「もし、アルベチーヌ夫人にお会いしたなら.......」(ALTE MIESTER蔵)
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2009 --2016
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  宮台真司一押しの洋画「さざなみ」(アンドリュー・ヘイ監督)が気になっている。その訳は、大分昔になるのだが、当時好きだった人の三歳の頃の写真を見て「何故、その時自分がその場にいなかったんだろう....」と、そもそもあり得ない嫉妬とも妄想とも呼べない感情にさいなまれる自分は、頭がおかしいのではないかと一人悶々としたことがあったからだ。

つまり自分が関与できない「過去」を好意を持つ相手が持っているということを、自分自身が了解できないという事態のことをいうのだが、当時の自分は、自分自身が変な奴と気が引ける思いだった。けれども、ある日『失われた時を求めて』(マルセル・プルースト著)の第六篇『消え去ったアルベルチーヌ』のあるシーンを読み恋人の過去をすべて共有したいといった感情が、決して特別でも異常でもないということを知り救われた。

「さざなみ」という洋画も、夫が結婚前に付き合っていた恋人と夫が自分以上に濃い関係をもっていたことにさいなまれるという、不在ということと、過去と現在に今の自分が脅かされるという、宮台の言う「真の心問題」に関わる新しい恋愛の不可能性と可能性を描いているということ。ちょっとややこしいでしょうか......
相手の過去に関与できないことを、了解できないでいる自分自身が、自分を持て余すという感情…それは、嫉妬とは次元が違うということを上手く説明できないが、この感情が新しい恋愛や性愛の深化の過程を表している、という宮台の指摘は僕を解放してくれる。


だいぶフリーズしていました。申し訳ない!

あっという間に、季節は風薫る五月に移ってしまいました。山々は、もうすでに夏を含み始めています。そして、やりたいことを再確認する間もなく時が過ぎていきます。

そう「愛=対幻想」でした。そもそも宮台真司が「真の心問題」について熱く語り始めたのは 、AI (人工知能)によるコミニケーションが、劣化し始めた人間同士のコミュニケーションより質的に上がり始めたことを契機にしている。今日も NHK で将棋の棋士羽生さんのナビゲートで、グーグルのグループ会社の開発したソフトが、プロの囲碁の棋士に四勝一敗で勝利したことを受け、今後 AI が人間のもつさまざまな能力を超える日も近いだろうと語っていた。
  恐らく、2011年に起きた東日本大震災の際、原発の管理や避難誘導など、その時 AI の判断を仰いだとしたら.......被爆も少なくすみ、ずっとましな判断を下したのではないだろうか。最近立て続けに起きているオリンピックに関する失態も、 AI に任せたらはるかに合理的な判断を下せるものと思われる(もう手遅れだが)。

結局、人間同士のコミュニケーションが、僕らの想像を超えて劣化しているというのが現状だろう。世界、国家、地域、家族、友人、そして恋人同士と、お互いのコミュニケーションが貧しくなる一方ゆえに、ならば AI と恋愛をしていた方が、人間との関係より実りの多いものが期待されると考えることも十分うなずける。

先ごろ騒がしい”不倫問題”も、背景には貧しい家族や夫婦関係がその背景にあり、みな無意識を覗けば寒々しい風景が見えてくるのだろう。それを打ち消すかのようにみな過剰に倫理的な反応をするように見えるのだが.....どうだろう。
 
 
はーと大椀(Ø33cm)
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恋愛がひとつの錯覚に過ぎないと思えるからこそ、その勘違いにかけてみる価値がある.......「真の心問題」は永遠のテーマなのでしょう。そして今日、人々の関係が貧しくなるのに反比例して、今まで以上に、そのキャパ(絶対値)が大きい恋愛なり愛を確かめてみたいといった欲望、あるいは願いも生まれるものと思えます。それが、恋愛のもつ時間性を過去にも未来にも伸延させ、その深さも幅も密度も増したものとして設定したい欲求となって表出する(厄介だ)。もし、それが可能だとしたら........それはそれで理想に違いない。