完全主義  
畑で遊び出してかれこれ四年くらい過ぎただろうか。もう雑草ばかりのだだっ広い農地は専業農家の人たちから見たら耕作放棄された土地としか見えないに違いない。

それでも、先祖かえりしたようなラッキョウだけは、年々増えていて何とも心強い。このラッキョウには虫が来ないのだ。類似するタマネギも原種に戻ったような小さな粒のヤツが増えている。醤油漬けにして冷奴などに乗せて食べると悪くない。
 
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08/31 完全主義 
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2005~2014  常滑レポート index
韮も随分と細い韮だが、強くて枯れないし虫にやられない。葱もまずまずだ。自然薯のような山芋も自然に生えているやつがいくらかある。しかし、スーパーに並んでいるような立派なものは、とても出来ないのだった。

これまでキュウリやナスやトマトやオクラ、辛味大根なども作ってみたことはあるが、どれも貧相なものばかりだ。そして、その原因は判っている。それは土壌に肥料を与えていないことと、消毒をまったくしていないことである。肥料らしきものは刈り取った雑草を燃やした灰くらのものだ。そして、ミミズ君の排泄物かな。
   
下の畑は作り手が代替わりして今年役所を定年になったNさんが知人の農家の指導を受けて野菜作りをしている。とても上手だ。初めに牛糞を持ってきて荒らしてあった土壌に鋤きこみ、こまめに水遣りと簡便な消毒をしている。

小・中学校と消防団の先輩であるNさんは気軽に「おまえも牛糞持ってっていいぞ」と言ってくれるのだが、いまどきの畜産業では相当量の抗生物質が使われているのは、まず間違いのないところだ。
   
口蹄疫や鳥インフルエンザ、豚の流行性下痢など家畜も野菜と同様にしてか弱い生き物なのだ。それを安価に大量に供給するためには専守防衛とならざるをえない。となれば、牛糞や鶏糞などの有機肥料も心配になる。

そうは言いつつ、結局野菜も肉もスーパーで買ったものを食べている。牛肉や豚肉はアメリカ産のものでも安ければ買ってしまう。遺伝子組み換えの施されたものである確率も高いだろうに。
 
 
それを拒否して安心安全を謳う食材にしたところで肥料や飼料に不安が残るのだった。パンや菓子、麺類の小麦粉や納豆、豆腐などの大豆にだって輸入品は使われているであろうとなると、いずれ不自然な要素を取り込まざるを得ないのが現代だということになる。

つまり、完全無農薬とか遺伝子組み換え食品の拒否なんてのは現代日本では、まずあり得ないことに違いない。むしろ、あまりに神経質になりすぎると逆にストレスが溜まることになり逆効果ともなろう。
    
完璧主義は成り立たないと諦めの境地に入る。その方が細胞の遺伝子暴走を引き起こさないに違いない。  2005~2014  常滑レポート index

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