「獅子雲紋彫重」
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徒然とは、暇にまかせて気楽に長々と書くこと…らしい。暇はありませんが気を楽にして書きたいなぁとは思います。

漸く金沢市の企画する「工芸×霊性」にむけた作品(「はーと落書き万葉小厨子」と「獅子雲紋彫重」)を仕上げ昨日発送。最後の最後まで、幾つかあった仕上げ方を決められず、結局、締め切りの期日に合わせることにした。いつものことだが、制作中はどの位の時間が掛かる仕上げかはあまり考えたことはない(なので納期がないのですが;;)。この歳になると、納期に追われる仕事は成るべくならしたくない。これは、贅沢というより自分の性格に合っていない。

思い返せば、今までも納期を逆算して作品を作ることをしてこなかった。それより、どういったものを創りたいのかの方が優先順位が圧倒的に高いのだ。こえはもうgallery泣かせであることは間違いない。
時々、何故こういったスタンスになるのか考えることもある。

決定的なのは、自分の出自が「鎌倉彫」だということ。「彫り」という作業は、効率とか採算とかを考えた時点で商いとして成り立たない。絵柄を入れて更に彫まで加えたところで採算ベースを考えたらフリーズする。近代のマーケットでの基本になる、経済効率や等価交換などということを考えたら馬鹿じゃない限り続けないだろう。そう、馬鹿なのだ。
 
ただ、仏師を起源とする鎌倉彫の老舗である博古堂に入門し、仏具の古典を徹底して叩き込まれるという幸運さ(不運さでもある💦)から、日本美術のDNAをインストールされてしまったということが決定的だったと思う。仏師が普通に生業として成立していたころは、当然、等価交換だの経済効率などという近代のコンセプトはなかった。なので、近代化の始まった時点で、廃仏毀釈もあり多くの鎌倉仏師は失職した訳だ。それを近代化を遂げ、成熟社会に入ったと言える今の日本で生業とするのは無謀だ。

んなことは分かっている。でも感染してしまったのだ「彫る」という営為に。
 
僕にとって「ものをつくる」とは、自分の深いところにある「疵」を、ものを作ることを通して治癒していることだと思う。その疵のほとんどが、記憶にないくらい遠い過去(幼児期?)にあるはずだから、偉大なフロイドにでも精神分析してもらわない限り完治は難しい。なので対症療法しかない。それが物を作るという営為にあたる。だから、そもそも等価交換や経済効率が基盤にない。

上↑ のお重も、当初彫刻の板面を残す簡素な彫でいくはずだった。期日も迫っていたので経済効率からではなく(多少ありましたが)搬入日を仕方なく逆算して仕上げも考えてはいた…けれど、雲紋を「こなし」と呼ぶ手の掛かる舐めるように彫る刀法に変えてしまった、というか自然に変わってしまった�;;それもそのはず、雲紋の手本は「平等院鳳凰堂雲中供養菩薩像」。この雲紋は、世界一美しい雲紋彫刻だと思う。同じ仏像彫刻の装飾のなかでも、彫のバリエーションも豊かで彫面の凸と凹の入れ替わりなど次元も高い。

これを見たら、もう「こなし」以外には考えられなくなってしまう。そして、彫っている間中、無意識がどんどん解放されてゆくのがわかる。そしたらもう止められません。

平等院鳳凰堂雲中供養菩薩像
「彫る」という営為は、3Dとして視覚や触覚に反映する人の持つ原初的な表現だと思う(正確には2.5D?)。立体としての触覚的要素がある分、線刻や絵画的イリュージョンの次元とはちょっと質が違う。違った言い方をすると、絵画のような純粋観念よりも触覚的な分、よりリアルな場所に、その座標は移る。もちろん、真の(それは、在リえないのですが・・・)リアルさとは違ったイリュージョンになる。

平等院鳳凰堂雲中供養菩薩像
ここにあるイリュージョンは、視覚によるリアルさを追いかけた西洋のそれとは全く違っている。どうせ「真の」リアルさをイリュージョンが充当できるわけがないのだから。だから、その表現は隠喩でいい。というか、それしかない。
 雲紋彫刻は、おおよそ空に浮かぶ雲の物理的姿とはかけ離れている。でも菩薩様は、僕らの心に、天空の雲に乗って下界の僕らを慈悲深く見守っている様に映る。

このことは、細かい水滴がガス状になったものといった組成のリアルさを超え、スピリチュアルなリアルさを喚起する・・・科学的に言えば“反則”だけれど。。

たかが雲に、これだけ豊かなイリュージョンを含ませる技は、正に霊性そのものだ。でもって、これを見ちゃったら感染して、それに近づきたくなるのが素直な心根というものだ。

『獅子雲紋彫重箱』・・・金沢「工芸×霊性」展より
平等院鳳凰堂雲中供養菩薩像の作者にリスペクトして、オマージュを捧げつつ雲紋に取り組むと、その凹凸が交わる箇所で解釈が視覚的に矛盾を生じて、そこに超越した技巧が施されていることに唸る。もう反則のオンパレードだ。

下↓の雲紋は、凸の流れで来てたものが行き成り凹に変わる箇所。あらっと目先を裏切る見事さ。まいったなぁといった感じだ。その左側の雲紋も何だか訳のわからない間延びした間抜けな表現になっている。けれども五十二体ある内の一体としてみると、ボケの役割(こんなこと言ったら罰が当たりますかねぇ💦)を演じている。人を喰ったようなその表現は冒険に満ちている。
それでもって、結局僕の「獅子雲紋彫重箱」は、最後の最後まで仕上げを決めかねて(仕上げたい手法が沢山あり過ぎて)搬入日を過ぎないキワキワの手法で錆刷毛目地に絵柄は金彩の研ぎにした。それは、一つには金沢では「鎌倉彫」の実際を知っている方は、先ずいないだろうということに加え、漆芸の皆さんはメキシコ鮑だの夜光貝だのを使った高価な螺鈿で来るだろうから、ではこちらは引っ繰り返って金を研ぎ破って根来張りの正調派から見たら“破綻”でしかない手法をとるといったへそ曲がり;;。

まっ、霊感をもらったのが平等院鳳凰堂雲中供養菩薩像なので、まんまといえばまんまです。金彩の根来は先ず見たことないでしょうから。。自分としては気に入ってます。







そう、僕は、小さいサイズは三点必要と聞いていたような気がして、二点も制作してしまいました(皆さんはほとんど一点でした)もう一点は、リョービ英雄さん英訳の万葉集を落書きした『はーと落書き万葉小厨子』 。本来は、ハート部が緑青仕上げなのですが、銀座厨子屋さんに展示していた段階で緑青の腐食が進み剥離寸前だったので、今回はこの手法は諦め、火山灰でマチエールをつけて錫の磨きとしました。無茶評判いいです(ご理解いただけない方にはちんぷんかんぷんかも?)。こちらは次回のコーナーで紹介させていただきます

40年前は、何でこんなダセー鎌倉彫の世界なんかに入っちゃったんだろう・・・と正直思ってました。が、今は他の工芸とは比較にならないほど深い霊性(今回に限って言わせてもらいます)を背負った世界で本当に良かったし幸運だったと感じています。

鎌倉彫は元は仏師です。仏教は、「死の哲学」と言われますが、そういったDNAを含む世界に関われたということで、文学や哲学が人の生死を扱うように、工芸にあってもそのような精神世界に近付けるということは、単なる漆工芸とは違って今では誇りでもあります。
 
『獅子雲紋彫重箱』&『はーと落書き万葉小厨子』・・・金沢「工芸×霊性」展より 
PCって本当に5~6年で壊れるものなんですね;;こちらに来て直ぐ新調したんですが、ここに来て再起動を延々繰り返すようになり、ついに諦めて新調しました。最近は、もの凄い良いスペックでも五万円台で買えちゃうんですね~。今まで OS が変わるたびにXP以来何ら進展のない WINDOWS は、何かと意地悪なのでMacにしたかったのですが、新しくソフトを揃えたり等々そのような余裕もなく Windows 10 と相成りました。大風邪(隣町まで結構あるので壁打ちの最中雨が降り出したにもかかわらず暫く続けていたのが祟りました)のなか、ソフトやメール設定等、漸く完了しました。これで一安心。

そうそう、皆さんは今や g-mail がシェア一番だそうですが、どうもWindowsを使い始めてずっとoutlook を使ってきた者としては、どうしても使い慣れた習慣からソフトを使ったメールに親和性があります。ポート設定等無茶苦茶面倒で、今回も擦った揉んだした挙げ句に Thunderbird というソフトを有償でインストールしました(本当は outlook に手こずっただけですが;;) これとても使い勝手がよくメール管理が容易で感心しました。

ということで、焦らずのんびり更新を続けてまいりますので今後ともよろしくお願いします。

では、では。