(作業中の机)







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上方『銀花』さんの個展と奈良探索で6日間家を空けた。帰宅するとやはり、いの一番に覗くのが仕事場。

塗り部屋を開けたら.............ありゃまっ。。床が水浸し;;;天井から水滴が落ち続けている。翌日、大工牧野に来てもらったが原因は今ひとつ分からない。どうやら、留守中雪の降った晩辺りに浄水器のバルブが室温が零下に下がり凍りかけ、そこから破水したのでは?・・・・ということになった。

 作品に
被害はないので良かったが、運悪く定盤(塗り用の机)の上に置き忘れた、昨年息子から誕生日プレゼントでもらった「白川 静著『常用字解』」が、まともに水を被ってしまい2倍ほどに膨らんでしまった。

(古い日記帳の表紙を利用♪)
「新しいの買えば。。」とかみさんは言ってくれたが、そうはいかない、この息子からプレゼントされた辞書から、新しい古文字シリーズが始まったのだから..............。

っと、いうわけで本日の画像は、水をたっぷり含んで、ぶくぶくに膨らんでしまったため、解体後、ストーブと電子レンジで乾かした、 白川 静著『常用字解』 であります。 

あまりに中まで水が染み込んでしまったため、ストーブに当てた位では乾きが来ず、これはもう奥の手を・・・・・ということで、巨匠白川静の辞書を電子レンジでチン♪(かみさんがびっくらこいてました;;;)。これで、芯まで乾きが来ましたヨ。。(よい子は、マネをしてはいけません!)。

(背表紙がしっかり付くように万力で締めました)
出来れば、膨張して厚みを増したので辞書を何かで圧搾しつつ表紙を糊付けすればよかった。この次は、絶対そうするぞ・・・って次もあるのかヨ;;;

ちょっとゴワついて使いづらいのですが、ここは我慢でしょう。使い込んで古びが付いたみたいで風格が出たような。。


さて、殷墟文字の資料は、上方『銀花』さんに展示資料として置いてきてしまったので、新しい古文字厨子の文字入れは、早速修繕が済んだ辞書首っ引きで引き直しです。

あらためて引き直していると、またしても白川ワールドへと彷徨い出てしまう・・・・

好きな『魯(おろか)』という文字が、実は「魚」と「曰(えつ)」で構成され、魚は祭祀に供するもの、曰は祝祷を収める器であるから、魚を薦め、神に祈り祭ることを示す字であること。そして、金文の魯の字形からいえば、祖祭に魚を薦め、祝祷して魯寿を求めるのが、魯の字義であると思われる(白川)・・・・とあり、本来お目出度い時に使われた文字で、決して「魯鈍」などと言ったネガティブな文字でなかったという。

漢字は、ほんとうにおもしろい。
厨子の制作は、人の生き死にに拘わっていることなので、特に文字入れは、いつも気構えが白装束を身に纏った感じで臨んでいる。椀に「飲兵衛」と書くのとは違って、心象の深いところまで降りていく感じが好きだ。

古文字の選択も、清新な気持ちで熟慮して選んでいるが、更に深いところまで届きたいので、今回は宮沢賢治や吉本隆明の佛教関係の著作を引っぱり出してみる。

新しく選んだ文字・・・・往還・森羅(万象)・賢(魯だけでは不十分なので)・戯(この字も深い意味が隠されています)・徳・歓。

「徳」・・・・・この字も実は、深い意味が隠されているのですが........


と言うわけで、本日は、白川 静先生に関わるテーマでしたが、この話は延々と続けたくなるくらいに、無尽蔵に意味が膨らんでゆく世界へと僕をいざなって行きます。なのでこの辺で「お後がよろしいようで・・・・」として、また次の機会に白川ワールドを譲りたいとおもいます。


では、では。。