続・gallery 2.0 (新しい画廊とは) |
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現在のSAVOIR VIVRE |
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さて、 これからのgalleryはどうあったらいいいんだろうか・・・・・ そもそも、galleryとは何なのか・・・・。ウィキペディアによると、次のように書かれている。
galleryが現在のようなスタイルになったのは、欧米では、資本主義が発達し始めた近代化以降と考えられる。それによって大衆社会も生まれ、市民社会も形成され、それら新しい階層に向けて準備された美術を享受する空間が今あるgalleryの始まりと思われる。 日本においては、欧米に追いつけ追い越せと始まった近代化が達成されたのは’80年代辺りであろうから、galleryという空間そのものも、そんなに厚い歴史をもっているわけではない。 |
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(AXIS) |
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僕自身、工芸に携わるものなので、ここでは工芸に限定してgalleryを語ることにします。 今、僕の頭の中では、取り上げるべきテーマが次から次へと湧いて出て来ます。 ファインアートと工芸、galleryと流通市場、価格とアイデンティティー、工芸の価値と意味、高度資本主義下のgallery.etc・・・・・少し整理してみます。 ’80年代、”ジャパン・アズ・ナンバーワン”と呼ばれるまでに発展した日本の資本主義社会は、更に高度な資本主義社会へと移行し、バブルの崩壊を経た後、一昨年のアメリカの金融危機の煽りを受け今に至っています。 そして、今あるgalleryという業態は、工芸に限定すれば、常設空間と企画展示空間と棲み分けて運営すると行ったフォーマット(定型)、あるいはプラットフォーム(基盤)が’80年代に出来上がったと見ていいと思います。尚かつ、この小さな業態は、’80年代までの所謂右肩上がりの日本社会のベクトルを前提に出来ています。 多くの経済学者が指摘するように、残念ながら僕らの国日本は、今後大きく経済成長することはなく、成熟した先進諸国と並んで低成長し続けると読むのが正しいように思えます。そして、ここに来て顕著になったグローバル化は、急激な変容を社会全体に迫っています。ここで取り上げるgalleryも例外ではありません。 加えて、ITを始めとするテクノロジーの発達と、それと連動するインターネットの普及はgalleryの置かれるマーケットも激変させました。そのことは、’80年代の感覚でgallery経営を続けることをとても難しくさせています。 |
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(AXIS) |
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現在、galleryを運営するにあたって障害となっていることは何でしょうか・・・・ いろいろ考えられますが、大きく分けて僕らの外側(社会)で起きていることと、僕らの内側(マインド)で起きていることがあると思います。もちろん、これらは複雑に関連し合ってお互い変数のように関係し合っています。 外側の状況としては、景気が悪いといった経済の問題がまずあげられます。つづいて好景気が続いた’80年代以降のgalleryの増加。それから、日本社会の高度化がもたらした多種多様なアイテムの増殖とつづきます。つまり、工芸品をインテリアの一部と考えたとして、そのインテリアと対極にある所謂ファッション(エクステア)を始めとする商品(アイテム)の豊富さがあります。そして、gallery運営に限りませんが、一番のネックとなっている”地代”と”人件費”を含む所謂一般管理費が上げられます。 テクノロジーの変化は、僕らの感性をも大きく変えています。例えて言えば白黒TVで培われる感性と、カラーTVで培われる感性はまるで違います。これから3Dの時代がやってきますが、そこで喚起されるイメージは、おおよそ白黒TVが喚起するイメージとは次元が違うと思われます。そして、’80年代に時代が喚起した欲望と、現在喚起される欲望とはまるで質が違ってきています。 |
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低成長経済・同業者の絶対数の増加・アイテムの絶対数の増加、そして管理費の高騰、そして、現在の僕らがもつ欲望、あるいはマインドと言ってもいいかも知れませんが、それらが、それぞれ関数となってgalleryの運営の変容を迫っています。 これらの難問に、一筋の光を指すような事例が、先日WBS(12ch系の経済ニュース)で取り上げられていました。その報道では、都市部とは比較にならないほど地代の安い地方に移転した古本屋さんが、その特典を生かして沢山の本を蔵書し、それをネットを使って販売するようにしたところ10倍以上の収益を上げるに至ったということです。 僕自身、先月だけで10冊以上の古本をネットで購入しました。10年前『書道全集Ⅰ 中国 殷・周・秦』とネット検索しても、まずこれらの古書をネットでヒットする書店はなかったと思います。でも、今では全く様子が違って「日本の古本屋」という組織が全国の古本屋さんを束ね、お互いにネットワークを張って収蔵している古書のデーターをWEBにアップしているので、僕が必要とするマイナーな古書を簡単に手に入れることが出来ます。 |
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もちろん、工芸品と古書は違います。紙媒体としての書籍のもつ手触りを好む人がいるように、工芸品は、その質感や手触り、そして手に持ったときの重さや大きさはとても重要なファクターです。でも、嘗てのように都心の一等地に店を構え、そこそこの人件費を払い、内部留保を確保しながら運営するほどgalleryは高収益な業態ではありません。 地代と人件費という管理費を抑え、今後益々少なくなるであろう優れた作り手を捜し当て、加えて多くの魅力ある工芸以外のアイテムを凌ぐ質を揃えるgalleryになるには、今まで通りであっていいはずがありません。 工芸にとって触覚に訴えることはとても重要です。なので、”shop”という現場は必要です。でも、ネットを効果的に併用すれば一等地である必要もありませんし、バーチャルなネット上のshopは、いくら”売場”を広げても実質タダ(webにデーターをアップするプロバイダー料金のみ)ということになります。こういった実情を有効に利用しようとする者が、様々な負荷を押さえて、これからのgalleryを運営することが出来ると言えるのではないでしょうか。 凋落を続ける百貨店にも同じ事が言えると思います。現品を展示する空間をもちつつネットショップを効果的に利用すること、これなしに、これからのshop運営は不可能ではないでしょうか。 |
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様々なアイテムの増加で、相対的に少なくなってしまった全国に分散している工芸のニーズを掘り起こすには、ネットの効果的な利用なしにはとても難しいと思います。 質の高い魅力ある web site の構築による情報発信(触覚の視覚化や文章化が鍵になりそうです)。これなしに工芸を扱うgalleryの存続は考えられません。 それからもう一つ、海外特に中国からの旅行客(富裕層)に対して準備することは必須になると思います。もし、都心の一等地に居を構えるgalleryがあるとすればなおさらです。これは、僕が昨年百貨店での展示で得た実体験として感じたことです。日本の工芸のレベルは、ここしばらく中国を始めとする新興国に追いつかれることはないと思います。でも、収益の少ない今のgalleryに、そんな余力が残っているのか・・・・ちょっと心許ないところです。 それでは、具体的に質の高い魅力ある web site とは・・・・・ ・・・・・・・つづく |
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