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バネ指になった。

右親指を酷使したことからくる付け根の腱鞘炎だ。どうにも仕事がはかどらないので、四年振りになるはずだったSAVOIR VIVREでの個展は中止とした。

これを機会に、指に負担のこない修繕の仕事に切り替えた。修理は基本好きだが、急ぎの仕事が優先して、つい溜まってしまう。怪我の功名?お陰で集中できてスムーズに仕事が進む。

30年近く前の『刷毛目椀』(今はなき Kisso 当時の作品です..... 懐かしい)
落としたものか......割れが酷い。。でも、とても愛着をもって使って頂いた様で、渋い朱の色合いも好い感じで塗り直すのが惜しい。
 
 割れ部には基本ドリルで穴を空けることにしている。単に接着剤を染みこませるだけでは不安だ。手間はかかるが、結局のところ安心と安全の双方がとれるので経験上ここに落ち着く。
割れは落とすことだけとは限らない。木地の乾燥が不十分な場合でも起きる。特に、コンクリートで囲まれたビルの室内は、うっかりすると湿度が30%を切っていたりする。これは漆器にとって極めて危険な環境になる。乾燥したアメリカに渡った椀が、ある日突然音をあげて激しく割れるということは良く聞かされた。厚い布を貼っても、割れる時はあっさり割れるというから樹の性質を熟知しないと駄目だが、分業化されている漆工芸はこの点がネックになる。

因みに上↑の厨子の内側は布を張っていたことが幸いしダメージはなかった。厚みが相当あるので外気にさらされた表が極度に乾燥したものと思われる。特に「木口」(樹を輪切りにした上下部)が、木材の構造上、横に繋がる連結組成がないのでどうしても弱い。
古い塗りは荒いサンドペーパーで研ぎ落す。かなりの手間だし時間もかかる。この後、地の粉漆(僕の場合は火山灰)で穴を埋める。硬化後の磨ぎがまた硬くて厄介だ。時間給で計算したらまるで合わない作業になるが、ここは漆工芸を生涯の天職とした身としては腹を括って掛かっている。大袈裟にいえば等価交換でなく贈与になる.....それを承知でやってます

さて、そうこうしているうちに新しい修理が出た。いえ仕事ではなく15年程使い続けてきた自作の掛け時計に寿命がきたのだ。これは長男が保育園の頃描いた絵を銀塩カメラで多重露光(同じフィルムに数種のショットを重ねて撮る技法)して撮り、その後PCで加工した言わば息子とコラボレーションした作品になる。

以前、一度故障したので100円ショップで購入した掛け時計の部品と交換して凌いだ記憶がある。流石に品質上問題があったのか数年の寿命だった。今回はネットで掛け時計を検索し CITIZEN と RHYTHM を比べ判官びいきと高校の頃散々お世話になった目覚まし時計と同じメーカーのリズム社製に決めた。







RHYTHM 時計解体
ところが、何と機械部が全く同じサイズで構造も変わらない;;ということは100円SHOP もメジャーなメーカーも生産地は中国で、ものは同じということ.....?

そういう時代なのでしょう、これはこれでありとして完成。以下↓となり復活しました。 めでたし、めでたし






何故だか色々なリペアをしている時が深く癒される。何でもいい。車でも、時計でも、道具やお気に入りの服等何でもありだ。以下↓息子にもらったラガーシャツ。アメリカの古着を譲り受けたのだから(古着)2になろうか。。ちょっと前に虫に食われた純毛のセーター等を色違いの糸で修繕する「ダーニング」という手法を知った。以下↓はその応用で袖口をフェルト生地で補修。世界で一つのシャツということになります。
今年の夏は半端なく暑かった;;だいたい真夏の午後二時のサッカーの試合が一番好きだと豪語してきた。自分に付く敵のバックスが、真夏のピッチで動き回る僕に対して嫌な顔をするのが快感だった(Sですね;;)。でも、さすがに今年は ✖ 。就寝時使ったことのないクーラーを利用したものの温度設定の加減が分からず体調を崩し点滴を受けた。歳もあるのでしょう、その後成るべく無理しないよう自分の身体を労わってます。

ここに来て漸く涼しくなり体調も戻りました(ちょっと親指には痛みがあるのですが)。。

ということで、いつまでもリペアしている訳にはいきません。仕事も溜まってます。珍しく大好きなオーボエの Schumann - Romances を聴きながらの更新です。以下↓ 申し訳ございませんが Internet Explorer ブラウザでは表示されません。 Google Chrome,Safari etc. で閲覧願います。

では、では。