古今亭志ん生は、小林秀雄だった。。。



いや、小林秀雄が、古今亭志ん生だった。。のかな。






今、『新潮』12月号の特集が「没後四半世紀特集」で小林秀雄の講演CD付きで出ている。


これは買わねば・・・と今にも潰れそうな町の本屋へ即行...............



これが面白いのだ。



話の演目  じゃなくて演題は・・・・・


1.ベルグソンについて(一)

2.朝鮮人参について

3.ベルグソンについて(二)

4.ベルグソンについて(三)

5.個性と戦う
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11/16 志ん生と小林秀雄
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脳天へ突き抜ける様な声・・・。



30年前、僕が直に口を利いた時の印象だった。しかし、今回CDから流れてくる彼の声は、ポンポンとテンポよく、歯切れ良く捲し立てている。気持ちいいくらいの江戸弁だ。



このCDをいくつかに分節し、間にそれぞれ志ん生の噺を差し入れたら、話し手が、志ん生なのか小林秀雄なのか、聴衆はまったく区別がつかないと思えるほど、話のポテンシャルや深さが重なり合う。小林秀雄が凄いのか、志ん生が凄いのかを問うのがナンセンスに思えるほど両者の質は高いことにあらためて気付かされる。



超真面目なベルグソンやユングの話を聴きながら吹き出したのは、生まれて初めての経験だ。



「お前さん達、なにかい!何て運の悪い娘だねっと、おっかさんが......」


「それからね、〜はね、てなことをね。。」


「そいじゃだね、そんなバカなことがあるかってんで......」


「主観的なことか、客観的なことか、どっちでもないじゃないか!
えっ


「その婦人がだね、確かに倒れたとこを見たんだよ、ってんだ」


「投影してたんだという・・・ほんとかね」


「抽象的な問題にすり替えるから、こういう問題が起きるんだっと、こういう・・・・てな具合でね」。
まるで、志ん生が、面白可笑しく高尚なベルグソンやメルロポンティの現象学の話をしているかのようなのだ。それも、思いっきり真面目に。こりゃ〜吹き出しますよ。



だけどもね、やはり、ご両人とも、それぞれ幾つもの逸話がある、何とも魅力的な人間だーね、これが
(写っちゃう;;;)



訳の分からぬ大阪弁が、巷に溢れかえっている今、歯切れの良い江戸弁は、不景気もまとめて吹き飛ばしてくれそうだ。





・・・っと、ここで夏休みも取らずに来て少々バテ気味。能率が落ちたままなので、明日は日光湯元の温泉で、ひとっ風呂浴びて来ようと思います。





つづきは、18日火曜まで、ごきげんよう♪
遅くなりました。つづきです・・・・・



このところMy Home Page のアクセス数が、以前の4倍以上増えている。週一の更新では、我がHPに寄ってくれる方々に申し訳ない様な気がしてちょっぴりプレッシャーだ(
ガンバらねば;;;)。



さて、小林秀雄でした。。。



『新潮』の本文に目を通してみると、脳生理学者の茂木健一郎と小林秀雄のお孫さんの白州信哉の対談で、小林秀雄の人となりを話している。それによると、小林は、実際に志ん生のテープを聴きながら講演のネタを夢中で練り上げていたという。そして、人前で話すのは得意ではなかったので、時には酒を一杯ひっかけてから演台に上がったという。まるで志ん生そのものだ。



それにしても、明治の人は、そのポテンシャルというか、生命力というか、とにかく伝わってくるエネルギーが違う。江戸から明治へ移る状況は、外圧があったとはいえ、日本全体が、もの凄い覚悟と決意をもって鎖国を解き維新を迎えたはずだ。その後日本は、近代化の遂行のため遮二無二突き進んで大戦を経て今日まで来た。そして、ここへ来てその経験値というかリソースというか、蓄積した歴史的資産を消費し尽くした観がある。



お年寄りを狙った「おれおれ詐欺」をやっているのが二十代・三十代の若者だったり、建設現場でクレーンが倒れたりと、一昔だったらあり得なかったような事件や事故が頻繁に起きている。日本人の無意識が荒んでしまったかのように思えてならない。以前は、鳶は鳶の誇りがあり、親方は身をもって作業の手順やツボを新米に伝えたものだ。それは、世間の常識だった。ここに来て日本は、もはや、社会の底が抜けてしまったかのようだ。

話がそれてしまった;;;
小林秀雄の逸話はたくさんあるが、なかでも凄いのは・・・・

ある晩、就寝中の枕元に盗人が押し入り、寝ている小林の頬に、抜き身の日本刀をあて「金を出せ!」と凄んだ。

寝ていた小林は、慌てることもなく、その盗人に懇々と説教を説いた。

その説教が、あまりにも真に迫り心打つものだったため、盗人は、仕舞いには大声を出して泣き始め、何も盗むことなく去って行ったという。

後日、その盗人は、菓子折を持ち、これからは真っ当な人間として精進して生きたいと、挨拶にみえたという。。。
話は変わるが、ミシュラン2009が発表された。気になるのは、昨年二つ星★★に輝いた、僕の「落書き錫研きシリーズ」をお使い頂いている六本木の和食店の結果だが、目出度く今年も二つ星★★に輝いた(お見事!)。フランスの評価に左右されるのは、自主性がなく屈辱的ではあるが、一つの目安にはなる。都内でレストランを経営するお店では、大変な励みにも目標にもなっているようなので、ここは百歩譲って一つのネタというか目安としてミシュランの評価を見守りたい。



東京は、本家本元のパリを超えて
星の数を獲得したようだ。へたれ始めた今の日本が、どうしてどうしてノーベル賞の受賞も、今回のミシュランの星の獲得も世界に誇れるレベルだと言うことは、素直に喜んで良いように思う。でも、今のままで行ったらじり貧は目に見えている。先ずは、明治の気概に学び、文化・教育にテコ入れをしたい。



三十年前、鎌倉彫の就業中、鎌倉市内を歩くだけで、それこそ小林秀雄や中村光夫等、所謂鎌倉文士に出会えた。そして、その気風というか気概というか、日本の一流どころのポテンシャルを肌で感ずることが出来た。残念ながら今の鎌倉は、毎年のようにテナントが入れ替わるお土産屋で溢れかえっている薄っぺらな文化しかない。





さて、大手各企業は、軒並み減収減益とメディアに流している。ここ数年は、本当に世界規模で厳しい時代に入っていくことにななるのだろう。こんな時代だからこそ、日本は、田母神元幕僚長のように、歴史の負の遺産をみると自信を失ってしまうようなヘタレではなく、ドイツのように、清濁併せ持つ真の歴史を引き受け、その上で高邁な理想を掲げて一歩一歩確実に歩んで行きたい。



人のことは言えないが、「踏襲」を「ふしゅう」、「詳細」を「ようさい」と読んでしまう、新聞を全く読まないと豪語する首相をもつ日本ではあるが、ちょっと前まで、小林秀雄のように凄い奴が、日本にはいたんだという珠玉の事実を心に刻んで、それぞれ自分の持ち場で毎日を充実させて生きていきたいですね。  


(お隣に頂いた椿の切り株............息子と二人でしたが、掘るの大変でした;;; am 9:20