お絵描き

お隣の町にある「がっせぇアート」（知的・精神障害者アート）事務局からチャリティー展の出品依頼を受けた。但馬は、皆さんつましく暮らしておられるので、僕の漆器を日常使いで持つということはちょっとハードルが高い。そこで小さめのオブジェや絵画を中心に制作することにした。

院での三年間、ほとんど絵の具を触ったことがなかった。お陰でお気に入りのアクリル絵の具の何本かは固まってしまい蓋が空きません；；；。

自由に絵を描くことって、こんなに楽しいことだったんだと改めて感じています。以前、微妙な色合いの絵の具をネットで購入していたことも忘れていましたが、けっこう気に入ったものだったはずなので使ってみると違和感がない。というより感じがいい。やはりグリーン系が多いのは仕方がありませんね好きなんですから。透明絵の具でない方が透明感が出るという妙も面白い。

ずっと気になっていた、途中で放り出した作品を中心に仕上げている。懐かしいものも多い。ちょっと前に、屋根裏部屋の荷物をごそごそ漁っていたら修行当時の図案帳が出てきた。日の目を見ることなかったものがほとんどで、これが、なかなかのもの。

いろいろ目移りして、結局「お絵描き」は2015年の年賀状を膨らませてコラージュを創ってみた。この羊が思いの外評判が良かったことも手伝っている。

好きなハートは大きくして、中に英文の万葉集を入れ落書きを加えた。今日搬入を終えたんですが、いつものようにぎりぎりだったので画像は未だ撮ってません；；；。さすがに「あけましておめでとうございます」はないので、生漆で例のバッハの直筆の音符をなぞってみた。ちょうどセピア色になるのでオリジナルに近く出来上がった。

Title:「日曜の午後は怠け者」（コラージュ）　

CG、バッハ直筆の楽譜（漆）、万葉集（英訳）　…　漆漉し紙、インク・水彩・アクリル・パステルその他ミクストメディア

万葉集
「采女(うめね)の袖　吹きかえす　明日香風(あすかかぜ)　京(みやこ)を遠み　いたづらに吹く」　
（志貴皇子(しきのみこ)、巻１・五十一）

Asuka winds that blow
ｔｏ furl back court maidens’ sleeves :
The capital is far away,
And they blow in vain.

Title:「日曜の午後は怠け者」

とにかく久し振りのお絵描きは楽しく、ものを作ることの喜びをあらためて感じることができました。

「東さんのは分からんかった。。」

古文書教室で世話を焼いていただいている８８歳の女性の電話連絡です；；
そうなんです、ここ但馬は自然が豊富で、みなさんそれ程経済的には豊かではないかも知れませんが幸せなのです。アートなんか必要としていないのかも知れません。別の言い方をすると”お約束”のなかで生きて行けてしまうといいますか、特段疎外感も少なく生きて行けるのかなとも思います。

僕は依然としてアートを必要とする過剰性？をもった方々のために作品を作り続けている。これはある意味不幸なことかも知れませんが、それはそれで仕方がなく、そこはしっかりと引き受けていきたいと思います。

Homage to Zadkine.(brooch)

Home index

essay ＋column＋
2009 --2018
Today's image index

top