![]() 経済産業大臣賞 鍛銀 「流し象嵌香炉」 作:高田裕蒼 |
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いえ、僕が受賞した訳ではありません。姪(姉の次女)のお話です。 先日、新年に相応しい目出度い話題が舞い込んだ。昨年暮れ気絶するほど忙しかったので、賀状も明けてから認ためたし大分端折った。で、頂いた賀状の中に姪っ子のものがあった。姪っ子は九州の宮崎県の酪農農家に生まれた。ご存じのように、日本の第一次産業は非常に厳しい。宮大工の叔父を頼って上京したものの生活は大変だったに違いない。そう言った背景もあって賀状の返事には携帯の番号を添えて返事を返した。そうしたところスマホにメッセージが入った・・・・。 |
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母親は病みがちで頼りにならない事は察しがついていたので、さぞ不安だろうと・・・・。 メッセージには、こちらの真意が伝わった様で痛く喜んだ様子。そして、そこには↑の画像が添付されていて「全日本金銀創作展」で受賞したとあった。一昨年母親(姉)から、この姪が弟子は取らないという北陸の鍛銀伝統工芸士の門を叩き粘りに粘って弟子となり、この世界に入って数年で「日本伝統工芸展」の難関を突破し入選を果たしたことは聞いていた。蛙の子は蛙だ。母親は、小学校の頃、全国書道展で銀賞をとり桐箱に入った馬鹿でかい銀メダルを我が家に持ち帰った。他にも詩を書けば入選するし、ポスター展に出品すれば賞をとるという呈。親父の大戦によるPTSDがなかったら間違いなく大成しただろう。 |
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カクテルグラス 作:高田裕蒼 |
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ほぼ身寄りが居ないのは知っていたので「困ったら連絡しな」というコメントが余程嬉しかった様で鍛銀のカクテルグラスを送ってよこした。授賞式のため上京するというので銀座の三ッ星レストランで・・・・と言いたいところだが未だコロナ禍のダメージがのこっているので、厨子屋さん近くの三州屋で乾杯しながら祝ってやろうとメッセージを送ったところ、生憎翌日京都に転居するので、その準備のため北陸にトンボ返りだということ。残念。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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カクテルグラスが入っていた桐箱も立派で高そう。 ・・・・で、ちょうど今終活(断捨離とも言う)の一貫で本の整理をしていて、先日も古本の買取の査定に来てもらったが・・・僕の蒐集した書籍は、ほぼ美術書や哲学書の様なマイナーな専門書なので買い手もつかず困っていたところ。今はネットの時代なので、出版社は新たにコストがかかる美術書など製版する余裕などない。今後昭和に出された様な分厚い美術全集など出版されることはないだろう。 そんなこんなで、姪っ子に「要るか~」と聞いたところ美術書など持っていないとのこと・・・。嘘マジで💦 只の才能だけで公募展に入選したり受賞したりしたのか?それってポテンシャル高か過ぎだろ! |
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僕の蒐集した書籍の殆どは吉本隆明関連で占められる。残りが美術書及び殷墟文字の専門書になる。今回貴重な美術書、特に正倉院宝物は伝統工芸を手掛ける姪には必須。加えて日本では縄文、飛鳥、桃山、元禄、近代では民芸運動、そして、現代美術では「具体派」、「もの派」。世界では、原始美術、ギリシャ、ローマ、中世(イコン)、ルネサンス、近世(印象派)、モダンアート。アフリカや中東シルクロードも入れたいが資料は余りないので抜かした。 漆関係は必要ないだろうから省いて、他の貴重な美術書は全て詰め込もうと思う。 |
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全書は兎に角重い。空間を少し開け何とか持ち上げられる様な大きさに収めた。計4箱。 色々あって姉とは音信不通だったので姪っ子とは二十年以上会っていない。この間どう言った経緯で工芸の世界に入ったのかも知らずに来た。僕は鍛金の世界は全く知識がないが、今回受賞した作品の画像を観てイメージの再現性、量感を含むデザインは見事だと感じた。一体どういった風にここまでのデッサン力とかを身に付けたのか驚きだ。本人曰く「美術書は持っていない」と聞いてにわかに信じ難いが事実だろう。となるとこれから工芸はもちろん、表現一般の「智」を身に付け、その引き出しを増やしたら凄いことになる。家族のことで苦労も多かったろうから胆も据わっている。あとは健康に留意して何か息抜きできるものを見つけ精進して欲しいと願ってやまない。 頑張れ寿笑留! |
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