「100円 Shop のCD」

 わが町にも「100円Shop」がある。文具はけっこう使える。

 先日、この「100円Shop」に黒インクをさがしに出掛けた。
 まったく、ひとだかりの無い外れの外れの一隅に、なんと100円のCDが寂しく置かれているのを見つけた・・・・・・「音すんのかよ..............」。  パタパタパタと、冷やかし半分にCDをめくっていくと「広沢虎造」という文字が飛び込んできた。 なつかし。。。。  「そういえば???・・・・次郎長・次郎長・次郎長っと」、「あったあった、『清水次郎長外伝』、フムフム・・・・・・『石松の金比羅代参』・『石松三十石船道中』、よし!」。 

100円なので駄目もとで“買い!”。

・・・・・・・ケッ、相変わらずマイ・コンポのCDプレーヤーの機嫌が悪い。REPEATやSTOP、それにPAUSEボタンをフェイントを入れながらランダムに圧し、相手のすきを突いてPLAY ONになるのを期待したがダメだった。しかたなく、かみさんが老人給食のボランティアで使っている型落ちしたCDラジカセを借りた。

おもしれ〜―〜.......................。

これがマジで面白いのだ。期待どおり森ノ石松はバカで元気だった。

ここ関東でも吉本興業のあおりを受け、やけに関西弁が横行しているので、CDから聞こえて来る、ちゃきちゃきの江戸っ子弁は、歯切れ良く実に気持ちいい。

そう言えば僕の生まれた深川では、昔は横町の路地裏で縁台将棋でもしているじいさんに「すいません、○×商店ってどのあたりですか・・・・・?」と道を聞くと・・・・・・・

「そこのタバコ屋の角をチョイッと曲がってみな、両足を交互にまっつぐあるいていきゃ〜、お前さんの鼻面にイヤでも立ってら!!」ってなぐあいに威勢のいい江戸弁が聴けたっけ。

CDの解説に目を落としたら〈20:08〉〈19:47〉と、浪曲の所要時間の記載があった。
これじゃ〜、いくら面白くても今の世の中ラジオ局は取り上げないナ、残念・・・・・・・

 僕にとっては、あっという間の浪花節だったが、一分あたり何十万をペイしなければならないと言ったメディア事情の中、どんどん伝統文化は消えていかざるをえない。寂しいかぎりだ。 

「喰いね〜喰いね〜・寿司喰いね〜・酒飲みね〜・江戸っ子だってね〜『神田の生まれよ!』・・・そうだってね〜。それで、石松ってのは、そんなに強えーか?」、「でも、あいつ〜人間が馬鹿だから」.。。。。。。。。。

誰か「いっこく堂」の腹話術のように「浪花節」を今的に復興してくれないかな〜・・・・・・・・。