回提案したのではと思う。そして、その直感は間違っていなかった。



六本木や銀座のような都会でこそ”今の厨子”を必要としている・・・・今回の『厨子と酒器(乾漆)展』は、そんな都市のクラックを突く試みだった。これからも、そんな都会の”欠けた”場を埋める試みとして厨子を提案し続けていけたらと願っています。




さて、ちょっと根を詰めて仕事を続けたものですから芯が疲れまして、先程草津で温泉に浸かり帰宅したところです。大分疲れも取れた様です。



秋には第二回目の「厨子展」を、銀座厨子屋さんで開きます。第一回展より更に深めた表現が出来るよう精進して参りますので期待して下さい。



では、盛りの桜をたっぷりと満喫して下さい。
 Today's image index
 2010
04/06  厨子展を終えて
個展前 
gallery 2.0 Finale 
gallery2.0 No.3 
続 gallery2.0
gallery 2.0
コーチ免許更新
徒然
土偶展 
新年
正月

page top