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「ハレとケ」をメインテーマとする「銀座の金沢」での企画展(金沢クラフトビジネス創造機構主催)がこの21日よりスタート。僕の個展ではないにもかかわらず、わざわざ時間を割いてオープニングや会場に出掛けて下さった皆様、本当に感謝に堪えません。 DMの版下を見たときは、一体どうなることやらと危惧しましたが、参加者の皆さんが地元で集まり話し込みを繰り返した甲斐もあり「銀座の金沢」始まって以来の盛況ぶりということで一先ずほっとしています。初めからそうすればよかったのでは、と突っ込みたいところですが、物事には順序というものがあるのでしょう。五回目で漸く望む姿が見えてきたということだと思います。 そもそも余所者の僕が金沢に赴く以前に、自主的に地元の皆さんが話し込みを深め、様々な試みを繰り返すことで成果は上がるはず。ましてや、金沢市のサポートを存分に受けて育った卯辰山工芸工房出身者の方々は、他の産地ではあり得ない条件のもとで制作を続けていられる筈。僕が作家になろうとスタートを切った時分は、土方やタンカーの船底に溜まったヘドロ掬い等、ありとあらゆるアルバイトをして凌ぎました。それに比べると羨ましい限りです。 |
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それにしてもこのところの銀座の変わりようは凄い!の一言です。兎に角、外人、特に東南アジアと思われる観光客の多いこと。そして、皆さん顔付きが、20年程前とは比較にならないほど知的で立ち居振る舞いも品があります。ここでもグローバル化ってこういう事を言うのかと感心します。 先進国にとっては、グローバル化は、自分たちの立ち位置が下がることでもあるので、いろいろ理屈を付けて批判するところですが、確実に資本が高いところから低いところに流れていくので、まあ革命などといった物騒なことをしなくても、血を流さずに革命と同じ効果を得られるのであればマルクスさんもあの世で喜んでおられるのではないでしょうか(もちろん良いことばかりではありませんが)。 |
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そう、グローバル化といえば今回上京した折、銀座の厨子屋さんに寄ったところ、会津若松の本社の方にスイスからの問い合わせがあり、僕の「蓬莱紋彫厨子」と「室町古典椿紋彫厨子」を自分と奥さん用に是非欲しいといった内容だったようで、グローバル化
≒ ネット社会も身近に感じられる昨今です。 スイスと言えば、savoir vivre のお客さんで良く我が家(トトロに出てくるような昭和のボロ貸家)に遊びに来たスイス人(ピーター)がいました。その友人のミシェルも毎月のように遊びに来て、建築学の国費留学生だったこともあり逗子市の海岸に設置するトイレのコンペも紹介したこともあありました(残念ながら落選でしたが)。 そして、スイスと言えばドイツの雑誌(フランクフルト・アルゲマイン社)に紹介され、その雑誌を観たスイスのローザンヌ美術館からも関心を持たれ何れ展覧会をというお話もありましたが、逗子市を二分する「池子米軍住宅反対運動」が勃発し、どういう訳かかみさんが市会議員に出馬することで、まだ小さかった子供の面倒をみることと、合わせて何のサポートもない一介の市会議員でしかないかみさんのフォローもしなければならない(と勝手に思っていただけですが)こともあり、市の幾つかの市民委員や審議会の議長などもすることで時間を取られ、スイスでの展覧会のチャンスを失ってしまいました(未だ諦めていませんが)。 |
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あっという間の三月となり、一昨日好評のうち『暮らしの美學「ハレとケ」のこれから』は終了しました。本年で五回目となるそうで会場の演出も含め、前回とは随分と質が上がった様に思います。繰り返すということの重要性と、何と言っても参加者が金沢という地元での話込みで、お互いの特質等を深く理解し、相互に活かすコラボへと繋げたことが全てだと思います。 ただ、参加者が一同に介して今回のテーマ『「ハレとケ」のこれから』 に関して日本人が悪れがちな「検証」は、するべきだと思います。現地での話し込みを締めくくる意味でも是非それはやって欲しいところです。でないと、売上成績が良かった=成功で終わってしまいます。何が評価されたのか、そして、何が足りなかったのかを総括し、次の発表へと活かして欲しいものです。 欲を言えば「ハレ」とは何か「ケ」とは何かをもう少し詰めてほしかったところです。今回この点に関しては「甘かった」とおもえるからです。そのことが、持続的な発展を約束するものと信じます。 僕の個展ではないにもかかわらず、抗がん剤の苦痛や不安を押していらして下さったYさんを始め、若手の参加者をサポートする意味も含め作品をお買い上げ下さった皆様に、この場を借りて深く御礼申し上げます。 ありがとうございました。 |