椿梅重




素材:・・・栃

仕上げ:表・・・金蒔絵   内側:古代朱(布着せ)+呂色

    幹部:(火山灰+漆)ブロンズ粉腐食(緑青)

    花弁:朱漆  葉:緑漆

size :φ23×h15(cm)


『日本漆工の研究』(沢口悟一著)によると、火山灰による漆下地は、輪島の地の粉による下地より遙かに強く、他の下地法を遙かに凌ぐ堅牢さが科学的検査で実証されたとあります。恐らく噴火の際、その粒子の内部までガスが入り込み軽石のような構造になり、そこに漆が入り込み、より堅牢になったものと思われます。

二十年ほど前の桜島の噴火の際、九州の陶芸家・岩田圭介さんにお願いし、火山灰を送って頂きました。幸運にも彼のお兄さんが、鹿児島窯業指導所にお勤めになっていたので、ご丁寧に篩に掛けた火山灰を頂きました。感謝!


尚、銅が腐食する際に出る緑青は、その色調から毒性があるものと言い伝えられてきましたが、一切毒性はなく、人体に影響は全くありませんのであしからず。
二段重本体







仕上げ:古代朱(布着せ)+呂色

















(ご近所に咲いていた椿とスケッチ)
椿梅重の図案は、鎌倉彫の修業時代に描き溜めたスケッチと、大分前にご近所に咲く見事な椿のスケッチで構成されています。



作業風景の詳細はこちら→→Today's working file





おまけのコメント

先日、この椿が``事情があってお隣さんが留守の間に入った植木屋さんに、うっかり切られてしまい、とてもショックでした。椿は強いので、挿し木も可能とのことでしたが、植木屋さんによると根を植え替えた方が確実だ・・・・ということでその根を頂きました。息子と手分けして植え替えたので、いつの日かまた、あの見事な椿が咲くことを祈り、毎日、生ゴミ処理機で出た肥料を根元にあげています。
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(頂いた椿の根)