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くれがたや 障子の色も 神無月 (蒼虬) 神無月の季語は冬だそうで、新暦では10月下旬から12月上旬ごろに当たる。つい先だってまで大汗をかいていたような気がするのですが、朝晩はすっかり涼しくなり時々くしゃみも出る。 この「くしゃみ」、平安時代以降、凶事の前兆と信じられ、それを免れるのにまじないを唱える習慣があったと聞く。古語は「くさめ」。これは、くしゃみとともに激しい気息で魂が抜け出したり、悪霊が侵入したりするなど、霊魂の脱入をもたらすのを防ぐお呪いだそうだ。 古今東西、このくしゃみに関するイメージは共通で、霊魂を守ったり、悪霊を撃退するための唱えごとなどの対処をする習俗になる。 |
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クシャミをすると英語では「Bless You(神のご加護を)」、ドイツ語では「Gesundheit(健康を)」、イタリア語では「Salute(健康を)」(国際日本語普及協会1999:56)、イスラム教徒は「アッラーを賛美せよ」、ユダヤ人は「良い生命」、サモア人は「あなたに生命あれ」(タイラー1962:29)と唱え、日本では中世に「くさめ」「休息万命 急々如律令」と唱えており、近年でも地方によって「トコマンザイ(徳万歳)」(中村
1978)、「クスクェー(糞食らえ)」(山里 1997)と唱えるという。クシャミに対処するために世界中の人々が類似の習俗を発達させてきたの文化人類学の多くの研究者の関心を集めてきた。(クシャミと人類文化―身体音からの人類文化研究の体系化のための試論―小野地健) |
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万葉集 第11巻 2637番歌には、興味深くほのぼのとした「嚔(くさめ)=くしゃみ」の歌が詠まれています。 第11巻 2637番歌 巻 第11巻 歌番号 2637番歌 作者不詳 題詞 (寄物陳思) 原文 :<ら> 鼻乎曽嚏鶴 劔刀 身副妹之 思来下 訓読 :うち鼻ひ鼻をぞひつる剣大刀身に添ふ妹し思ひけらしも かな :うちはなひ はなをぞひつる つるぎたち みにそふいもし おもひけらしも 英語(ローマ字) UCHIHANAHI HANAWOZOHITSURU TSURUGITACHI MINISOFUIMOSHI OMOHIKERASHIMO 訳: くしゃみが出る、またくしゃみが出る。どうやら、腰につける剣大刀のようにぴったり寄り添ってくれている妻も私のことを思ってくれているらしい。(暮らしの歳時記ガイド 執筆者:三浦 康子 |
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上で紹介した「嚔(くさめ)=くしゃみ」を詠んだ万葉集 第11巻 2637番歌は、凶事ではなく吉事と解釈しています。どの様に使い分けたのかは不明ですが、海外でも同じ様な事例もあり凶事だけに限定されるものではなさそうです。 ・ドイツ…「一回のくしゃみは凶、二回でれば物がもらえる、三回目は幸運のしらせ」 ・オランダ…「くしゃみを三回すれば空が晴れる」 ・インド…「食事中にくしゃみが出るのは、誰かに想われている」 |
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くしゃみのピクトグラム(10047456)のイラスト素材 |
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ネットで検索すると・・・・ 他にも「一に褒められ 二に憎まれ 三に惚れられ 四に風邪をひく」等々たくさんの事例がヒットします。概ね凶事ですね。 ということで、朝晩大分冷え込みがきつくなってきました。くしゃみ三回ルル三錠!便座(ベンザ)は御尻にひくもので呑むものではありませんのであしからず💦 風邪など引かれませんよう。 コロナも含めご自愛ください。 |
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