溺れる者は  
   

年間溺死者数は交通事故死者より多いのだという話を聞いた。さもありなんという印象を受ける。ヒートショックというのも最近よく耳にする言葉だ。寒い脱衣場からお湯に入って血管の急膨張で、血圧急降下といったことから心臓疾患にとか、急上昇で脳の血管がプツンというパターンなのだという。

 

そして、飲酒により風呂で居眠りして、そのまま湯船に沈んでしまうという事故も多いのだという。かつて服部愛山という近衛師団あがりの警察OBの自称右翼と何度か話をしたことがあるのだが、いつも彼は酔っぱらっていた。

 
   

白い袴を履き見事な長い白髪で眼光鋭く、自転車の荷台に鍬や鎌を積んで畑に通っていた。その彼の最後が自宅の風呂での溺死であった。一人暮らしであった。かれこれ30年ほど前の記憶になる。

タバコ屋の一癖も二癖もあるおばさんも、ある日突然旅立ったのだが、やはり風呂に溺れていたという風の便りを聞いたように思う。肥満気味であった。心臓がきゅっといったのであろう。

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02/05  溺れる者は
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2005~2017  常滑レポート index
 
 

風呂に入って極楽往生というのは、かなり理想形なのだが、検死とかが大変で、ヘタに遺体を風呂から出してしまうと事故死か他殺かが問題になるという。残された子供たちに迷惑は掛けたくないものだ。

てなわけで、最近は時間がある時に朝風呂と決め込んでいる。ゆっくり風呂に漬かりながらラジオ聴きつつ、コミックを読むなんてのも悪くない。朝早くに目覚めると缶ビールを一本飲んで、朝寝というパターンもありだ。明るい時間帯はアルコール禁止だが。これで朝寝、朝酒、朝湯の三点セットが揃ったことになる。

 

転落死も交通事故死より多いという。階段の降りを踏み外して転落することにより命を落とすというパターン。飲み会の二次会などで地下の店に入る時などが危ないのだとか。酔っぱらって、あっという間に転落して昇天ならば、悪くはないのだが骨折などして寝たきりというパターンは最悪である。

窒息死もまた交通事故死より多いのだという。餅を喉に詰まらせて絶命という老人が後を絶たないらしい。餅を食べなくなって久しい。その原料となる米すら最近は食べなくなっている。

 

過日、大阪であった研究会の懇親会でテーブルに寿司が置かれていた。それ以外の食べ物は離れたテーブルに置かれていたので、ご褒美に食べることにしたのであったが、実に美味い。回転寿司レベルの寿司でも久しぶりに食べると美味いものになる。

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とまあ、年寄りが中心となる死亡事故の原因をながめて、どれもそれなりに身近なものでありながら自分の身に降りかかるという現実味は無い。それでも、西部邁氏の多摩川入水死なんてのを知ると、死生観について意識せずにはいられないのも現実である。