(ラピスラズリ)
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先日、めったに川向こうに上京しない私ですが、アメリカンクラブでの会食があり、その帰りに横浜の有隣堂に寄ったところ、丁度『鉱石フェアー』が催されていたのでちょいと覗いてみました。そこで出会った言わば宝石の原石の美しいことときたら、暫く鼻をくっつけて魅入ってしまいました(目はだったと思います)。



鎌倉彫の修行当時、美術系の大学を出ていなかった僕は、基礎的な描写力をつけなければ・・・・と画材屋さんで紹介されて日本画を習っていました。そこでは普段、水彩画でスケッチに着色する手法をとっていましたが、年に一度「本画」と称して小さな展覧会のために、正式な日本画の顔料を使って描くチャンスがありました。人間の目は、凄いもので「この色いい色だな~・・・・」と思える色は、先生が冷や冷やしているのが伝わってくるほど高価な絵の具(顔料)で、つまり宝石の磨り潰したものたちなのでした。



中でもブルー系やグリーン系のもので特に鮮やかなものは、大抵猛毒です。人間とは不思議なもので、こういった毒物に惹き付けられるようにできているようです。美しい薔薇には棘があるように、美しい色には、魔性の霊力が宿っていて人を魔界に誘い込むのかも知れません。
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(孔雀石)
僕が好きな色はというと・・・・グリーンブルーというか緑がかった青ですが、色彩の心理学によると、この系統の色を好む人は、ちと危ないとか;;;
 僕が好んで使う緑青は、天然の色でまったく毒性はありません。一般に毒性があると流布されるのは、人を魅了する色には、大抵毒性があることが多いことからではないでしょうか。以前気になって工業指導所に問い合わせたこともありますし、わざわざ大学の教授に問い合わせた方からのお話を伺ったことがあります。何れも毒性はないというお応えでした。



「色」と一口に言っても中身は大変深いものがあります。巨匠白川静氏によると、色とは人の後ろにまた人がおり、抱く形で相交わることをさす・・・とあります。まっその.......婚いのことをさすわけであります。英雄色を好むの色、そして、色気の色になります。因みに色彩ですが、白川氏によると多くは草から染料として「いろ」をとったので、古くは「菜」の元の文字「采」を”いろ”とよんだということです。



それにしても色とは不思議です。「ものには固有色はない」といったのは、印象派の画家達に大きく影響を与えた当時の光学者達でした。美術といえども、いつでも時代の最先端の知識を導入して「新しい見え方」を追い求めるものです。



一般に色とは、ものに反射する波長(あるいは吸収された光を除く波長)の種類によって様々な見え方となると伝えられていますが、実はそのメカニズムは、そんな簡単なものではないようです。上の画像にある孔雀石ですが、その組成は炭酸銅であり8面体の先端に位置する「炭素基」が銅を囲む構造になっていて、それ故、濃い緑色を呈しています。しかし、この「炭素基」2つがOH2つに置き換わると、鮮やかな青色の藍銅鉱となるようです(「色彩」創元社より)

(魚の化石)
そんなマニアックな鉱石をどうするつもりだ・・・・・・とお思いになるかも知れませんが、実は、ず~と前から、70%の出来で放ってあるオブジェがあるのですが、それに象嵌する素材を探していたのですが、ラピスラズリや孔雀石は、これにぴったりなのです。だからといって高価な宝石類だけを選んでいるのではありません。そこに象嵌するのは、何も宝石とは限らないのです。本物の化石も埋め込もうと思い『鉱石フェアー』で購入しました。どれも、ジッと魅入ってしまうものばかりです。



他には、以前葉山の海岸で拾った焚き火後?のゴミやコンクリートの破片もあります。これらは、僕にとって総て等価なもの達です。宝石だから価値があったり、ゴミだから価値が低いということはありません。すべて同じ重さの価値を持っています。これらを同列で置くことによりそれぞれが、それぞれを輝かせるというコラボを醸し出します。それが狙いです。






























(テレフォンカード?)













(葉山海岸の漂流物)
すいません;;;都議選の結果をTVで観ていたら更新が遅れてしまいました。



今、残すところあと6日となりましたが、アメリカンクラブでの展示は続いています。この会期中、僕を推薦して下さったTさんの友人(初等科当時からの方もいらっしゃいました)二度ほど12・3人の方とお話をする機会がありました。全員が聖心のご出身なので、中にはご主人とともに海外へ赴任された方もおられ、ロンドン・スイス・ミヤンマーなど数カ国を外務省のお役人の夫人として色々な経験をなさったお話を聞けました。



皆さん一応におっしゃるのは、嘗てのような右肩上がりに経済が推移する時代は過ぎた・・・ということ。ここは、多少暗いイメージでもヨーロッパのような落ち着いた円熟さを見習って上手な歳の取り方(国家も一生命体とし)をすべきでは・・・という話になりました。皮肉にもアメリカンクラブ内で、アメリカを手本にする時期から、ヨーロッパ型の社会を手本にした方が良いんじゃないか・・・・という結論が出たのはとても象徴的なことでした。



僕自身も前々から述べているように、北欧型とまでは行きませんが、これからの日本は、ヨーロッパ型にシフトした方が社会に馴染むと思っています。アメリカのような環境にない日本は、アメリカのような自己責任一辺倒では、ますます社会は疲弊してしまいます。



 よくアメリカは、製造業を降りて金融に行ったといわれますが、一面当たっていますが、見落とされがちなのは、日本は製造業が強いということになっていますが、世界優良企業100の内日本はたった8社しかは入らないのに、アメリカは20社以上入っているという事実です。アメリカは、製造業も日本以上に強いのです。そして、資源も土地もふんだんにあります。そんな国を日本がモデルにすることは馬鹿げています。勿論、成熟した民主主義や、積極的に情報公開する姿勢は学ぶべきだと思います。
 












(たかがゴミですが、加工するとこんなに輝きます)
 
色から社会へ話が飛んでしまいました。色についてはまた改めてお話ししたいと思います。



底が抜けてしまった日本。嘗てのような体力をなくした日本は、きちっとしたセイフティーネットを築かないと未来は真っ暗です。差し迫った総選挙では、日本国中に張り巡らされた既得権益のネットワークをリセットする意味でも政権交代は必要でしょう。何か面白くなってきました。



というわけで、ゴミやラピスラズリなどを使った壁面作品を何れ完成したいと思います。とても面白いものが出来そうな予感がします。請うご期待。



色々話が飛んですみませでした~。。
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