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 03/14 忘れるということ 
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ご存じ明日香村の石舞台である。

築造は7世紀初頭で埋葬者としては蘇我馬子とされている。このことが、昔から不思議でならなかった。つまり、ほんの1400年程前の出来事が、人々の記憶というか、記録にも記されて残っていないという事実に、人間って大したことないな~と若い頃に驚いた時のことをよく覚えている。

人々の言い伝えも風化し、文字に起こされたものも結局は残らない。文明とはその程度のものなんだと知ったことは、人間とは何かという問いを自分が発するとき、今も大きな前提になっている。


悲しいかな人間とは、かくも健忘なる存在なのだ。

石巻............2011.09.25
地震も津波も、遡れば想像を超えた規模で日本本土は何度も被害を被ったはずだ。けれども僕らは忘れてしまう。忘れてはならないと自分に言い聞かせても忘れてしまう。。


思えば僕のよく使う殷墟文字が、中国は河南省北部の小屯村より出土したもので、この地に殷王朝の都があったことが発掘調査で分かるのも、1928年まで待たなければならなかった。殷墟文字が、現在使われている漢字の元始だったにもかかわらず、二十世紀になって漸くその出自が辿れたということになる。それくらい人は「もの」を忘れてしまう存在だということ。
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人は、忘れるということで辛く重い過去から解き放たれるということも事実なので、キャパシティーが小さい人や国では、「覚えている」ということを強いると、潰れてしまうということもあり得るので、忘れてしまうということは致し方がないことなのかも知れない。

忘れないということは、”覚えている”という意志が働かないと成立しないので、とてもエネルギーを必要とする営為だ。”痛み”とは、感覚的なものなので時を経ることで徐々に薄らいでゆく。そして、人には生活という日常もあるので、忘れずにいるということは、当事者以外はとても難しい。
だからと言って、ダダ漏れ状態の放射能を「パーフェクトにコントロールしている」と、一国の首相が世界に向けて言って欲しくない。

メルケルさんが、あんなに親切にダメな日本に寄り添ってくれているのに、安倍政権の要人は、「ドイツと日本の事情は違う」とか言ってトンチンカンな対応しかできない。今更ながら日本そのものに劣化を感じてしまう。近隣国中国や韓国との関係改善、そして原発と、ドイツからは学ぶところが眩しいくらい多い。

それでも、株価が¥19000台に乗ることそのことで、かなりの日本人は安倍さん支持に与してしまうのだろう。。生活するということは、確かに大変だ。

四年前の今頃は、今回の原発事故で流石に日本も大きく変わるだろうと思っていたが、実相は、逆にどんどん劣化が進んでいるように感じてならない。確かに民主党はポンコツだったかも知れないが、情報公開度は現政権より遥かに高かったし、子供手当も利いていた。でも、その民主党も重要な予算審議を進めて欲しい中、 中川政務官のスキャンダルを暴く場に国会を引き落としている。彼女が政治家になった経緯や事情を、もうちょっと汲んでやれよと、その鈍感さと野暮さに呆れる。


何か愚痴っぽくなって来ました;;
福島の原発事故が起きた時、最も正直で正しい状況判断をしてくれた京大の小出助教が、先日定年を迎え退官なさった。小出氏は、事故が起きた直後から恐らくメルトダウンしているだろうと言い続けていた。当時、ニュースメディア video news.com は、毎回小出さんを迎え、より確かな情報を流し続けていたが、あちこちから不安を煽ぎ過ぎている!と批判を受けていたが、真実はメルトダウンどころかメルトスルーしていたというのが実相だった。

僕らは、どうして真実を直視するというメンタリティーを持てずにいるのか。都合の悪いことは見ないで済ませられるうちはいいが、結局は認めざるを得ない状況に追い詰められて、二進も三進もいかなくなって、事態が悪化した後に認めるということを繰り返している。世界で唯一原爆を落とされた国にも関わらず。

東日本大震災は、天災に備える気構えを学ぶ機会を僕らに与えたということと、併せて僕らの脆弱なメンタリティーを再確認する機会を与えるということを、今後も繰り返してゆくのだと思う。願わくば、敗戦の日に、先の戦争の惨劇を伝えて行くだけではなく、なぜその様な悲劇を避けることが出来なかったのか・・・・・その点を猛省するのと同じ課題を今後も自他に突き付けていきたい。

合掌

石巻............2011.09.25
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