金彩古文字椀(1981年作)


古文字「亀」 古文字「壽」

素材:欅
仕上げ;金彩・古文字・落書き(引っ掻き)
確か、カメラマンの方がお買い上げになった椀と記憶しています。

この椀の木地は、「カンナ目椀」と称し随分と活躍した。当時資本がなかったので、小田原の出来合の木地を豆カンナで修正して仕上げたちょっぴり切ない思い出がありますが、仕上がりには自信がありました。そして、このあと舞台を六本木に移し、古文字(殷墟文字)を使った椀やお重が全面展開されることになります。

今も変わりませんが、古文字(殷墟文字)と落書きは、僕の中で同じ地平にありました。そこに僕が見たかったものは、原始美術にあるような表現の起源です。表現が文化として蓄積される『以前』、つまり様式化以前の表現の有り様をどうしても見ておきたい・・・・この欲求は今も続いて持っています。

このことは、表現がマンネリ化してしまうことを強く規制する意識と、いつもフレッシュな表現を提案し続けたいという意識が働いていたからだと思います。