合鹿椀(殷墟文字)

殷墟文字表面 殷墟文字表面拡大 殷墟文字裏面 殷墟文字裏面拡大

錆仕上げ表 錆仕上げ裏

下書き

                           

殷墟文字例

古文字(殷墟文字≒甲骨文字)

殷墟(殷がその後期、前14〜前11世紀に都したところで、中国河南省安陽市の北西郊にある殷代の遺跡。)

 1928年以来の発掘で、多数の宮殿址・大墓・小墓、無数の竪穴が発見され、殷の工芸技術の粋を示す銅器・白陶・象牙彫刻・玉器などや文字を刻んだ甲骨が出土しました。

殷墟文字合鹿椀 コメント

面白い殷墟文字は無限にあります。多分僕が今から毎日書き続けたとしても書き切れないことは間違いないと思います。その中から敢て椀に書く文字を・・・・となると人が喜ぶ縁起のいい「鶴亀・壽」は定番です。

次に今回選んだ「食物」や「食すること」に関する文字になります。

ここでは,五穀(米・麦・粟・稗・豆)・海の幸(蝦・鯛・蟹・鮑)・野菜(白菜・南瓜・人参)・果物(葡萄・林檎・苺)そして,栄養・元気といった文字を書いて錫の蒔絵で仕上げてみました。

裏側には,食することの動詞に当たる文字(嘉・嚼・食・飲・餐)を書きました。

嘉は「よみす」と読み,古くは中国で「人を食事でもてなし褒め称えること・・・・」だったそうです。楽しいことこの上ない形をしています。

                                                 

補足

文字を書いた地の部分の形はどこから来たのかというと・・・・・・遺跡から発掘された甲骨の断片です。必然性,あるいは整合性のある本当に美しい形を残しています。

実は当初この部分は鉛の象嵌でその上から文字を書くはずでした。(眼を凝らしてご覧頂くと少し陥没しているのがお分かりになると思います)。鉛を嵌め込んだ段階であまりの重さにびっくり。泣く泣く剥がして暫く放っておきました ^^; 。今回とても自然に仕上がったのは,毎日眺め続けていたからかも知れません。