(「古文字厨子」) |
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ようやく、『古文字厨子』(Type M)が仕上がった。予定を大分過ぎてしまった。。 丁度、息子の卒業制作と重なり「とうちゃん、たのむぜ」と言ってきたのが、提出日前日;;; いえ、息子の卒業制作のキャプションに『殷墟文字』が入るのです。 「おめ~バカ、早く言えよ;;;」厨子の文字入れモードに入るべく気を集中してたところに、とんだ飛び入り。。。慌てて別モードで集中。 |
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「童」 「若」 「女」 |
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「童」は、童心とは遠く離れ「目」の上に入れ墨がほどこされた象形で刑罰の法を示すもの。 「若」は、巫女が長髪をなびかせ、両手をあげて舞いながら神に祈り、神のお告げを求めているエクスタシーの形。 「女」は、手を前に重ね跪き、うやうやしく霊所を拝んでいる女の人の形。 その他、合計20点ほど書き上げた。 息子は、これらの殷墟文字から浮かぶイメージの画像を撮り卒業制作として提出する・・・・というわけです。 |
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(面相筆........これで文字を描きます) (四つの部分から出来ています) (この部分で、筆先の長さを調節) |
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実は、筆の毛の長さが自在に出来るように、筆の根本に紐が結ばれていて細い竹筒に通してあります。これを引きながら長さを調節。筆の腰の強さを調節できます(四つの部分で出来ています)。 さて厨子だが、僕は手がでかいので、凹の器物の中に筆を持った手を入れながら文字を描くのは非常~にやっかいだ。使い勝手を良くするために、半分に切った面相筆を使っても拳そのものが邪魔になる;;; この筆、7・8年ほど前、稲荷町の「宮川刷毛ブラシ店」に寄った際「ほんのちょっとだけ虫に喰われたんだけど、あんた使うかい?虫もよく知っていて高いやつから喰うんだよ」と運良く頂いた特上の筆(多分、買ったら一万円近くはする)。 |
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殷墟文字............「旅」 |
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漆は粘度が高いので文字を描く場合、和紙に墨で描く文字と違って、「かすれ」や「にじみ」等の所謂墨による「書」の特性を出すことは出来ない。その代わり、その粘度を生かして書き上がった文字が凸に出っ張る面白さを出せる。 上の画像をよくご覧頂くと凸が分かるでしょうか。。。 |
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最近、ほんと目が悪くなってきて困る。。厨子の正面・左・右と、内側の壁面に沿って文字を描くのだが、めっかちが水族館を覗くように顔を近づけたり、遠ざけたりと、それに合わせて焦点距離の違う眼鏡に換えなければならない;;;歳かな。。。って歳だよ。 今回気付いたんだけれども、文字入れの前の自分が、もの凄い集中をしているのに驚いた。精神的な負荷が大きいので、なかなか筆を持つモードに入りたがらない;;;気が散るような心配事があったりすると「出来れば明日に回したいな。。。」と、マラソンランナーがスタート前「地震が起きないかな~」と思うのと似ている気分なのだ。 そう言えば、昔も椀に文字入れするときには、焼酎を一杯引っかけてから始めてたっけ。 椀の文字入れは無茶苦茶楽しいのだが、厨子の文字入れは幾分か違っている。交信しあう心の領域が、別の階層にあるように思える。ちょっと発見だ。 |
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厨子の場合、描きたい文字が沢山あって困る。それは、人の生き死にを、メタファーとしての殷墟文字に置き換えることをコンセプトにしているからだろう。 人生のさまざまなシチュエーション凡てを書き込まなければ十分じゃない・・・という意識がそうさせるのだと思う。曼荼羅を描きたくなる気持ちが痛いほど分かる と言うわけでスペースアルテマイスターへの古文字厨子が仕上がりました。息つく間もなく次は蓬莱厨子を完成させなければなりません。 がんばりまっす! |
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