明日香村
 
笑っている、みんな笑っている



唄っている、みんな唄っている




先週末、いつまでも沈んでいてもしょうがないな~と、いつもの広場にボールを蹴りに出掛けた。ハムストリング(腿裏)の肉離れと、ひどい風邪からの病み上がりで、ボールを蹴るのは数ヶ月振りだ。

いつもより幾分か子供達が多いような・・・・


さほど息が上がらないのを嬉しく思いながら、カラーコーンを使ってドリブルの練習をこなしていると、子供達がいつもと違うのに気付く。。


声変わりをした子は少なく、未だボーイソプラノ調の声ではしゃいでいるので、多分中一位の子供達か。5~6人で広場に設置されたバスケ用のバックボード目掛けてショットを繰り返している。


遠くで笑い声が聴こえる。歌声も聴こえる・・・・・お腹の底から笑っている。そして、明るく唄っている。
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明日香村・甘樫の丘から斑鳩を望む

 
ここ逗子は、被災地からどの位離れているんだろう・・・・200km以上は、離れているのでは。それでも僕らの無意識は、この被災から受けたダメージを処理できないでいる。子供達、特に、ここにいる中学年代の子供達は、生涯で心身とも最も不安定な年代だ。地震後、数日経っていたこの日、まだ福島原発が大きくダメージを受けていることも知らされていない状況下だったこともあり、マグマのように溜った不安を、仲間と共に共有し発散している。



そもそも、女の子と男の子が一緒に遊んでいる光景をあまり見たことがなかった。特に中学生は。なのに、一緒に歌を唄ったり、じゃれ合ったりして大声で笑っている。
 広場に設置されたベンチの後ろにはフェンスがある。そこに脚を上げて腰掛けている娘は、パンツが見えそうだが気にとめる様子もない。その下で同年代とは思えないほど幼く見える男子二人が、ベンチの前で組んず解れつ笑いながら地べたで転がっている。それを笑いながらその娘が見ている。正しく思春期のリビドーをお互い共振しあっているさまだ。
 
 
甘樫の丘頂上
 
僕ら大人達もそうしたいが、中々そうもいかないだろう。


マスメディアのニュース報道は、連日「安全」という言葉を御用学者から期待して引き出すことに必死で、原発から流れ出る放射能のように”安全”を垂れ流しダダ漏れ状態だ。
 今、被災地で海水に浸った車が、整備工場に点検整備のため沢山持ち込まれているという。そこで整備士が、注意勧告するのは「エンジンが掛かるとはいえ、海水に浸かった車は、組み込まれたコンピューターの回路がショートし誤作動するので決して走行しないように!実際、勝手にエアーバックが飛び出たりすることが起きています」ということ。


あれだけ精緻で複雑、かつデリケートな配電盤や制御装置をもつ原発に、何十トン何百トンという海水を放水したにもかかわらず「電源さえ復旧すれば改善は間違いない」と唱え続ける御用学者は、一体この先に待つ事態の何を予想しているのだろうか。



小出裕章氏(京都大学原子炉実験所助教)によると、現時点で最悪のシナリオは、今持つ日本の安全基準を厳密に適用すると、風向きによっては放射線の管理区域を原発から700km圏内までとしなければならず、その区域からの避難が必要になるという。もちろん、その地は無人区域に指定される。

この事態は、福島県に留まることなく、日本全体のダメージに繋がることは間違いない。結果として堰を切って日本売りが始まり、日本経済はドミノ倒しのように連鎖して落ち込む。政府は、それを一番恐れているので「枝野寝ろ!」と言われ続けても「今のところ直ちに健康を害する範囲ではないと承知していますが、自主避難を始める段階に入ったと考えることに吝かではない..........」とか何とか訳の分からないことを繰り返すしかない。
 
 
甘樫の丘
 
僕が今、最も信頼する情報を提供してくれているのが、度々ここでも紹介している videonews.com だ。僕がここでウダウダ言うよりも、現在無料放送に切り替えて緊急事態に応えていることでもありますので、是非皆さんには、正確で正しい情報をいち早くキャッチして欲しいと思います。


特に薦めたいのが以下のコーナーです。

『あえて最悪のシナリオとその対処法を考える』


『緊急院内集会 福島原発の現状をどう見るか』


『日本の何が揺らいでいるのか』


ちょっと長いのですが、オンデマンド(段階的に聴きたいときに分けて聴けるシステム)ですので、税金や東電のコマーシャルで支えられている大手メディアでは絶対に聴けない旬で正確な情報がとれます。

ただし現在、計画停電の煽りを受けて160mbを誇る僕のネット環境でも、たびたび放送が途切れますのでご容赦ください。

明日香村山田寺跡へ
 もちろん大変なことになってきた訳だが、宮台真司が言うように、その運営をする資格がないにもかかわらず「原発を許してきた社会」の責任は、日本人全体にある。今更 fukusima 50 (フクシマフィフティ)とアメリカで英雄視されている原子炉で被爆しながら作業をする50人の東電社員はもちろん東電そのもの、そして経産省を責めても始まらない。重要なのは、先の敗戦の総括をないままに、戦後同じ様な過ちを繰り返している僕らの社会システムの有り様を猛省し、新たな社会を築かなければならないということ。


でも、それが一番難しいのかも知れない。復興の名の下に、戦後のドサクサと同じベクトルで唯々物理的なインフラや日常が戻ることに汲々として同じ轍を踏むことだけは避けたいのだが、果たして僕らにその様な知性と勇気があるのだろうか。
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酒船石近くの竹林
ひしひしと迫る原発事故の不安を前に、毎日日課のように会津若松の放射能測定値を福島県災害対策本部の提供する「福島県内各地方 環境放射能測定値」で確認している。


厨子の木地工作でお世話になっているALTE MEISTERさんは、今ただ中にある福島県は会津若松にある。不幸中の幸で会津若松は、福島県内でも放射能測定値は低い方で今のところ推移している。しかし、気の毒なことに飯館村は、福島第1原発から北西へ40キロの地点であるにもかかわらず測定値は異常に高い。京大の小出助教は「この値では、この先、無人地区に指定せざるを得ない」と苦渋を込めて話していた。 



そして、毎日の生活が待っている。水や野菜、そして鮮魚。これら生活を支える基盤食品は、最早関東以北では生産できないかも知れない。現地では、未だに風呂にも入れない人々が大勢いるという。こういった状況で、TVCMを始めとして全てが自粛ムードになり益々沈鬱になる。しかし、阪神淡路大震災の時に臨床心理士としてボランティアで活躍した方が言うには、こういったときほど飲み会など日常の楽しみを自粛すべきではないということだ。
 

もちろん、哀しく沈んでいるときは、素直に沈んで静に過ごすことも大切で、無理に皆とワイワイやると後でリバウンドが来るという。


僕自身、こんな時に何を書いても無駄なことをしているようで今一つ乗れないが、でも祈ることも大切だとも仰っていた。「世界の方々が祈っていることを感じるだけで、被災者の皆さんにはパワーとなって間違いなく届く」と。

と言うことで、今回の更新は、それこそ祈りながら書き続けることにしました。



被災地の一日も早い復興を祈っています。
 
明日香村
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