定説くずし  
今年もクマゼミが鳴き出した。あっという間に台風のやってくる季節だ。最近は本屋に行かなくなって久しい。AMAZONの功罪はいろいろあるのだろうが、読みたい本がすぐに見つかって、ほとんど翌日には自宅に届くというのはありがたい。  
常滑レポート index
 07/16  定説くずし
 振り返りつつ
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予定調和
かめら
論文提出 
 こんびに
小鮒釣りし
 論文提出
前近代・近代の彼方 男と女 
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ファール 
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渥 美
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世界
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蝉時雨聞きながら
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過剰なるものども
 梅雨入り直後
笛を吹いてはならぬ 
 晴鳶堂の記
 桜咲く
 若者三人
忘我に導かれる事 
立春 
一区切りの正月   

2005~2014  常滑レポート index
そして、最近、黒田日出男という中世史家の絵画や肖像研究の本をまとめ買いして読みふけっている。これが実に面白くてスリリングだ。かなり前に伴大納言の絵巻物について書かれた本や、最古の日本地図に龍が棲んでいるという岩波新書を読んで感銘を受けてはいたのだが、もうどれを読んでも外れない。

定説を覆すという作業は、実にスリリングで楽しいものである。定説が見逃している重要な事実を明らかにするのも、これまた楽しい作業になる。謎解きのスリルは良質な推理小説と似ているが、その立証過程が創作ではなく既存の資料・史料に基づいているところが歴史家の歴史家たる由縁だ。
   
古代の陶器の時間変化をたどった定説的研究が見直されようとしている。僕らの時代であ
る80年代から90年代に打ち立てられた定説で、その前の世代が60年代から70年代に打ち立
てた定説を大きく塗り替えた仕事であったが、ここにきて見直しが必至となっている。

が、しかし、そうそう簡単ではない。問題の所在は明確になっていたとしても、その問題を解いて、開いた穴を埋めるだけの資料が足りないのだ。僕もこの手の仕事を90年代に中世常滑焼の研究でまとめている。そして、見直すべき部分の所在も自覚しているのだが、その問題を指摘しつつも、その解を提示できないでいる。資料不足だということで保留しているのだ。
   
もう一つは、一昨年、渥美半島の中世陶器でこの時系列変化の研究に加わり、新たな定説となるべく発表したのだが、昨年、それに対して批判を受けた。その批判の杜撰さに驚き再批判の原稿を地域研究誌に発表したのだが、それがようやく形になった。  
 
おたがい、不足気味の資料群に対しての研究ではあるが、初めに結論を用意して資料を見ると無いものが有るように、バイアスを掛けて操作してしまう典型だと思う。相手は好戦的で有名な地元の論客だが、この論戦は負けない。もっとも負ける論争などするはずもないのだが。
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