7/31 マニュファクチャーと付加価値 |
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ここからちょっと硬い内容になっちゃいました。 でも、この点に触れないと本質に辿り着けそうにありません。 ちょっとだけご辛抱を!(あまりに単純化すると嘘になっちゃうので)。 分かりやすく話すのは、超〜難しい。。。 何とか今の「工芸」の現状説明へ、もって行きたいのですが・・・・・・。 |
その一つが、付加価値生産です。一つの商品により多くの付加価値を付けることにより、単位あたりの収益率をあげる手法です。それには、質の高い技術と、それに裏打ちされたデザインが必要になります。 先進国は、例外なくこの手法をもって厳しい現状を維持しています。 この視座を工芸に移すと、コンテンポラリーな意味での工芸は、もうとっくに ID (Industrial Design)という大量生産型の工業製品に取って代わられています。 つまり、多くの消費者を対象とした今の生産様式(ものを作るシステム)は、質をあげつつコストを下げなければならず、所謂「手工芸」という人の手を介した工作法から離れ、機械による安定した質と量を確保しました。 僕ら、所謂、伝統工芸に携わるものは、その生産様式が前近代のマニュファクチャー(家内制手工業)によっているので、生産効率が極めて低く、機械化できない分コストを下げることには限界があります。 詰まり、価格を決定する生産コストの内の原材料を除いて、残る工賃(人件費)が超資本主義化した社会では、極端に高くなっています。結果として市場に出す価格は高くならざる得ません。 しかし、初期資本主義社会の頃のように、原材料+生産費≒価格などといった単純な計算が今では成立しません。 第一次産業(農業・林業など)及び第二次産業(製造業・加工業)の一部を除き、今では出来上がった「もの」が、いくらに見えるかが価格を決定する全てと言えます。 そこでは、原材料がどのくらい掛かったかとか、工賃を含めた生産費がどのくらい掛かったかなどということは、価格(ものの市場価値)を規定する主たる要素にはなりません。 また、必要なものがほぼ行きわったっている先進国では、心理的(精神的)要因が、価格を決定するのに大きな役割を担っています。 |
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