楽園への道 |
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2005~2010 常滑レポート index |
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1時間もあればできそうな仕事だと思っても1時間でできることは限られている。1日もまたしかりで、それは1年という時の長さをもっても思ったほどのことが出来ないのが現実である。そうやっていっぱいやり残して人は一生を終えるのだろうか。 あれもこれもと欲張って生きているからなのかもしれないけれど、このところのやり残し感の強さといったらない。 |
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そうこう言いつつも、ポール・ゴーギャンと彼の祖母で女性と労働者の解放運動に奔走したフローラ・トリスタンの生涯を描いたバルガス・リョサの小説『楽園への道』を読んだのが23年の暮れの大きな収穫であった。 ガルシア・マルケスの『百年の孤独』を25年ぶりに読み直していて、なぜだか名古屋の大きな書店に行き、この本に出会ったのだった。明らかにバルガス・リョサに呼び出されたのだと思う。 |
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ゴーギャンはゴッホとの絡みでしか意識してこなかったのだが、その生涯はゴッホと同じ程度にすごいものがある。タヒチにどうして出かけたのか。これまでさほど疑問に思う事もなかったのだった。 そして、かつて教科書で覚えたサン=シモンやフーリエ、プルードンといったマルクス以前社会改革運動家の思想をこの本で知る事になるとは、以外であった。ブルジョワと抑圧されたプロレタリアの分裂のひどさは思っていた以上で、今はもう知る由もないほどに平準化されていると思う。 |
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常滑市民俗資料館
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産業革命以来、の肉体労働の壮絶さと労働環境の劣悪さは女工哀史のそれとまったく同じなのだが、なんだか遠い過去のことになっている。機械とエネルギー革命の恩恵を人類はどれほど享けていることだろうと改めて認識する。 時代が大きく変わろうとしている今、過去に人々は何をしてきたのかということを知っていることは必要だと思う。半藤一利の『日本のいちばん長い日』『ノモンハンの夏』も今年読んだ本の中では印象に強く残る。 |
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映画ではチャン・イーモウの新作『サンザシの木の下で』がさすがに上手いと思わせてくれた。『初恋の来た道』をDVDで観て以来の注目監督だ。どの本も映画も向こうから呼んでいるように思える。 今年の春から通うようになった博士課程も大先生のお別れの会の後に酒を飲みながら教授と四方山話をしていて出てきた思い付きだったが、現実になってみれば、こうなるようにプログラムされていたように感じるから不思議ではある。 |