TITLE:「かさこそと、そして百済に寄り添ふ」


70×35×6 (cm ) 欅廃材




彫刻部

仏足部

コメント
この材料は、今から25年以上前給料が4万円位のころ(生きているのが不思議)、なけなしのお金をはたいて鎌倉は材木座の放蕩を尽くして店を潰した材木屋の爺さんから買った廃材です。
縁の下に放っておいたことで、シラタの部分が虫に食われてなかなかいい調子になっています。

僕は、当時も今も朝鮮は「百済」のスタイルにひどく魅せられ続けています。ここにも当時の古瓦の蓮弁紋を模刻してみました。斜めに棒状のものがありますが、これは庭に埋まっていた錆びた水道管で、「幸・無尽蔵」等の殷墟文字を地の粉(漆と火山灰)で書き込み金粉を注してみました。

この作品をMODERN ART と呼んで好いものか迷うところですが、しかし、COLUMN(「色について」) でも触れたように現代美術の情況そのものが解体しているので、誰も現代美術を正しく?規定できないでいます。従って、どの範疇にも入らないこの作品は、 NEW TRADITIONAL とでも読んで下さればありがたいところです。そして、僕は鎌倉彫(仏師が始めた表現)出身なので、仏教美術や「古び」と言う「時間表現」を強く意識するところがあります。

この作品から朝鮮及び中国そして、インドに繋がる文化のDNAを感じ取っていただければありがたいところです。
                                                横浜本牧 柏野氏蔵