鶴丸城石垣 am 11:30
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2009 & 2012 Today's image index
  鹿児島は、まっこちとおかとこい。ばってんこげんよかとこいなか~。



1年7ヶ月振りの鹿児島です。ぎりぎりで桜にも間に合いました・・・・・けど、花見をする余裕はありません。

29日昼、生まれて初めてのJAL で羽田からあっという間に鹿児島空港です。朝5時まで下 ↓ の『蓬莱紋彫り厨子』の丁番付けをしていたので、機内で電子書籍でも読もうと思っていたんですが寝てました。。


緑青の仕上がりはいい感じです。殷墟文字も、どことなくおおらかです。
 
  white gallery での個展会期は未だ少し残っている。そのこともあり依然として制作モードを切り替えられずにいる。そして、つい未完成な新作に手が伸びそうになる。この性分は治りそうもない。



漸く今日、通常の仕事へと移ることが出来た。

仕事が溜っている、特に厨子の仕事が。どうしても手間の掛る仕事が後回しになってしまう訳だが、そういった仕事を嫌で避けていると言うことではない。逆に彫りがあったりで大好きな仕事でもある。そして、始めると止まらなくなる。でも、好きな仕事ばかりではないのは当たり前。



個展準備は、いつもと別モードなのでそれはそれで気合いが入ってシャンとします。そこが気持ちいいのですが、普段の仕事は仕事で、自分のペースで行けるところが助かります。
 
錫研き作業中
  三坂さん(white gallery オーナーです)に作業着をお借りして『落書き錫研コースター』を仕上げてます。「あれ?これさっきなかった!」と目ざとく気付いた方がゲット。ピカール(金属磨き溶剤)を羽田で没収されてしまいましたが、さすが美大出のオーナー全て揃ってます。お借りして、最後の仕上げを残して持ち込んだ未完成品を会場で仕上げて展示(これって反則でしょうか?反則ですね♪)。でも、見つけたギャラリーの方は喜んでいらっしゃいました。別に持って行かなくても充分なのですが、そこはもっと喜んで欲しいとサービス精神が働いてしまいます。
 
鶴丸城石垣の春
  初日の朝、ビジネスホテルからgalleryまで散策を兼ね歩く。照國神社を横目で眺め、弾痕が生々しい鶴丸城石垣の前でハッと足が止まる。
 
  そうなんです、西南戦争の砲弾痕にできた石垣の穴に、野草の花が咲いているのであります。その落差は正に鎮魂花でした。自然が英霊に手向けた供花でしょうか。
     
   ちょっと風邪気味でフリーズしていました。申し訳ない。休みなしに来たので多少疲れが出たようです。



本日(正確には昨日) white gallery での個展が無事終了しました。作品は、もうしばらくgalleryに展示されるということですので、鹿児島の皆さんで未だご覧になっていない方は、是非この機会にご覧下さい(8日納品の新作もあるはずです;;)。
 
   
新作 乾漆片口
 
   今回は、仕事が溜っていて尻に火が付いている感じなので、鹿児島には長居出来ませんでした。それでも終わってみると何だか寂しいというか、もっと現地でいろいろ散策したかったな~という思いも残ります。



オープニング前日、僕がgalleryに着いたときには既に展示は済んでいて、そこに持参した『蓬莱紋彫り厨子』を納めるのみでした。なので、着いて直ぐオーナーに誘われ jazz club へ直行。生演奏を聴くのは何年振りだろう....................。


オーナーは、自分の教え子がヴォーカルで新人として出演するので、その応援もあったようで、僕はお手並み拝見というノリで末席に陣取った。

感想はというと、地方都市は好いな~と再確認。街のサイズが自分のイメージの中に収るので、どこで誰が何をやっているかリアリティーをもって掌握できる。東京だと、もちろん世界レベルの演奏を生で聴ける機会は、鹿児島よりずっと多いはずだ。けれども、遠~い何処かでは何かやっているんだろうけど、どうも身近ではない。なので余程好きでもない限りチケットを買って出掛けることはない・・・・・という感じでしょうか。



特に出不精な僕は、先月いつも蜜柑等いろいろ送って下さる方に、お礼でもと購入した東博の「王羲之展」の前売り券を結局個展準備でほかした。市内、車で15分位で概ね用が足りる地方都市ならもう少し腰が軽く動くのかも知れないが、基本、家にいて一人シコシコ何かやっているのがすきなタチなので、地方都市に住んでいても誘われなければ出掛けないかも知れない(ダメだコリャ;;)
 
 
Jazz Spot Lileth
 
   「Jazz Fuesta」のオープニングは、謂わば”前座”なので新人のボーカルで幕開け。あまり上手じゃない米語を聴かされた後だったからか、後から出演して来た二人組オゴジョーズ(=女の子達という方言)の鹿児島弁のデュエット「待つわ」でやられてしまった。元歌は”あみん”の「待つわ」なので歌詞は知っている。そこにきて鹿児島弁で捲し立てられると、意味の伝わらない米語に緩んでいた魂の糸がピンッと張って吸い込まれ訳分らず涙が出そうになる。。



言霊って、こういうことを言うのか・・・・とその時分りました。鹿児島弁は、他の藩に意味を悟られないように人工的に作られた方言だとも言われたりしますが、でも魂の底の方で響く何かがあるのです。何て言ったらいいのでしょうか・・・・生だったと言うこともあったのですが、僕らの古層に沈んでいる何かを呼び興す力が”なまり”にはあるのです。



Jazz の生演奏を聴きに行って”なまり”というか、方言に胸を打たれて帰って来るというのも何だかヘンテコリンですがJazz を”聴く”という姿勢には間違いはないかな。。
 
   
西郷隆盛像............市立美術館前 
 
  二度目の鹿児島で気付いたことは、かって藩のために身を賭して闘い命を落とした先人がいたという事実がが、ここに住む人達を深いところで支えているということ。地元でそのことを凄いな~と口にすると、照れもあるのでしょう、必ず帰って来るフレーズが「西郷さんも本当は死にたくはなかった」という返事です。このリアクションを前に反射的に思い出されることがある。それは、三島が自決する前に「自殺も自然死だ」と言っていたこと。



もう四十年以上前に読んだ彼の本の中にあった言葉だが、自分の意志で死を選んだということも、寿命で亡くなったということも、ずーと引いた目で見れば、どちらも然したる差はないということになる。西郷さんが、流れの中で闘わざるを得なかったとしても、それはそれで立派な利他的な死であり、そのことがその後の鹿児島の運命を決定付けたのは確かなこと。ヨソ者の僕でさえ、西郷さんの銅像の前を通り過ぎるとき、暖かい慈悲のような霊力が降りてくるような、何て形容して良いか分らない安堵に近いような心持ちになる。



西郷さんが祀られている南洲神社は white gallery に上がる坂道の途中にあるのでお詣りしたところ、西南戦争の際、旧薩摩藩士族 戦死者数:6,800人とあった。墓石の横に亡くなるまでの経緯がボードに書かれていてよく読むと皆若い。その英霊を西郷さんが代表しているというとこで、彼自身が有名になりたくてなったわけではないのは言うまでもない。
 
     
  タモリが、「福岡県人は、人を喜ばすのが好きなので芸能人が多い」と言っていたが、鹿児島の人達にも同じ感触をもった。オープニングの日、ギター持参でお見えになったTさんも、何のてらいもなく、あっさりとリクエストに応えて、暖かみのある歌声を聴かせて下さった。おまけに、一緒にいらした友達も、こちらのリクエストに応えて下さる。みなさん歌が上手い。



そう言えば、こんな空気どこかで・・・・・そう30年近く前、常滑でこんな空気を味わった。正しくデジャブで地方都市の神髄。人と人との距離がとても近い。そして、どこかで人を信じている。残念ながら、ちょっと僕の住む逗子では味わえないかな



今回は滞在期間が短かったので殆ど市内を散策できなかったが、先回同様マウンテンバイクを E さんにお借りし天文館を彷徨いた。肌着を買おうと、同じ場所をぐるぐる巡回したので観光客に道案内できそうだ。
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  今回の収穫は、iPad mini 使っての作品解説に尽きる。

特に殷墟文字の解説は、白川静巨匠の電子書籍「漢字百話」を開いて説明できるので”甲骨”の形や”金文”の描かれた器物(鐏)の画像をお見せして説明すると驚きをもって関心を示して貰える。
もちろん、自分の official website を使っての解説は「厨子」など、普段皆さんが目にしないものを説明するのに大いに役立った。


オープニングにお父さんと連れだっていらしたお子さん(小学校低学年の女子)がいて、これがもの凄くしっかりしている。「折角面白い文字なのに何故パネルに解説文を張って展示しなかったのか」とか「木地が透けて見えるところと布が張ってあるところが違っててとても綺麗」とか、矢継ぎ早に的を突いた質問をしてくる;;


「殷墟文字とはどういうものなんですか?」と質問するので「骨に刻まれた中国の古い文字だよ」と答えると「骨は曲がっているので彫りづらくはないのですか。。」という質問を受けた時点で、天下の宝刀「iPad mini 様」にご登場願い、甲骨の画像をお見せしたところ深く頷いていた.......... ok ok
 
 






white galleryは、 Wi-Fi が飛んでいたので iPad mini が活躍出来たが、必ずしもWi-Fi が飛んでいる環境ばかりではない。いつでも、どこでも iPad mini が使える状況を創れたら素敵だな~と、 Wi-Fi 接続料金...........何とかならないかなとボンヤリ。。。 

そもそも iPad mini をゲットしたのも、わが家には無線ランがあるので web に接続するのはタダだから。 Wi-Fi をいつでもキャッチ出来るルーターを持ち歩けば良いだけだが、それだけのために4000円近い料金を払うのはバカバカしいし、身分不相応。u~~mm。。


何と、よくよく調べてみるとスマホ携帯 iPhone 5 は、テザリングといってルーター機能が付いているのだ。そろそろ機種替えをしなければ・・・・・と思っていたところに渡りに船と言おうか、背中を押されたと言おうか、結局 iPhone 5 まで手に入れてしまった。まっ、思いっきり自分で自分の背中をど突いたのですが;;

でも、iPad mini と iPhone 5 のコラボは、ちょっと言葉では伝えられないほどの感動を僕らに与えてくれる予感がしています(夜、寝床の中で中也の詩をパラパラとめくるときなど至福の時であります=青空文庫なので無料です)。

2年も経っていないのに今回の鹿児島での個展は、前回と比べ随分と違った感じで終始した。テクノロジーの進化って正直凄いな~と今更ながら気付かされた個展でした。

では、では。