刃のキレが悪く逆目立った桝の木地










電動マルノコの刃を調整中
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  ようやく落ち着いた日常が帰ってきた。

修理も好きだが、やはり普段通りの作業は、何となく落ち着いて穏やかな気持ちになる。

久し振りの電ノコ作業なのだが、どうもキレが悪く裁断面がささくれ立ってしまう。そういえば、このチップソウ(刃の先に特殊な硬い金属を付けたもの)30年以上交換していない;; そこで刃を確認。何となく未だ行けそうだったが、折角なので取り外して目立てをすることにした。


刃に錆もなかったがダイヤモンドヤスリで削ってみた。

大分切れ味も良くなった・・・・・ような。。  でも新品を買うことにした。
 
チップソーの先端
 
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  僕は、鎌倉彫りの世界(博古堂)に入った当初、一応彫刻部に所属したので<線彫り>といって手板に3mm 幅の線を平行にたくさん引いて、そこをV字に彫る修練と<刀研ぎ>を指から血が出るまでやらされました。今考えると幸運だったな~と思います。工房としては、修行とはいえ一銭にもならないことに時間をあてがってくれたわけですから。
 
線彫り
彫刻部に入ったと言うこともあるのでしょう、木を工作する仕事が未だに一番好きです。木を削ったり、裁断したり、彫ったり・・・・いつまで続けても疲れることは無いといった感じで時間を忘れます。最近、これが(同じ姿勢を続けることが)いけないのだと良く指摘されます。

時々夢中になって息が止まっていることがよくあります;;これが不整脈の原因では・・・・と思ったりしますが、こればっかりは性分なのでどうにも 治りそうにありません。。

百草展のとき、地元多治見のフリーマーケットで買った古そ~な突き鑿
  オーダーの『恵比寿重』は全て檜を選びました。松でもいいのですが、檜の方が癖が無く工作がし易いです。おまけに匂いも良いですし。

ここ最近は、この仕事を選んでよかったな~とよく思います。昨日も僕の所属する川崎のシニアリーグ代表者会議のあと、何人かと飲んだんですが、みなさん既にリタイヤしていたり、来年リタイヤだ~といった感じですが「特別仕事を続けたいかというと、そんなことないしな~」と仰ります。僕は気を使って口に出しませんでしたが「この仕事を死ぬまで出来て幸せだな~」と素直に思います。


生涯賃金は圧倒的にサラリーマンの方が多いでしょうが、お金に代えられない価値がこの仕事にはあります。どうせ一度しかない人生ですから、出来ることなら自分の一番やりたい仕事に就くことがベストです。ただ、そうもいかない場合の方が圧倒的に多いと思いますが。
 亡くなった僕の父などは、もし戦争がなかったなら絵描きになっていたかも知れません。長男だったが為に親兄弟の面倒を見ることで自分の人生を犠牲にした感があります。その意味で、いつ、どこで生まれるかは決定的だな~と思います。
   
  マルクスは、資本論執筆中貧しくて子供が死んでも柩を買うお金もなく、それでも横目で亡骸を眺めながら筆を折ることなく資本論を書き続けたと言われています。それも亡くした子供は一人じゃないということですから半端じゃありません。僕もそこまでは行きませんが近いものを感じます。たぶん何があっても、この仕事から離れることはなかったと思います。ちょっと狂っていると言われれば、そうかも知れません。戦争でも起きたら、そうもいかなかったかも知れないので幸運と言えば幸運かも知れません。なので自分の生まれた時代と環境に感謝します。

でも、そういった相を引き受ける覚悟というか、何と言ったらいいのでしょうか、何か因縁めいた磁力のようなものを感じて今日まで来ています。まっ、周りから観れば勝手なことやってんな~と思ってるだろ~な~と思ってますが。。それでも、やれるものならやってみな・・・と思っている自分もいます。(何かややこしいですが;;)


何か仕事というものは、いろいろな意味で謎です。これからは、寿命が延びたので生涯に二つ以上の仕事を持った方が良い、と慶応の小幡さんが言ってましたが、そういった時代になったのかも知れません。30年掛けて一つの仕事を極めるのは良いが、60年は極めすぎだということらしいです。でも、僕の仕事は、非効率で生産性も低いので60年やっても極められそうにありません。その点心配無用です。自分自身まだひよっこだとマジで思ってますし。
 
   
  さて『恵比寿重』ですが、身の方の裏がよく見ると少し荒れています。そこで35年振り位に刀痕を打ってみました。これだと真っ平らな面より擦り疵が気にならなくなります。むかしは、この刀痕が何ともわざとらしくダサク感じて嫌いでした。でも今回のはグッドアイデアではないでしょうか。

人は年を経ると、変な力みからも解放されるようです。。
 
 










刀痕用の小刀
 
  そんなこんなしている内に、銀座 ギャラリー厨子屋さんから、漸くHPがリニュウアルされるので厨子の画像データーを送って欲しい旨の連絡が入った。

ALTE MEISTERさんにも、厨子屋さんにもない『椿梅紋彫り厨子』の画像データをセレクトして送った。それに「はーと落書き小厨子」の腐蝕部が思いの他進行してしまったので調整することにした。
 
 
『はーと落書き小厨子』 
  
ハート部の腐蝕が進行して白く粉を吹いているようなので調整。この部分は、銅やブロンズの腐食剤使って緑青をふかし、そこにアクアチントに使う腐食剤を一部使って緑青とは違った趣の質や色味を出している。これだけだと深みが出ないので様々な素材を使って謂わばミクストメディア仕上げとした。


この小さな厨子は、自分としてはとても気に入っている。この厨子は、都市の高層マンションで夜景を見ながら暮らす人々・・・・・をイメージして作った。驚いたことに、昨年の鹿児島white galleryでの個展で、若い青年が「娘に」と求めて下さったのにはびっくりしました。予想していなかったので、とても嬉しかったです。確かその青年は、東京生まれだったような。。



僕自身は、東京は深川界隈で生まれ、その後埼玉は川口市、そして与野市(今は無くなってしまい、さいたま市という人をバカにした地名になり残念至極)と、新興住宅地を転々としたので、都市近郊に住む人々の無意識がよ~く理解出来てしまう。その無意識が、僕の創作の基底にいつもある。それはもちろん厨子ばかりではなく椀やお重、そして折敷など全ての作品に及んでいると思う。
 
『椿梅紋彫り厨子』










『椿梅紋彫り厨子』裏
 
  こうして作品の画像をアップすると何て言うことのない只の作品にしか見えないのだが、制作中はいろいろ大変だったことの記憶が蘇ってくる。たとえば扉の部分が末広がりで、裾に向けて緩いカーブをとったので「通常の蝶番では扉が開きませんよ。。」と会津の厨子屋スタッフ神林さんに指摘されたときは汗;;;特注で、いつも助けられている三河仏具の飾り金具師村井さんに泣きついた。お陰で立派に扉が開く『椿梅紋彫り厨子』が完成したという次第です。
 









  こうしてちょっと苦労した仕事を思い返していたら、何だか元気が出て来ました。正直言うと、先日のブラジル戦でチンチンにやられ完敗したショックで沈んでいました。。あそこまでやられるとは予想していなかったので。2:0で負け位に全日本の実力を過大に評価していた自分に落ち込んでいるのかも知れません・・・・。

もう少し日本は良い意味で狡くならないと、特にブラジルのようなメンタリティーのチームには太刀打ちできない。こちらが何をするか見え見えのようで、まるで役人の様に判で押したようなプレーの繰り返しだと足元を見られて舐められてしまう。ブラジルは強いと言うより上手い。まったく試合巧者だ。学ぶことが多かったな~。
さて『はーと落書き小厨子』の調整ですが、乳鉢で緑青の粉を擂りつぶし、それを直接ハート部に塗ることで表現に、それこそ厚みが出ることが期待出来ます。
 
緑青部調整・・・・好い感じに仕上がりました
さて、さて『恵比寿重』ですが、蓋内側の刀痕(鑿痕)もいい調子で出来ました。檜は、こんなに素直でいいのかな~といった感じです。

『恵比寿重』蓋裏
   側面の海の魚文字(鰹・鰤・鰺他)の用意も・・・・・

絵柄や文字を書く緑色の染料ですが、青竹と呼び猛毒です;;これをトレッシングペーパー(昔は和紙)に裏から面相筆でおこして書き写し木地に転写します。数十枚の転写が可能です。
 
     
   さっき忘れました。『はーと落書き小厨子』の詳細 Data です。  
     
   Four Seazons 他、意外と英字が描き込まれてます(英字万葉集も入ってます♪)。



振り仰けて 若月見れば 人目見し

 人の眉引 思ほゆるかも 

大伴宿禰家持

 

Poem by Ootomonosukune  Yakamochi

 

As I turn my gaze upward

And see the crescent moon,

I recall the trailing eyebrows

Of the woman I saw but once.

 

(The Man’yōshū (The Ten Thousand Leaves)

 
 
































.............akai に代えて→ です。





















♪ ♭ ♯♪ ...................もちろん、音符も入ってます










 
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もっと、もっと俗っぽいというか、業や相をたくさん盛り込んだ厨子が出来ればな~と願いつつ作ってます。 



秋も大分深まってきました。先週は川崎の方でサッカーシニア委員会があったのと、その前に、いつもお世話になっているフットサルコートが抱えるトップチーム(神奈川フットサルリーグ1部、現在二位)の試合の応援で一日つぶれてボールが蹴れなかった。ちょっと膝の調子も悪かったので筋トレも出来ず悶々としていた。



今日は、腰の調子も今一つだが、ジッとしていると体力が落ちるのは分っているので、いつもの広場にボールを蹴りに行った。壁に向ってソフトボールの投球練習するオジサンや、野球の投球練習をする子が一人。アップを終えてリフティングを230回で落とし、ドリブルの練習でも始めようかな~と思ったところで珍しくサッカーボールをもって、辺り構わず走り回るガキンチョが二人来た。周りの迷惑を配慮できない年齢だったので「ゲームでもやるか!」と誘ったところ二つ返事。



小1と小4の二人のゴール幅は、こちらの3倍で1ゴール2点のハンディーをあげた。いくらマリノスの教室に通っているとはいえ、未だ未だこのクラスには負けない。9:4で勝利。
 そこに、さっきまで投球練習をしていた中1が入りたいと言ってきたので小1と僕、中1と小4の2対2でゲーム。小1は1ゴール2点なので8:4で勝利。ゲームのあと「喉かわいた~」と言うのでスポーツドリンクを一杯飲ませてやったらマジ旨そうに飲んでました♪「もう一杯・・」と言うから「ダメだよ、オジサンこれからトレーニングするんだから」・・・・ガキ共とやるサッカーは、相手もマジなので滅茶楽しいです。こっちもガキになれますし。。



ということで膝と腰が今一なのですが楽しい休日を過ごせました。

そして、常滑からは季節のお便り。晴鳶堂殿からラッキョウが届きました。これはいい酒で!とひとっ走り酒屋まで。純米酒菊水・・・・・今一つでした;;でもラッキョウ、いい香りです。そこには、冬に向けての覚悟を促すような厳しさがあります。

ということで、明日からは楽しい彫りの仕事が始まります。ちょっとセンチになったりする季節でもありますが、落ち着いて仕事も進む季節でもありますので、みなさまに於かれましても風邪など注意なされてお過ごし下さいますよう。


では、では。
 






先程、晴鳶堂殿から届いたラッキョウの花の画像