(AXISへの道.............永坂   「タモリの坂道美学入門」より)
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久し振りにSAVOIR VIVREへ...........



五月。  風が気持ちいい。

陽気もよく、
お気に入りの中折れ帽を被り、地元『珠屋』のケーキを携えて、いそいそと一路六本木へ。

 このところ、昔六本木の代名詞でもあったアマンド側は、ドンキホーテなどが進出し、どことなくケバく猥雑すぎるので、麻布十番から飯倉片町へと続く永坂をのんびりと登るルートを選んでいる。
 
(その名の通り、かつては麻布十番駅につづく長い坂だった・・・・とタモリの「坂道美学入門」に紹介されております)


この道は、発表の拠点を渋谷『工雅』から六本木『SAVOIR VIVRE』へと移し、期待と不安で胸躍らせて搬入を繰り返した、僕にとって特別な『道』でもある。
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(SAVOIR VIVREの器)
上の陶器は、元SAVOIR VIVREのスタッフで陶芸家の池田さんの器です。どぶろくにぴったし・・・・と昨日求めました。全く艶のない、土そのものといった風の器です。これで、愛知は半田市の中埜酒蔵のにごり酒を注いで飲んでいる♪
 澄んだ日本酒はガラスの器が似合うが、どぶろくには、土臭い器が何ともいい感じだ。。僕は、所謂飲兵衛ではないので、玄人好みの辛口は好みではない。濃淳な旨味をもつ甘口が好きだ。なのでこのところ濁り酒を好んで飲んでいる。



上の器のように、加飾のない陶芸表現を目指す作り手は、土そのものを源に据えるスタイルに立脚するのが自然だ。この器も、底流にそれが流れている。所謂ミニマルだが、アジアにおけるミニマル表現は、その基礎単位が欧米のように正方形や立方体にはならず、日本における根源的な最小単位は、どうしても『自然』になる。



つまり、表現の根源を問う姿勢が、欧米のように正方形や立方体という、あくまでも人間の構想する観念ではなく、日本の場合「自然」そのものに成立の根拠を置くように思える。その意味で、日本におけるミニマル表現は欧米のそれとは大いに異なり、純粋な意味でのミニマルな表現は成立しないように思う。


所謂「土もの」と呼ばれる表現があるが、それらは土そのものが表現を支える最も根源的な支持体(=単位)になっている。そして、すべてを人為で加工するのではなく、どこかに人の手を加えない「自然」を敢えて残すところに、ある奥ゆかしさや自然への畏怖を表し、「観念」でごり押しするのではなく、そこには、一歩引いたところで成立させる謙虚さのようなものがある。僕ら日本人の多くは、こういった表現を好む。
上の陶器は、所謂”土もの”ではなく欧米の洗礼も受けているのが見て取れるが、色や装飾を入れず「土の質感」と「フォルム」だけで押してゆくという意味では、”土もの”に近い。
鉛筆画のデッサンのように、モノクロで描いた方が、より純粋な観念を表現として伝えやすい・・・・・といった観念にも似ている。色や加飾は、そういった姿勢にとってノイズになってしまう。



この辺の話は、コラムやエッセイとして語った方がよかったかもしれません。
どぶろくを飲みながら書いていると、つい地が出て硬い表現になってしまいますがご勘弁を。つづけます;;;



以前、「ミニマルな器」でも指摘したように、最近は調理法も素材そのものを引き立てることに特化しているので、その意味で料理自体がミニマル表現になっているともいえる。もはや、ミニマルは文化の中枢にでんと居座るほどに、スタンダードで且つベイシックなものになっているのだろう。

(竹本亜紀 作)
丁度SAVOIR VIVREでは、「竹本亜紀 ガラス展」が企画されていた。加飾をどう表現の中に組み込み生かすかが、重要な作家のテーマだと思えるが、細工されたパーツを幾つも重ね合わせて一つの単体を形作るその手法は、とても手間が掛かり割の合わない作業にみえる。



ミニマルの対局にある「装飾」という表現の有り様は、何よりも作家にとって、表現を支える核ともいえる根源的な欲求なので、作業現場では採算は度外視して取り組んでしまうものだ。作家として生きてゆく上でこの点が一番難しい。





















僕のモニターには、ほぼ原寸大に映っていますが、みなさまの目にはどう映っているのでしょうか...............。



色がみえる箇所は、それぞれが加飾された七枚のガラス板を重ね合わせられています。その他も目で確認できただけで五つのブロックで構成され、それぞれが違った細工と質感をもっています。ガラスのような硬質でヌメッとした質感は、デジカメの得意とする描写ですので結構上手く撮れているように思うのですが、どうでしょうか・・・・・。



いまのマーケットの中で「作家」として自立するということは、手間(=仕事量)と価格設定をどうバランスをとるかが重要です。特に加飾を表現の核に据えたいと思う作り手は、その点難しい課題を抱え込むことになります。李朝風のものや、民芸風のものでしたら加飾をおさえて「あじ」で攻めますから、マーケットに食い込む際、価格設定が、(仕事の手間)≠(価格)という具合に、仕事量と価格が比例しないので、加飾のあるものに比べて多少は楽にみえます。



装飾に魅了されてしまったものは、終生この課題を抱え込みながらものを作り続けなければなりません。尚かつ手仕事に拘り、機械化の難しい表現は、二重苦三重苦ということにもなります。鎌倉彫の世界に入った僕には、そのことが痛いほどよくわかります。でも、その辺を乗り越えて「装飾」に拘り、いいものを作り続けていって欲しいと思います。
   
 さて、今我が家で一番ハイテクで付加価値の高いところは・・・・実はトイレです。もう我が家も二十年以上経つのであちこちに問題が起きます。いくら修理好きの僕でも付属の部品がなくなってしまうと、もうお手上げです。ホームセンターに行って代用品で凌いでいましたが限界が来ました。そこで先日、尊敬する大工牧野に頼みトイレの大改修となりました。
 ドアを開けるなり蓋が開き、用事を済ませて立ち上がった途端自動洗浄が始まる優れものです。

圧力を掛けた洗浄は、驚くほどの節水タイプになっています。修理の時、散々苦労した水槽も見あたりません。すべてコンピューターで管理されオブジェのように美しいフォルムです。設置した落合さん(優秀な水道屋さんです***人となりはこちら→file
曰く「故障したら俺たちの出る幕ねーよ」・・・・車と同じで故障は、即部品交換となり、「修理」はすでに過去のものになってきています。これも時代の流れでしょうか。



と言うわけで、作家には申し訳ないのですが、お気に入りのガラスの一輪挿しは、床の間のような我が家の聖地にオブジェのように鎮座しております。

「わー、ぴったり♪」・・・・・とかみさんも仰っております。


好い買い物をしました。   満足 満足



では、いい連休をお過ごし下さい。
 
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