gallery 2.0 Finale (新しい画廊とは) |
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個展が近づきつつあります。 おまけに確定申告も済まさなければなりませんので、今週は一週間を掛けて”ほぼ毎日”少しずつ書き足していく手法をとりたいと思います。なので毎日でもチェックして頂ければありがたいです。 個展が近づきますと、ありがたいことにアクセス数も倍増しますので、なるべく中身のある内容にするよう頑張りまっす。 それから、インテリア雑誌CONFORT ( コンフォルト ) 2010年 04月号 に『落書き厨子』が紹介されました。 発売日:3月5日発売 定価:¥1,800 『CONFORT』は、モダンで洗練されたスタンスをとり続けているインテリア雑誌です。これを機会に是非お求め下さい(専門書なので一般の書店では扱われていません。Amazon が便利です。送料無料で翌日届きます)。 |
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(新Mushikui-Zushi) |
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さて、これからのgalleryはどうあったらいいのか・・・でした。 四回に分けてお話ししてきましたが、結論は至って簡単です。 galleryという業態は、社会の余力で回っている様な、ある意味贅沢な商いです。今の日本のように経済力が落ちてくると、必然的にそこでの消費も落ちてきます。畢竟、その運営は国の財政の健全化と同じように”無駄”の排除、経費削減、そして成長戦略ということになります。 現在、利の薄い業態のgalleryでは、バブル以前のように、展示する商品をすべて買い取りして在庫を抱える力はなくなっています。結果として、一部の商品を除き、作り手がgalleryに作品、あるいは商品を委託して、それをgalleryが展示販売することでリスクヘッジしているということになります。今後、日本が低成長を続けることは間違いないので”委託販売”というシステムは常態化してゆくと思われます。 ・・・・・ということは、日本のほとんどのgalleryが気付いていないのですが、実質、作り手のもつ在庫がそのままgalleryのもつ在庫ということになります。だとしたならば、web を積極的に活用して、作り手の在庫を展示(表示)すればいいということになります。そこでは、どんなにスペースをとっても実際の店舗とはちがってテナント代は発生しません。実質タダです。 |
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また、オブジェを始めとする高額商品は、当然在庫として抱えるのは危険ですから、どちらかというと今まで敬遠されてきたアイテムでしたが、バーチャルな店舗である
web では危険度ゼロです。前回も触れたように、これからの社会では、ファイン・アートの役割は益々高まってゆきます。web 上での在庫は、支出ゼロですから、こういった高額商品を積極的に扱うことで、今までなかった需要を掘り起こすことにもなります。 ただ、周りを見渡すと皆この不景気で、下を向いてばかりいるように見えます。作り手もgalleryも、外れのない、謂わば「平均偏差値」の高い領域(正規分布)ばかりの商品を扱うことで、この窮地を凌ごうとします。ある意味仕方がないことですが、これでは’80年代以前の”正規分布”商品ばかりを扱った町の瀬戸物屋さんとちっとも変わりません。 |
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(平均偏差値曲線) |
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確かに今の日本は、’80年代からの30年分のグレードアップはありましたが、これから先、さらに質の高い、深い作品を、消費者、市場とも要求してくるとおもいます。そして、そういった厳しいマーケットで労働するのも、ほぼ同じ人びとになります。ということは、賃金に見合った厳しい労働が課せられると言うことでもあります。このことは、賃金に比例する消耗が避けられないということを同時に意味します。そして、そういった意味での厳しい社会では、アート性の強いクリエイティブな商品(作品)が、どうしても必要とされて来ます。 ”瀬戸物屋さん”ではないgalleryが必要とされていると言うことの意味は、そういった厳しい社会では、創造性の高さを必要とされているマーケットで生きる人びとを支える、創造性の高い作品が必要とされる・・・という単純な道理です。 国のレベルでいっても、日本の成長戦略の筆頭に上げられるのは、ハード、ソフトを含め「創造性の高い」ものをどう生み出してゆくかに掛かっています。”正規分布”商品は、お隣の中国や韓国や、他のBRICs諸国の方が得意な生産領域です。もはや”ダイソー”が占めている業態やサムスンがシェアを広げる家電で競争するには、日本は豊かになり過ぎてしまいました。今リードしていると思われている電気自動車も、その構造の単純さから、あっというまに中国をはじめとする新興国に追いつかれ、あっさり抜かれると言われています。 |
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先月、恒例になっている電通による2009年度の日本の広告費が出ました。それによると、広告費全体が減っているのも特徴で、2008年に続いて減少。2007年に7兆191億円だったものが、5兆9222億円と6兆円割れでした。そして、予想通りついにインターネットが新聞を抜き、テレビについで二番目となりました。これは、ネットがしっかりと社会に根付いたことの表れです。 galleryは、こういった社会の実態をしっかり分析し、今後に向けて対応するべきですが、そういった兆しは見受けられません。依然として名刺代わりのホームページで、カタログ代わりの機能しか持っていないのが実情です。巨体の百貨店なら急激な社会変動に対応するのは難しいと思いますが、その点galleryは小回りが利くはずです。 でも今のところ web を有効に使って、薄く全国(あるいは世界)に分布した工芸ファンに向けた情報発信を考えているgalleryは見受けられません。凋落著しい雑誌メディアに、まだ負ぶさろうとしている旧態依然の有様です。 最近、何故そうなるのか時々考えるのですが、一つは日本のこういった現状は認識できても、それを web で表現する資金あるいはスキル(HPを構築する術)がgallery側にないということです。僕自身は、12年もHP(web site )を運営してきているのでとても簡単なことのように思えるのですが、普通の人間にとって、ましてや’80年代に基礎を築いた今のgalleryにとって有効な web の構築は、結構ハードルが高いのかも知れません。 |
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(鎌倉鶴ヶ丘八幡宮舞殿での結婚式..........先日偶然出くわしました) |
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遅くなりました! ほぼ毎日更新・・・と書き出したものの、気が入って結構書き込みました。 結論です。 社会的役割はしっかりとあるのですが、その割には利の薄い工芸galleryの運営は、やはりきちんとした自前の情報発信を基礎とするしかないと思います。そこでは、経費を抑える意味でも web の効果的な利用しかありません。 そして、今あるあらゆるメディアがそうであるように、TVや新聞そして雑誌など、巨大化したマスメディアは、そこに抱えた社員を賄うことで汲々としてしまいます。結局、”外れ”を恐れて、そこから出る情報も、”正規分布”を予測した対象(もはや、これは幻想です)に向けた情報発信しかあり得ません。そこには僕らが知りたい情報は、ほんの僅かですし、あっても使い古された陳腐なものになりつつあります。 ただ課題は残ります。 ブログが急速に広まったとはいえ、質の高いweb を楽に構築するスキルが、まだまだ広まってはいません。ちょっと面倒なソフトを熟知しなければ、これからの社会を先取りした質の高いweb を構築するのは難しいと思います。 でも始めるしかありません。大手雑誌にはできない、例えば作家やgalleryの日常や、毎日の作業風景、制作の意図など、旬のネタや裏側も含めたきめ細かな情報をgalleryと作家とが一体となって瞬時に発信し続けなければ、今あるgalleryという形態は消えてゆくと思います。もしかすると、こういったことを全て感受した若い世代が、身の丈にあった新しい形態のgalleryを web を使って運営する日も近いのかも知れません。 |
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(五霊神社大銀杏) |
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先日、インターネットラジオを聞いていたところ、あるジャーナリストがアメリカで注目されている、「これからのジャーナリズムに求められるスキルは何か」を次のように言っていました・・・・「今までは社内コミニケーション能力だったが、これからはスモールビジネス運営スキルだ」。これはジャーナリストだけでなく、これからの全ての業態に言えることではないでしょうか。 アメリカで起こっていることは、日本で三年後に遅れて起きるということを思い起こせば、確実に同じ事がgalleryや作家にも要求されるはずです。利は薄いかも知れませんが、まだまだ魅力あるgalleryという業態を、更に次元を上げて運営するには、くどいようですが時代の声に応える質の高いwebを構築するスキルがどうしても必要になります。これはもう新しく参入する若い世代に託さなければならない事なのかも知れません。 もちろん、作家自身が自主的にその様な web site を構築することもありです。しかし、作家も身体は一つしかありません。ここはgalleryにメディアとしての役割を担ってもらうのが自然でしょう。そして、gallery相互の連携も必要になってくるかも知れません(現代美術の画廊が、地代の安い京橋に集中して移動したように)。 これから期待されるweb の詳細な内容は、機会あるごとに追々お話していきたいと思います。 個展が近付いて来ました。SAVOIR VIVREさんも、何時になく気合いを入れて下さって”朝日新聞のマリオン全国版”(17日)に個展内容の掲載をして頂くことになりました。いい個展にしたいと思います。 では、では。 |
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