新古文字椀 (風味)


風(鳳)


size: 13.5 × 8 cm
finish:錆仕上げ+透き漆(高台周辺)  内側:渋朱
文字部:錫粉(蒔き放し)
木地:栃材

画像の古文字は、風味の「風」と「味」です。

Today's image「薫風」でも触れましたが、白川静氏によると、「風」は元々鳥の形をした神で「鳳」と書き、風神と考えられ、その風神が各地に出かけて行き、人々に影響を与えて風俗や風物が生まれるといいます。

「かぜ」の意味は、空気の動きによってその意味を表現したのではなく、神聖な鳥の姿や龍のような姿をした霊獣によってその意味を示しているということです。



漆という材質の魅力は、「木胎に塗布したときに表れる木目を生かした透きうるしにある」と言っても過言ではありません。この椀の高台部分に、この「漆の魅力」である透きうるしを隠し味として表現してみた。「透きうるし」は、時を経るごとに味わい深くなります。
 漆工芸として、僕に課された役どころは、”現代”を表現の核に据えることだと認識している。なので、一般的に流布されている”漆の良さ”の上に立って表現するのは、他の作家にも出来ることで自分のすることではない!と考えていました。けれども、そういった役所を超えて飴色に輝く漆の魅力は素敵です。ここは素直に、漆のもつ卓越した材質の力を借りてみました。

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