これは、僕が改良して工作した「粉筒」です。

「粉筒」とは、蒔絵の作業で使われる竹筒で、片側から適当な粗さの金属粉を入れ、反対側の端に付けられたメッシュから粒をそろえて篩い落とすための、いわば小さな篩い(ふるい)のことをいいます。

上の画像で、一番右の竹製のものが正規の蒔絵用のもの。左二本は、あまり小さな粉筒ではラチがあかないので、先日僕が作ったアルミ製の新粉筒です。一端には、金属メッシュを張ってみました。なかなかの使い心地です。

でも、テーブルなど大きなサイズの作品を制作するとき、これでも大きさが足りません。そこで新たに考案したのが↓↓です。
いえ、スペースシャトルではありません。れっきとした「粉筒」です。そして、電動式であります。

本来粉筒は、鉛筆のように筒を持ち、薬指と小指で筒を軽く弾くことで中の金属粉を篩い落とす訳ですが、テーブルの全面に錫などを蒔く場合(他の方々は、あまりこういうことはしません)鉛筆大の粉筒では、蒔き終わるまでに時間が掛かりすぎて日が暮れてしまいます。その前に漆が乾いてしまって仕事になりません。
と言うわけで、茶筒を改良し、片側に金属メッシュ、もう片側に蓋付きの「新粉筒」なるものを考案したまでは良いのですが、あまりにもその図体が大きく重いので、うまく「振る」ことが出来ません。

そこで、最初に思い付いたのが、電動歯ブラシを改良して付設することでした。でも、残念ながらパワーが足りません。

ふむ
、振動・振動・振動・・・と唱えていたところ........

振動→バイブレーション→バイブレーターと続き、ふとアーティスティックでちょっぴり邪悪な閃きが・・・・・

そうだ!おとなのオモチャのサイトへ行こう!
っとアクセス.......
大奥に忍び込んだ忍者の気分です。。。。

.....そこはもう驚くほどのバリエーションと品数で、おまけに価格も300円代からそろえている充実ぶり。そして、使い勝手?も品質も良さそうで丁寧な使用後の感想まで掲載されていました。

サイトの構成も、明るく健康で、いわゆる「大人のオモチャ」的ないかがわしさは微塵もなく、それは見事です。

でも、残念ながら改造した茶筒に添えたとき、スイッチが適当なところに来そうもないので泣く泣く諦めました;;;;


(後日、この話をかみさんにしたら「買えばよかったじない」、というので「えっ、つつっ使っても好いの?」と聞いたら『バカ』と一蹴されました。とほ.......加筆;;;)。
結局、最終案は、電力の強い交流電源が使え、加えて充電式に切り替えてワイヤレスとしても使用出来る、すぐれものの電動シェーバーに決定。
振動部をワイヤーで本体に接合したので、見てくれは少々悪いものの、パワーも十分で使い勝手も申し分ありません。

小さな椀も好いのですが、性格的にやはり大作の方が僕の性に合っているようなので、この「新粉筒」をフルに使いこなして、また新たな大作に挑戦したいと思います。
この九月に開催されるという、パリはルーブルでの工芸のビエンナーレに出品依頼されたサンプル作品(「はーと落書き椀」)に早速「新粉筒」を使ってみました。
 今までのものより錫粉の粒子を大きめにしたので、仕上がりは重厚になりそうです。明日、錫を研磨し大急ぎで仕上げて、日本から唯一招待を受けたギャラリーに送るつもりです。先方では、「落書き錫研き折敷」他と並んで陳列されることになっています。あちらでどの様な反響があるのか楽しみです。

あまり夏らしくない今年の八月お盆ですが、暑い夏が好きな僕としては、記憶が飛びそうなくらいカッした日差しが恋しいのですが...................

残暑お見舞い (2006年 盆)