Blue Moon
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7/31日は Blue Moon だったそうで、二分二至(春分・夏至・秋分・冬至)で区切られた季節の中に4回満月があるときに、その3つ目をブルームーンと呼ぶそうです。カメラを三脚で固定し撮ってみましたが、青みはなく、いつもの様に赤みかかって見えました。眩しいくらいの月光で一晩中、闇を照らしていたようです。


ようやく院は夏休みに入りました♪

休み前に、前期のレポート提出に追われ更新が遅れ申し訳ない。

昨日は、朝来市合併十周年記念講演と称して、藻谷浩介さんが講師として招かれました。もう何十遍と繰り返しネットでその講義は聴いていたので特に新しいお話は聞けませんでしたが、朝来市の分析データを解説して頂けたのはありがたかったです。予定時間をオーバーしての熱演でしたので、質疑応答の時間は一人限定でした。もちろん、いの一番で挙手し、きっちり質問させて頂きました。
 
朝来市は、行政を含め住民の皆さんも市の実情の厳しさを自覚している様子はありません。予算配分を筆頭に、空き家政策や、子育て支援策も凡庸でありきたりです。僕に提案させてくれたら、間違いなく現状を今より改善させる自信があるのですが、みなさん諦めがあるのか、まさか自分の町は未だ未だ大丈夫では・・・・と言った風です。その危険度は、藻谷レポートを始め、昨年出た増田レポートでも、きっちり数値化されて、指摘されているにもかかわらず効果的な施策は出されていません。困ったものです。。

乾漆の凸型と凹型
さて、今年の秋はSAVOIR VIVREでの個展です。テーマは「酒器」と決まっております。gallery側が、僕の現状を察してのテーマになったと感じています。つまり、大作を手掛けている余裕はないだろう・・・といった気遣いでしょうか。僕としても、中途半端に放り出したままの未完成品や、折角作ったにもかかわらず放ってある乾漆の凸型や凹型がたくさんあるので、これを機会にきっちり仕上げることにしました。

どうせなら、後々手間が掛らない凸型を作ろうと、すべてシリコンでの制作にしました。多少時間は掛かりますが、結局使い勝手はいいはずです。夏なので、シリコンの乾きもいいので助かります。

凹 型
僕の場合、乾漆のデザインはモダンへは行かない。ウルシは、縄文時代から存在していたことが分かっている。そんな古い素材を使ってモダンなデザインを嵌め込むと、凡そ見当違いの田舎くさい(お前が言うな)頓珍漢なものが出来上がる。最早ウルシを使って工作すること自体限りなくアナクロになってきているのだから。。

というのも、一寸前、東京の漆問屋さんから漆のセールの便りが届き、目を通してみると、全国で漆問屋が、ここに来て10件程店仕舞いとなったとのこと。ウルシそのものの需要も落ち続けているので、在庫セールという意味合いでもあったのだろう。僕は、漆は福井の澤田漆行さんと決めているので、申し訳ないけれども購入のあてはない。お付き合いは、もう35年以上となる。代は、お孫さんの代になった。僕も長くこの世界でやってるな~としんみり。
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このところ YouTube で Jazz を聴きまくっている。こちらに来た頃は、まず音楽を聴くことはないだろう・・・くらいに、まったく音楽を耳にすることもほとんどなかった。特に以前よく聴いていた Jazz を聴くことはないだろうというくらい音楽とは遠ざかっていた。この地にも大分慣れてきたのかも知れない。

最近はまっているのが Jane Monhait 。ものすごい美声だ。声が美しいということは、それだけで人を感動させる。晩年のBillie Holiday の様に、酒と薬物で美声が潰れだみ声で黄昏て歌う Jazz もいいのだが、素直に伸びやかで張りのある美声は聴いていて気持ちがいい。ちょっと前は、 Toots Thielemans のハーモニカにはまっていた。一日中聴いていても飽きない。
そう乾漆でした。僕は、乾漆を手掛けるとき気を付けていることがある、それは、乾漆でなければならない、あるいは乾漆でなければ出来ないデザインがあるはずで、その点を注意しながら制作している。つまり、ロクロや指物での箱ものにはないフォルムが乾漆にはあるはずということ。わざわざ凸型や凹型を作るのだから、そのことを胆に銘じて制作にあたる。


乾漆を手掛けて30年以上経つが、未だに凸型に着せた糊漆の布を剥がすのに手こずる。漆の接着力に今更ながら驚くのだが、ものの本によると、凸型に卵白やタンパク質性のゼリーを塗布するといい・・・とか、いろいろ試しても簡単には剥がれない。今のところスーパーなどで食料品を購入後、肉や豆腐などを入れる際、水分が外に出ても大丈夫なように用意されている薄いビニール袋を使っている。これだと型の微妙なラインは再現されないが、意外にあっさりと剥がれる。
 なんだかテトラポットの様です。布を重ねて貼り、硬化を待って貼り抜きのように凸型を抜くので、そのことを計算に入れてある程度柔らかく、形状を記憶していてくれる素材が理想です。今のところシリコンが適材です。

豊満な女性のバストの様でもあります。オリジナルはBC17世紀の土器で、その頃は未だ、あらゆる”もののかたち”が、動物などの具体的なフォルムを映すことでもあった時期だったので、何となく血が通っているような温かい有機的なフォルムが気に入ってます。この後、どんどん機能的に研ぎ澄まされてゆくことになります・・・・・まだまだ先ですが。


ご存じの方もおられると思いますが、ギリシャ彫刻として僕らのが記憶しているのは、大方ローマ時代に摸刻されたものがほとんどです。ローマの人々は、それくらいギリシャ美術をリスペクトしていたようです。エーゲ海沿岸は、その昔、戰に明け暮れていたので大抵現物は破壊されています。遺っていたとしても、粉々に破壊されたものを後々超複雑なジグソーパズルのようにくっ付け再現したものです。
 
 今という時代をどう表現するのか・・・・なかなか難しいところです。ローマの人々がギリシャに飛んだように、また宗達が桃山に飛んだように、乾漆に限って言うと、僕はBC17世紀の中国や中央アジアに飛びたくなります。それは、今という時代に欠けている何かがそこにあるのかも知れませんし、ずっと昔に忘れて来たものを拾い直すことが出来るような気がするのかも知れません。。
 










 動物の容姿が、そのまま器の形に乗移るというか憑依したかのようなフォルムは、器という決まり事のなかで美を興じた結果とも見える。この感覚をそのままに、器ではなくフォルムそのものを抽出して抽象化すると ↓ のような彫刻になるのかも知れない。

Jean Arp
 乾漆は、結局大きく普及することはありませんでした。というのも手間が掛り過ぎるわけです。皆さんご存知の「阿修羅像」等が代表的なものですが、一説に、木胎の仏像ですと火災の多いわが国では、火事の際、容易に担いで逃げられず焼失したことから、中が空洞な張り子状の乾漆を用いたと言われます。ただ、やはり手間が掛り過ぎて高くついたのではないでしょうか。
 
 結構、いい型がたくさんできました。シーリング・シリコンチューブ30本以上は使ったと思います;;;(夏場でよかった♪)。面白いことに、型にも乾漆の技術である布着せを何層も重ねて堅牢さを保持しています。50年以上持ちそうですが、そこまでこちらが持ちません。。いい作品を元気なうちにたくさん作っておこうと思います。

では、秋のSAVOIR VIVRE 請うご期待!