夏の終わりに  
   
プリウスからスズキのエヴリイという軽ワンボックスに乗り換えて、かれこれ5年目になる。アクセルをベタ踏みにしても時速80キロくらいで、加速の力弱さも半端ない車だ。よって、高速道路や専用道路の類には入らないし、知多半島から出ることも基本的には無くなっている。

いわゆる下道、旧国道や県道は信号が多いものの交通量が少なく運転は気楽なものであった。実際、去年くらいまではそうであったのだが、ここにきて常滑市の中心部の旧道がやたらに混んでいる。
 
 

2005年に中部国際空港が開港して以来、空港島の対岸埋立地には商業施設や観光施設が相次いて立ち並ぶ状況になっている。関空の対岸の泉佐野の埋立地も長く閑古鳥の棲家で担当者を悩ませていたはずだが、最近はいろんな施設で賑わってきているとか。

 

それらの大規模な商業施設に遠隔地から訪れる客は、専用道路を使って来るのだろう。その手の道もかつて見ないくらい多くの車が通っている。下道となると市内外の近隣から働きに行く従業員が多く使っているのかなどと推測している。


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09/10 夏の終わりに 
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2005~2017  常滑レポート index
 

そして、丘陵部を造成した住宅地にも新しい街が生まれてきた。それに比例するように街の工場が消えて行っている。なにより、あれほど街中に溢れていたINAXの看板が消えてLIXILの看板も控えめに旧本社ビルの屋上に上がっている程度である。

 

昭和から平成にかけて、瀬戸や多治見は宅地開発が相次ぎ駅周辺は綺麗に整備され、名古屋のベッドタウン化していったのと似ている。違いは空港があることだけど。そして、招き猫と急須がひそかに生き残っている。いや、タイルも衛生陶器もあるのだが、かつての圧倒的な存在ではなくなったということか。

 
 

暑い夏も、いつしか秋の風が虫の声と共にやって来て、流した汗も懐かしく思えるようになる。自分の生きた昭和戦後期が、あっという間に過去の物語の中に取り込まれていくような感覚だ。

 

今年の夏も美濃の山の中で遺跡の発掘調査合宿に参加した。休憩時間にスマホとにらめっこしている学生の姿が普通になった。蚊取り線香の火を付けるのに百円ライターの使い方を知らない学生がいた。あれほど愛煙家だった教授も大病を患って、ついに禁煙に踏み切った。車を運転したがらない学生が増えてきた。

 

テレビも若者から遠ざかりつつあるのだという。講義の前に学生が動画を見て大笑いしていたり、ネットでつながったサッカーゲームをして盛り上がっていたりする光景は普通にある。娯楽も多様になっているのだろう。

 

 

SNSのおかげで日本中、世界中の人々と容易に繋がれる時代だ。その一方で電話を掛けたり受けたりすることが面倒になってきた。家に掛かってくる電話などろくなものがない。セールスマンだと時代遅れのセールスにもほどがあると説教してしまう。

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