gallery 2.0 (新しい画廊とは)
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AXIS 当初のSAVOIR VIVRE............... katachi 主幹の笹山氏と 1985年 )
この三月(3/20~3/28)、六本木SAVOIR VIVREでの個展がある。今年は、銀座厨子屋さんの協力を得て、ここ最近の僕のライフワークでもある厨子をメインにした展示を考えている。

六本木という、ある意味トンガッタ空間で「厨子」が、どの様に受け止められるのかとても興味深い。



同じ遊行空間とはいえ、六本木は、銀座とはまたひと味違った空気が流れている。銀座のような落ち着いた消費空間ではなく、いつも何かを仕掛けてゆくといったベクトルが働いている。なので、どちらかというと「実」より「虚」の方に立ち位置があると言えそうだ。伝統的な工芸の世界に身を置いてきたとはいえ、僕自身は、そんな危うさをはらむ六本木が好きだ。
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(SAVOIR VIVRE 1986年資料..........「卓」 photo by Fujita)
このお正月明け、今年の個展の内容を確認することも兼ねて、地元の逗子でSAVOIR VIVREのオーナーと店長と三人で飲んだ。そして、何十年振りだろうか、こんな真面目な話をしたのは。



人もgalleryも,その命は、ある”生命曲線”を描いて始まり、そして終わる。オーナーも店長も、galleryの最終章に向け、どういった姿勢を取ったらいいのか、三十年前のgallery創設期の頃に帰ったような”青臭い”話は切実で真摯に進み、ある意味爽やかだった。



これからのgalleryはどうあったらいいいんだろう・・・


(雨上がりの五霊神社大銀杏)
2009年夏、僕ら日本で政権交代が起きた。それは、今までの社会システムでは、もう国が回らなくなったと国民が気付いたということ。保守的な日本人がアクションを起こしたということは、もうとっくに社会の隅々が劣化してしまっているということも意味する。そして、このことは僕の所属する工芸や、それを支えるgalleryの有り様も、新しく向かえる社会に沿った形に大きく変えていかなければならないことを同じ様に意味している。



いま、僕らの世界は、インターネットを始めとする所謂 IT の進展で、情報の伝え方や、そのメディア
(確かSAVOIR VIVREの元の社名だったような。。)そのものが大きく変わてしまった。ラジオはもとより、雑誌や新聞などが凋落しているのは、そういった事情からだ。



僕のかみさんの様に「あたしゃ本は”紙”じゃなきゃならないし、新聞も同じように紙じゃなきゃやだね。。」といった感性も分からなくはないが、僕自身は、一機110万冊の書籍のダウンロードが可能で、おまけに一冊分の価格が半値以下とあらば迷わずe-book を選ぶ。今あるものの画面の読みにくさは何れ解消される事は目に見えているし、紙そのものへの愛着以上のメリットが文句なく e-book にはあると思う。
そういったメディアを巡る急激な変化は、僕らの生の生活も変えている。


工芸に目を移そう。

’80年代、高度成長期も終え、オイルショックも何とか乗り越えた日本社会は、やがて欧米からジャパン・アズ・ナンバーワンと呼ばれる安定期から更に高度化するといった状況に入った。「おいしい生活」といったコピーが時代の空気を巧みに捕らえ、人々は、明るくライトな生活こそが理想というライフスタイルを描いた。



galleryとは、もともと日本にあった空間ではなく、欧米のそれを真似たものだ。日本が手本とした欧米の中間層以上を対象としたgalleryは、日本に比べ比較的広い居住空間であったことで、そこで扱う美術品は、工芸というよりファインアートへの比重が大きい。当時、兎小屋と呼ばれるほど狭い日本の住まいの中で、既に床の間も無くなり壁も少ない日本の家屋では、「美」の享受は、主に工芸が担わざるを得なかった。
中原中也 file index
short essay
小林秀雄
盲目の秋
梅雨の晴れ間
春の予感
中也詩椀

工芸の現在
はじめに
マニュファクチャーと付加価値
伝統工芸産地の今
新たな流通の確立へ
生活スタイルを決める経済
理想の生活スタイル
退潮著しい伝統工芸
<消費>について
続<消費>について




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いま、「美」を演出するアイテムは、もの凄い勢いで増えている。身近なもので携帯しかり、頭の先からつま先まで身につけるものだけに限らず、持ち物を含めると数え切れないほどだ。そう言った状況の中で、galleryがそれらを凌ぐ”もの”を提案するのは、作家を含めそう簡単ではない。


加えて、galleryが”それらを凌ぐものたち”をどう揃えているかを、人に伝える手法も時代に沿ったスタイルに大きく変わらなければならない。比較的好感を持って取り上げてくれていた大手婦人雑誌にいつまでも頼っていても、雑誌というメディアそのものも危機に瀕している今、先が見えている。情報がタダで手に入る時代では、広告収入に頼る雑誌という紙媒体は、その運営が厳しくなるのは必然だ。



そして、僕の所属する工芸が時代の中で消えてゆくことはもちろん無いが、その役割は時代とともに変わっていかなければならない。同じようにgalleryの役割も進化しなければならないのだろう。行け行けどんどんの時代から,明らかに低成長がつづく時代に入った今、人びとはgalleryに何を求めているのだろう・・・・。



・・・・・・・つづく
 

















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