鉱山跡.......金浦地区
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2009 --2016
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  先日、地域の様々なことを教えて頂いている同じ村の畳屋さんのお誘いで、僕の住む金浦地区に遺る鉱山跡と廃寺跡に小雨降るぬかるみのなか山中に入りました。実はおまけがありまして、ご近所に漆の樹があるので、それも見に行こうということもありました。

何故こういった流れになったかというと、やはり地域の人口減少が背景にあると思います。僕の住む金浦地区は、凡そ38世帯で小学生はたったの二人しかいません。皆さん口には出しませんが、あと数十年後にはこの村もなくなっている・・・・と実感なさっていると思います。事実、僕がこのところ漆の植栽に適すると思われるところを物色しているわけですが、該当する場所は、以前この村の皆さんがお住まいになっていた山里です。今ではただの山林になっています。以下↓
実感として「消滅してゆく・・・」と感じておられるわけです。それならば今のうちに(村の長老の記憶が確かなうちに)村の何かイワレのある処(名所旧跡などという大袈裟なものじゃありません)を訪ねて記録に遺そうということになったわけです。この動きに一枚噛んでほしいということで、僕自身は金浦地区の古文書を載せたいと考えたのですが、古文書の先生に確認したところ残念ながら手元にないということでした。


小雨降る中、たどたどしい長老の記憶を頼りに山中に入りました。最初に入ったところは、鯨峠(鯨の骨が出土されたことにより命名)の途中にある山林にある鉱山跡。長老によると、軽い金属がたくさん採れたという、ざっくりとしたおはなしでした;;;おそらく錫だと思います。但馬に現存する鉱山がそうであるように、おそらくこの鉱山跡の洞窟を掘り進めば、未だ未だ相当な鉱物が出土すると思います。ただ、それを製錬したりするコストが高くつくので、海外から買った方が安くつくというだけだと思います。僕自身は、出来れば地元で採れる錫を使って仕事をしたいと思いますが残念ながら儘なりません。

鉱山跡(錫他が採掘されたということです)
  かつて織田や秀吉が、とにかく但馬を支配下に置くことを念頭に世を治めたのも、但馬に多くの鉱山があったことにあると思えます。とにかく、その辺を掘れば貴金属やら卑金属がわんさか出たりするところです。もしかすると僕の住む「金浦」も、その名から察して金が結構出たのかも知れません。畳屋さんのお話ですと、小さい頃、よく銀を取りに行った・・・と嘘のような本当のことのようですから。


雨の中、続いて散策したのは「雷光寺跡」。長老が小さい頃は、廃寺の礎石が確認できたということでしたが、今ではその気配すらありませんでした。こんな山中に?といった険しいところでした。昔の人は、この近くに棚田も耕作していたということですので、さぞかし厳しい生活だっただろうな~と。。
 

雷光寺跡へつづく山道
ちょうど今は、狩猟の解禁時期なので目立った格好でないと危険だ!と長老は仰っていました・・・早く言ってくれよ;;

長老と畳屋さん
この後、地域の金毘羅山近くの古墳跡(横穴式住居跡)に足を延ばしました。雨で画像が✖です;;
この横穴には、以前ご近所の方が家族と離れて一人で住んでいたことがあったと、長老はあっけらかんとお話になります♪ そのことで、畑の作物が少しずつなくなっていたけれど放っておいたという寛容さ。。どこかで羨ましく思っている風な、何となく分かるような風のところが緩くていいな~と思いました。

そういえば、五十年程前、僕の親父が酔っ払って「昨日はビニールハウスに泊まった」なんてドキッとするようなことを話していたのを思い出しました。超真面目な人だったので、まさか女を作って泊まったり器用に出来る人ではなかったので本当だったのだと思います。親父の過去が、それなりに凄まじいものだったことは薄々感じ取っていたので、そうせざるを得なかった事情が人にはあるのだと人生の深い一面を覗いたような、人には窺い知れない、触れられない部分があるのだと知った、今となるといい逸話でもあります。

もし僕に、人より寛容なところがあるとしたら、たぶんこの辺のことだと思います。
 







我が家の天井
上の画像↑僕の家(農家の古民家)の天井です。

先日、今月地域の月当番の僕は、組みの皆さんと公民館の清掃をしました。その時、お隣の元区長も参加していたので、地区の山林や耕作放棄地に漆を植えたいのですが、地区割りが複雑で誰がどこの所有者なのかわからない・・・・等々の話を振ってみました。そうしたところ、「耕作放棄している土地やから、みんな喜ぶで」と心強いお返事。しばし漆の話で盛り上がりました。


元副区長の話によると、「この辺は皆、ドン百姓=(貧しい水飲み百姓のこと)だったよって金もね~し、仕方がね~で娘が生まれたときに畑の周りに漆を植え、内に桐の木を植えたんや。それでもって、娘が嫁に出るとき漆を掻いて一升瓶に一杯入れ、桐の木と一緒に竹田家具にもっていってタンスに仕上げてもらったんや。」ということ。

お~っと、「それじゃ僕んとこの天井、漆みたいに光沢があっていい感じなんですが、あれって漆ですか?」と聞き返したところ、「この辺のものは皆、昔はそうしたんや」という驚きのお返事。








やはり水道屋さんが言っていたことは本当でした。ほんまもんの日本産漆で仕上げられた天井です。びっくりですね。

この元副区長は、元区長と並んで、よく野菜や漬物を届けて下さいます。そう二年前、このご両人に瓜を頂いたんです。まったく甘みがなかったので、少し置けば甘くなるだろう・・・と二週間ほど於いてから食べたんですが、依然として甘味がないので、ならば種なら甘いだろうと種を食ったのです。不味い;;でも区長/副区長にもらったものを捨てらんないな~と、すべて食いました。

これが腐ってたんですね、二時間後、上下から大変なことになり、給水しても吐き出しちゃうので脱水状態。自力で夜間診療を受診しようとしたら、この地は田舎でそんなものはない。死・ぬ・な・と思いましたね。
もう仕方がないので救急車を呼びました。生まれて初めての救急車です;;;

隣の市の八鹿病院に運ばれて、安心したのでしょう、点滴を受けたらけろっと良くなり、それを見た看護婦さんが、「それではお帰り下さい」と言うのです。。はぁ?って聞いちゃいました。「いえ、良くなったようですのでお帰り下さい」。だって今夜中の二時ですけど・・・・バスはないし、タクシーも来てくれませんが.....「規則は規則ですから」ですと;;そこで考えついたのは最終手段、電話帳でお隣の元副区長を探し当て迎えに来てもらおうと看護婦さんに電話帳を調べてもらいドンピシャ一発でお隣を探し当て電話して事情を伝えたら二つ返事で迎えに来てくださいました。「真夜中の二時半やったから嫌がらせの電話かいなと思ったさ」と笑っていました♪ 感謝
えーと、話が飛びました。そうなんです、我が家の天井板は、すべて地元の漆で仕上げられていたのです。感無量でした。
 
地区内に残る漆の樹
  大分フリーズしていました。申し訳ない。

上の画像は、僕の住む地区の長老に案内されて確認した漆の樹?です。かなりの古木です。その時、車のキーで幹の一部を引っ掻いてみました。めくれた肌がウルシっぽいのですが、今一つ確信が持てません。一応メールで「うるしの館」館長に問い合わせたところ、苔生しているということは老木の証拠で、樹液は出ないかもしれないが、春になって葉が茂れば大丈夫かも知れないというコメント。


後日、植栽予定地の見学に来ていただいたときにご案内して確認を仰いだところ、間違いなく漆の樹だということでした。その特徴は、幹が円形ではなく、お結び型であることと、枝に赤い点々が確認されることだそうです。以下↓
 
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植栽の予定地(勝手に僕がそう決め込んでいるだけですが)は、水はけや、太陽光の射し具合もいい感じだということ。ただし、獣害対策用のネット外であることと、長い間耕作を放棄していた場所なので、すすきの根や、笹の根が一面張っているので耕すのが大変では・・・・ということでした。ちょっと難問。。
それと、とても良いお話を。。

先日僕の家の天井が、地元の漆を使っているはずだと教えて下さった、お隣の元副区長から聞きました。


上の画像は、植栽予定地を少し登ったところに祀られる山の神の祠であることは、ちょっと前に触れましたが、この御利益は、何と鬱などの精神疾患がその対象だそうです。村の中で鬱になって引きこもったりした人々は皆、この祠まで登ってお参りをしたというお話でした。どうして、この女神にそんな霊力があるのかまでは掴めていませんが、かつて地域には、様々な災いや幸いをサポートする神々が居て、地域の自然や精神世界も含めた全体を保全していたんだな~と感心しました。


漆の樹の植栽が発端で、今回たくさんのいいお話が詰まったつづらを開けたような心持でいます。瓢箪から駒というか、開けてびっくり玉手箱というか、予想外の展開になり、やはり女神は地域をしっかりと見守って下さっている様です。


では、では。