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 このところ前髪が薄くなって来たなぁと今更歳を感じる自分がいます。

そのせいもあってか、アンチエイジングというフレーズが自然に耳に入って来る。そんな自分から距離をとってみると、エイジング(歳を重ねて老いること)とは、現代社会にあってはマイナスのイメージを喚起するのだろう。
 嘗てお隣中国では、老子という賢人がいた。「老子」と名を付けたからには「老」の背景に歳を重ねることで培われた徳なり仁なりの知恵を持ち、それを人々の役に立てることが出来る成熟した大人を意味したに違いない。

では何故、今の世の中では、その「老」が介護を含め社会に負荷をかける“厄介者”に落ちてしまったのだろう。特に、お金を持っていない高齢者は、姥捨て山に放り出される勢いだ。
年も押し迫ると、親や兄弟姉妹が亡くなり年賀状を遠慮する旨の灰色の葉書がたくさん届く。文面を読むと親が96才・98才で永眠といった内容が多い。先ず鬼籍に入る年齢に驚く。もちろん、70才前で兄弟が癌で亡くなったという通知もあるが、圧倒的に100才近くで亡くなったという方が多い。当然、老々介護になることは必定になる。

金銭的に余裕があれば別だが、平均的な家族では、物心両面での負荷は大きいに決まっている。となると、家族に負担をかけないように「老い」の質と速度を極力コントロールしなければならない必然性が当たり前に生まれる。それがアンチエイジングの本質だ。国が悪い訳でも、頼りない岸田政権が悪い訳でもなく、健康で文化的な生活を営むことが簡単ではない程、人が死ななくなってしまったことが主たる要因といえる。

これは人類が初めて体験する事態なのだがから、先ずアンチエイジングを叫んで時間稼ぎをする以外に妙案はない。
もう30年も前に聞いた話だが、嘗ては、先に生まれた者が後から生まれて来た者に日々の生活の糧となる生業の「技」を伝えることで社会は回っていた。でも今では、PCにしてもスマホにしても、後から生まれて来た者が「技」を教えるといった転倒が時代の基底になってしまった。これでは年寄りは、無駄に歳を喰っている言われて頭を掻くしかない。

日本は世界一の長寿国となって久しい。そして、どこの国よりも早く高齢者問題が課題となった。でも今では、先進諸国は、どこでも介護の問題が国の大きな課題となって国の財政を圧迫している。それは、中国然り、インド然り。
  さて己はどうだろう。

テニスをしていても、フットサルをしていても歳を明かさなければ、先ず実年齢に見られることはない。コロナ前、お隣の町でフットサルをやった時「東さんはお幾つですか?」と聞かれたので「幾つに見えますか?」と返したら「そうですねぇ50歳くらいでしょうか…」と仰る。30代の彼より得点を重ねるのだから、まんざらお世辞で言っている訳ではない…かな。。

とは言うものの、実際のところ前髪は薄くなるは、シミ、シワも多くなるはで、外見と中身のギャップは縮まるばかり。おまけにコロナと来て知らずにストレスから加齢の速度も増している様に思う。物忘れは若い頃からなので変わりはないが、歳は感じるばかり。

こんなことを書いていると、出るのはお金と溜息ばかり…。

そう、歳をとっていいことを一つ見つけた。先日、40年来のお付き合いのあるギャラリーのオーナーが横浜からみえた。無茶苦茶格好良く白髪に染めているので「僕も白髪に染めようと思うんだけど、どうやって染めたの?」って聞いたところ、染めたのではなく自前だというのにビックリ。お付き合いが始まった頃は、エネルギー過多でギラギラ感に圧倒された。けれども、今では歳を重ねたことでいい感じでトーンダウンして落ち着いてみえ、上手に老いを受け入れて素敵にみえた。

これ位だろうか、歳を重ねることがプラスに感じられたのは。

足利の山肌は紅葉も色味を増し始め、赤城颪も吹き始めた。冬も近い。コロナも確実に第8波を迎えようとしている。

季節柄、ご自愛のほど。
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