あっという間に桜も散ってしまった.......................

万葉人が、それまで中国伝来のモダンな花とされた梅から桜へとその関心事を移したことはよく知られたことだが、その訳は桜の咲く様を目の前にすれば誰にでも分かる。

冬の間、くすんだモノトーンであった森や山肌は、桜の開花を契機に春へとスイッチが入り、その切り替えはほんの一瞬だ。そして、桜は春の象徴として働き続ける。



例年、何かに憑かれたようにデジカメ片手に市内の桜山やご近所(沼間圏内)を徘徊する。でも、桜を愛でるとは、カメラという記録メディアを持たず、自分の心に桜を取り巻く「気」を留めることにあるのでは.........とこの歳になると気付く。
とはいえ、ホームページの更新のこともあり、正直デジカメは放せない。

(ご近所の桜 pm 12:45)
最近は、間近で見る桜より、遠く離れた山肌を薄桃色に染める雑多な山桜の方が風情があるように感じる。間近で見るなら夜桜かな。。。

桜の花の下には、死体が埋まっている...............とか、桜の花の下で狂ってみたい...............といった喩えが妙にリアリティーをもつのも、やはり桜が他の花々と違って、人の本質を露わにするような霊気を宿っているからでしょうか。それとも、桜の開花と散るまでがあまりにも短いため、まるで生と死が混在しているような、地続きのような印象を持つことが出来るからでしょうか.........。

何れにしろ桜の花には、世の無常をうったえるメッセージが色濃く込められていることは確かなようです。

人の一生が儚いからこそ、濃密に生きてみたいと思うのは素直な心意気です。



気付くと四月の山肌は、色とりどりの淡いパステルカラーで染めたように豹変している。一年の内、一番デリケートで豊かな色調で山肌が染まる時季だ。

(ご近所の桜 pm 12:51)
若い頃、サクラは忘れていた不安を呼び起こすようで嫌いだった。入学式や新学期と重なっていたこともあるかも知れない。これは、僕が神経質な子供だったことを裏付けるのかな。。。

(ご近所の桜 pm 12:43)
今年も、もう4月。次の春をイメージできてしまうくらい性急な時の流れを感じる。

もうちょっと、ゆったりとした時の中に自分を解き放して見たいような気もします。

そう、来月は個展です。みなさんに,楽しんでもらえるものを何とか作りたいと念じつつ、日夜制作に励んでおります。。。


あしひきの山桜花日並べてかく咲きたらばいたく恋ひめやも