蕪紋朱合鹿椀
 
 このところ「朱塗」に回帰しています。

ウルシ→朱と言っていいほど漆塗りを代表する朱塗りですが、今までそれほど意識せずに来ました。へそ曲がりなので、人がやらないことを依ってやるきらいがありますので、そういった事情から朱を避けていたのかも知れません。でも、素直に「朱」は好いです。そして、大根に並んで蕪美味しいですし、いい形しています。まじまじと見入ってしまいます。

この合鹿椀の蕪紋、一見すると何でもないような柄ですが、「掻き落とし」という手法で仕上げていますので Jazz の即興の様に一発勝負でスリリングな作業です。べたーっと朱漆を大まかに配った後、硬めの箆の先を使って葉脈や皴、そして枝の境を描いてゆきます。

一発で決めなければならないので集中し緊張します。大らかな絵柄なので、緊張が表に出ないよう心掛けながら揺ったりとしたイメージで描くよう心して掛かります。最近は、描き始めれば何とかなる・・・といった腹の座り方を会得しましたので、昔ほど緊張することはなく楽しく描いています。