長~らくお待たせしました。僕、漆工芸家東 日出夫は、長く親しんだ逗子を離れ兵庫県は朝来市の古民家に転居しました。 え~って、驚かれる方が殆どだと思います。何しろ気に入った物件が出て(ネットで見つけました)現地で確認、そして契約まで数週間の出来事でしたから近しい人達にも連絡していません。 一目見て気に入ったので、他の方も同じように一目惚れしそうだと、兎に角金策に走り生まれて初めて「作品買って下さい!」と直球で勝負。呆れて笑って作品をお買い上げ下さった方もいたくらいですが、概ね皆さん好意的に協力して下さいました。深~く感謝! さて何から切り出せば・・・・・・ 大分長くフリーズしていたのと、環境が激変したので伝えたいこと、そして伝えなければならないことが山積みです。 昨日漸く9畳・4.5畳・3畳と作業場の床を初めとした修繕が終了し、いよいよ本格的な仕事が始動します。 |
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先ずは、昨日、お隣京都府は福知山の夜久野にある「やくの木と漆の館」」の企画で、近畿で唯一の日本産漆の漆搔きを見学させて頂きました。僕の新居は、敷地の東側半分が京都府、西半分は兵庫県なので、お隣の福知山の「やくの木と漆の館」までは自転車で5分です。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
『漆搔き』・・・・・・それは想像を超えて神々しく、まるで神事のようでした。 漆の木を引っ掻けば自然と漆は染み出てくる・・・・とばかり思っていたのですが、飛んでもない、僕らが普段使っている漆を採取するには、前もって漆の木に「これから貴方に疵を付けて順次沢山の漆の採取に入らせて頂きます・・・・」と事前通知をし、漆の木がビックリして萎縮し弱らないようにし、数週間経ってから徐々に採取する量を増やすということでした。 また漆の樹液は、傷を癒やす謂わば瘡蓋(カサブタ)なので、事前に疵を付けることで酵素の働きを促し良質な漆の樹液が出るように導くということです。 まったく知らないことだらけ。 今年最初の樹液は、若いお弟子さん二人で30g。 |
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ゴム篦でラップに掻き落とされた後、漆桶の底に残った丹波漆・・・・・・「これ頂いても良いですか」と岡本さん(近畿でたった一人の「漆搔き」職人)に訪ねると「どうぞ」ということで今採れたばかりの丹波漆がこびり付いた桶をお借りし新居に。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
丹波漆................透きが良く何とも気品のある樹液です。早速「獅子唐草紋彫り厨子」の仕上げに使わせて頂きました。幸運で光栄です。 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
「やくの木と漆の館」での漆搔き見学に関しては順次紹介していこうと思います。ご期待下さい。 そして、初めての漆搔き見学に先立ち、僕の住む「奥隣保」地区の消防訓練が先週の日曜日に催されました。もちろん参加して放水訓練も体験しました。 本当は先々週、地域の草刈り行事もあり、これにもキッチリ参加し汗を流して参りました。 この区の自治会長さんには、大変お世話になっています。草刈り機を使ったことがない旨を伝えると、さっそく「事前に練習して下さい」とわざわざ届けて下さったり、草刈りをする現場まで軽トラ(この地域での必需品)で送り迎えして下さったりと至れり尽くせりです。 でも、この地域に僕が移り住んだことは、この地域にとって利になることは請け合います。先日の草刈りの時も、側溝に溜った土をスコップで掘り出す作業も最後までバテずに作業をし続けられました。圧倒的に年寄りの多い地区にとって体力があることは可成り心強いはずです。逗子に住んでいたときも多種多様なボランティアに参加させて頂きましたが、この地では全く質の違った貢献が求められます。「任して下さい!」と言いたいところです(健康には留意しなければ)。 |
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ゴミ集場所で分別に難儀していたところに地域限定のゴミ袋を下さったご近所の大奥様の放水 |
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今日、お隣さんが農協の職員を連れ立って見えた。阪神大震災後、この辺りは共済保険に100%加入しているので、この際東さんも災難が降りかかる前に加入してはどうか・・・・と保険を勧められた。古民家に住むと漏電等正直ちょっと心許ない。丁度昨日もボンヤリ火災保険どうしようかな~。。と考えていたので、ここは渡りに船「パンフをポストに入れておいて下さい」と伝えた。 そうだっ、「三宅さん(ご近所は三宅姓と波多野姓が80%です)慌てて引っ越しをしたのでボロがないんですが、なるたけくたびれたボロないでしょうか?」と拭きうるしで使うボロを頂戴できないか聞いてみた。何に使うのかイメージ出来ないかも知れないので先日仕上げの摺りが済んだ厨子をお見せした。 「いい目しとるね~」。。 「昔は、この後角粉といって鹿の角の粉で磨いたんですが、今では手に入りません」とお話しした。「ボロって古着のことかね。。だったら仰山溜っとる」。。 暫くして綺麗に洗濯した古着を持ってきて下さった・・・・ばかりでなく、何と鹿の角まで持参してみえた。 「これ10年くらい経ってるのでどうだろうか」・・・・・まったく期待していなかったのでびっくりです。もう少し漆の硬化するのを待って乳鉢で擂った角粉で胴摺りするのが楽しみになってきました。 |
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頂いたウェスと鹿の角 |
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今日二つめの作業台を完成。明日は何とか晴れて気温も30度を超すようだ。屋外で、といっても日射しを避けるため駐車場の屋根の下で出来立てホヤホヤの作業台を使って
Mushikui-Zushi の彫りをしようと思う。 ほんと修繕好きに生まれて良かったとつくづく思う。既に洗濯機の排水溝、それに雨樋の交換と修繕三箇所、離れの縁の下の目隠しや押し入れの修繕と、作業場の修繕をしながら、あっちこっちの修繕を併行して進めている。まったく苦とならないばかりか、修繕箇所が目について困る;;先ずは食いぶちを稼ぐために溜ったオーダーを仕上げねば。。 |
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離れ作業場 |
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漆搔きの朝 |