工房構築

漸く仮設の仕事場を離れ、足利での新しい拠点となる工房の構築を始めた。

この半年以上、新厨子の木地の修繕に追われ、通常の作品の制作が全く手付かずできた。修繕は基本好きだが、接ぎめの剥離や陥没・空洞と次から次へと修繕箇所が見つかるので中断。半年は長いし死活問題になるので、大小残った８基の厨子に関しては、個展と切り離して3～4年を目途に修繕とセットで仕上げる案を出したが未だ返事がないので放ってある。

朝からトンテンカンやっていると「おー、いよいよ始まったねぇ」とご近所の方から声がかかる。
　今日は、お隣のご主人から高級食材のサクラマスの燻製を頂いた。夜の八時過ぎてトンテンカンはないので、いつもなら晩酌をしながら夜なべなところを切り替え、ストーブで炙りながら燻製を酒の肴に一献傾ける。
無茶旨い♪

足利は、日光が近いこともあって中禅寺湖近くの釣り場までお隣さんは出かけるそうな（いい趣味なさっている）。先日は、解禁されたばかりのヒラメの刺身を頂いた。サクラマスは八時間以上かけて燻すそうで、この珍味お金を出して買ったら大変だ。

ニジマスの燻製

僕の家は、母屋の前に旧街道に面した店舗があり、これを目当てに関東一円100件程の物件の中から厳選し決めた。東武足利市駅から上野まで1時間半というのも決め手になったが、工房をあまり負担なく構築できるということも大きかった。大工牧野にリニューアルを頼み、ほぼ購入が決まっていた牧之原市の物件は、家主が相続で揉め急遽御破算になったが、古い中古物件でアスベスト建材が使われていたので、こちらとしては結果オーライだ。

歳をとってからの地方都市での生活は快適だ…ということは若い頃から聞いていた。大工牧野の新築第一号の逗子の家は、工房を含めとても気に入っていたが、僕はもう若くはないので海で泳ぐこともなく、子供を岩場で遊ばせることもないので、ここ足利での生活は、適度に田舎で適度に都会、とても気に入っている（まっ、住めば都なのですが）。

お天気が好いと、つい渡良瀬川沿いまで散歩に出かけたくなる。ウォーキングもまったく苦にならないどころか、ご主人様にねだる飼い犬の様に待ち遠しい。こんなことは逗子にいるときも但馬でもなかった。

このところ、修業時代にやり残した図案帳の案を完成させたいとよく思う。80％は手付かずで形になっていないものばかり。もったいない。抽象も多いが、ザッキンばりの半具象もあり悪くない。ファインアートにするとファン層が限られるので、アクセサリーにするというのも手だ。今のトレンドはバリバリの具象なので、反って抽象の彫刻をするという輩も少なく、へそ曲がりで良いのでは。。

昨日、お隣にロングカーゴを借りてホームセンターに足りない木材を買いに出かけて帰ると、駐車場に副自治会長が仁王立ちに立っていて「何やってんの！」って叱られた。

温和な副会長が凄い剣幕で「今、怪しい奴がうろうろしてたんだよ！」と仰る。どうやら僕が駐車場に電ノコや部材を置いたままで出掛けたので、物騒だと教えるためピンポンしても出ないし、車や自転車もあるし、きっと家の中で倒れている.....と察し、会長に連絡して我が家に踏み込むところだったと。。

僕：「いや済みません；；お隣に車を借りてホームセンタまで.......」。
副会長：「ならいいけど、暮れのこの時期は物騒だから気を付けないと。中で倒れているかと....」
僕：「はい、そう簡単には死にません（笑）」
会長：「死ぬときは言ってね♪（爆）」

今日、断熱材の発泡スチロールを敷き詰めて、その上に床材を張り終えた。丁度クロネコヤマトのお兄さんが配達にみえて「これ全部自分でやったんすか！」というので「どうってことないよ、そちらの方がよっぽど大変じゃない」と返したところ「頑張ってください！」って励まされた。

こんな風に師走を迎え、今年も暮れてゆく。。

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