浸潤してしまった水分をドリル穴から蒸発しないかと・・・・
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2009 & 2010 Today's image index
  六本木『龍吟』さんの落書き錫研折敷の修理をようやく終えることが出来た。

無茶苦茶時間が掛かりました。というのも、せっかくやるなら酷使されることを覚悟して世界一堅牢にしてやろうと、今はもう絶えてしまった、江戸まで続いていたという火山灰での蒔き地(漆を塗布した面の上から火山灰を蒔く下地法)をやってみた訳です。



実は、『落書き錫研折敷』はデザインがモダンでも、典型的な伝統工芸の高蒔絵という技法で仕上げてある。また、なるたけ多くの方に、高蒔絵というものを使って欲しいので、値段は1/5位に抑えている。なので皆さん雑器のように使っておられると思う。そのことは嬉しいのですが、高蒔絵は特殊な仕上げ方をしているので、漆器一般とは違った配慮が必要です。


高蒔絵という技法は、錆漆(砥の粉と水を練ったものに漆を加えたパテのようなもの)で絵柄を凸に盛り上げ、乾いた後、そこに漆を塗布し金属粉を上から蒔き、乾いた後、時間をおいて表面を炭を使って平滑に研ぎ、続いて角粉(鹿の角を粉末にしたもの)で、きめ細かに磨き上げて仕上げる手法です。まっ大名のような特権階級が贅を尽くして作らせたものですので本来高価です。
 
伝統的な高蒔絵
 
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2009 & 2010 Today's image index
  前回「その時代の時間意識は、基幹産業が決める」と、吉本さんの穿った指摘を紹介しましたが、龍吟さんに限らず、今の外食産業全般で、食を客に提供するのに掛けられる時間は、自動車産業や家電業界がもつ時間意識に沿ったものであることは間違いない。なので厨房に入ったら、そこは戦場のように過酷だと思われる。恐らく高蒔絵とは言え悠長に扱うほどの余裕などないだろう。



ましてや生き馬の眼を抜く勢いの『龍吟』さんなら尚更だ。ずっと先まで予約で埋まっていて、みなさん首を長~くして待っておられることと思う。

そして、新しい日本の食とは何か・・・を深く極めているその姿勢には頭が下がる。それ故、食も器の扱い方も伝統を踏まえつつ厨房でのシステムも含め、料理同様革新的に進化して欲しいと願っています。

かみさんの電動アシスト自転車スタンド
 
  さて、火山灰蒔き地は大変だったのですが、基本「修理」は好きです♪苦にならないどころか何故か癒やされます。その訳は分りません。用済みになりそうなものを再生させる喜びなのかどうか、そんな格好いいことでもないように思います。



先日も、「もう交換しなくちゃダメだって言われた~」と自転車屋さんに最後通達を受けたという、かみさんが通勤に使っているアシスト自転車のスタンドを確認。バネは確かに外れているが、新品の部品と付け替えれば良いだけじゃん。。とホームセンターでバネを購入。特急で家に帰り、早速バネの設置部に新しいのを引っ掛けようとしたら、何とバネの端を引っ掛ける本体部分の穴がぶち切れているではありませんか;;2mm厚のステンレス製なのにです!

ウッソ!マジかよ。。   秋の日はつるべ落とし。気付くと外は真っ暗。ドリルを用意して本体に穴をあけることにしたところで雨も降ってきました。でも諦めません。
   
  さすが2mm厚板、ドリルの刃を一本折りました;;でも諦めません、こんなの序の口です。本体のステンレス板が堅くて、真上から体重を掛けて圧さないと穴が空きそうもありません。ですが緩~いカーブをもっているので刃が滑って×。仕方がないので真下から突き上げて穴をあける作戦に変更。見事成功!でもこれからが勝負。


雨粒の落ちる中、外の作業用の電灯を点け、ご近所は「何してるのか・・・」と思ってるだろうな~と思いつつ作業続行。バネが強くて留め金の突起部になかなか引っかからない。試行錯誤の結果、体重を掛けるのではなく、自動車用工具のプライヤーを使って慎重に引き上げて引っ掛けることで成功。ホッと一息。。(へっ、ざま~見ろ)
 
 
大工牧野にもらったインパクトドライバー6960
 
  さて折敷の修理もようやく終え、溜った仕事をこなしています・・・・というところで先日と言っても、もう4ヶ月も経ってしまったのですが、山田節子さん企画の岐阜百草さんでの展示会の冊子が届きました。タイトルは「確かな日常茶飯」(発行所:株式会社トゥイン・山田節子企画室 ¥1600)です。  
   
  トークイベントの収録も活字になってます(細かいニュアンスは、紙媒体なので削られているところも多少ありますが)。作品の写真もとても綺麗で、すべてが今できる紙媒体のキャパ一杯一杯に盛り込まれていて、山田節子さんの息づかいというか、執念のようなものが伝わってきます。興味をお持ちの方は、発行所:株式会社トゥイン・山田節子企画室 ℡:03-3594-3698 yams@kvd.biglobe.ne.jp まで問い合わせ下さい。(僕の病み上がりの窶れたショットもご覧になれます;;;)。



本といえば、ちょっと前にネットで知り合った方(僕と同じ心臓の手術をして、現在でもフルマラソンを続けている同世代のお医者さん「夕陽のランナー」です)に吉本さんの本を紹介するために、いろいろネットで検索していたところ、何と吉本三大著書が電子書籍になっているではありませんか。もうびっくりです。


二年前、『2011年新聞・テレビ消滅』 佐々木俊尚著を知ったときキンドル製の電子ブックを買おうとしたが、読める本が限られていて、印税の切れた古典や興味を惹かないメジャーな本くらいしかアップされてなくガッカリした記憶がある。なので、いよいよタブレット端末を買う時期が来たのか、っとニンマリです。でも、もうちょっと様子をみようと思っています。
 
    
その山田節子さんが(ほんと元気です;;)金沢の方で、今回の百草展をご覧になった金沢市経済局クラフト政策推進課内 「生活工芸プロジェクト事務局 おしゃれメッセ実行委員会(長いです;;)の方の依頼で椿椀の出品依頼があり、本日完成しました。山田節子さんが、「今琳派」と名付けて下さいました。僕は、30年前「New Traditional」と勝手に呼んでましたが、「今琳派」の方がお洒落かも知れません。



この展覧会は、以下 ↓ の期間と場所で開催されます。

『繋ぐ力』  http://www.seikatsu-kogei.com/


狭いブースですので僕の出品は「椿椀」2種のみです。こちらから出掛けるまでもないと思います。

2012年10月10日(水)〜21(日)10:00-18:00(最終日は17:00迄)
金沢21世紀美術館 市民ギャラリーA  入場無料
   
  山田さんは、尋常じゃなく元気なので評判のよかった百草展を、岐阜まで足を運べなかった関東の方々に向け、この暮れに西麻布の  さんで開催するべく企画を進めています。興味のある方は、12月までお待ち下さい。岐阜の百草さんとは、一味違った趣の展覧会になるだろうと思います。僕は、いつものように周りに気を使わず(岐阜百草さんでは、他の出品者の皆さんが装飾を抑えた方々ばかりだったので気を使って大人しいものしか出品しませんでした;;)、そしてセーブすることなく自分らしい作品を出品する予定です。
 
  先回は「時間」などという、もの凄く観念的なお話しに終始した割には結構な皆さんが、それなりに目を通して頂いたようで胸を撫で下ろしています。でも、ほんとうは表現にとって(想像性にとって)時間意識が重要な役割を担っているということを、もう少し噛み砕いて伝えたかったのですが、ネットという環境が最も不得意とする「概念的な話」だったのでちょっと厳しいです。



人は、モニターを通して活字を眼で追う場合、紙媒体のようにぎっしり詰った行や列は見苦しく読みづらいと感ずる。それは、液晶画面の構造にあります(液晶フィルムの裏側に光を当てて背景から浮き上がらせるように文字を映す仕組み)。加えて、上から下へとスクロールしながら閲覧する見方も、常に画面が揺れて定まらないので眼に負担が掛かります。なので、HPの記載は、紙媒体と違った神経を使わなければなりません。



僕の場合、意識して5行とか6行で段落を変え、スペースを取ったり、あるいは画像を挟んだりして眼を休めながら文章を追えるように工夫しています。電子ブックに期待する者として、普段紙媒体の限界は誰よりも感じているのですが、活字の読みやすさでは、やはり紙媒体に軍配は上がります。それでもPCのモニターより電子ブックの端末の方が、より紙媒体の書籍に近いのではと思っているのですが、こればかりは使ってみないことには何とも言えません。



何が言いたいのかというと、ネットで深いテーマをブログ形式で伝えるのは至難の業・・ということです。その背景には、どこかでモニターから離れたいという生理的な反射があるためといえそうです。それに拮抗して内容の方に思考を誘導するには、相当工夫というかネットリテラシーを裏付ける仕掛けが必要だということになります。
 
 秋は、冬を前にしているからでしょうか、どうしても「枯れてゆく」ことを肌で感ずる季節でもあります。枯れゆくことを、どう感じているかと言えば、それは時間を・・・・ということになります。”侘び寂”とは、まさに儚く無常な時間を味わい感じることでしょうから、亡くなる(無くなる)と言うことを自覚的にとらえ、人間の持つ業というか欲望を捨てて行く方に志向することでもあります。それは、総てを禁欲的に省略して行くことにも繋がります。...........................こういう言い回しが、ネットでは不向きなのでありますが;;



その意味では、紙媒体はそう簡単には無くならないということを意味するのかも知れませんね。でも、タブレット型端末にシフトして行くことは誰にも止められないでしょう。何千何万冊という書籍を薄くて小さい端末一枚で持ち歩くことができるのですから。

若い頃、落ち着いた場所ではこれ、周りが喧しいところはこれと、場所場所で読みたい本を変えたので、数冊持ち歩くことがあました。ハードカバーの重たい本から薄くて軽い文庫まで、バックに入れて「重て~な~」てなかんじで。その印象が強くてタブレット型端末だったら便利では・・・・とつい考えてしまう。そして、恐らくその見え方も、限りなく紙媒体に近付いてゆくと思われるし、何より紙媒体より安くなるのがありがたいです。
 
古文字椀「元気」
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さて、折敷の修繕が済み、ようやく溜ったオーダーに移れました。上 ↑ の画像は、10年ほど前の古文字椀です。SAVOIR VIVREのお客様で、京都にお住まいの方からのオーダーです。



最近の傾向は、殷墟文字を書く場合、この文字が殷の廃墟で発掘された当時のオリジナルの質や大きさへ・・・・と過去に遡行しようとする無意識が働きます。なので、自分に内面化して咀嚼した後に描くのが創作の基本だ・・・という姿勢から、なるべく自分を表に出さないという自分の出し方?を選んでいるように思います。その流れで、文字の大きさも亀甲やブロンズ鼎などに刻まれたオリジナルの大きさに、ほぼ近付けているように思います。

これは、自分のやって来たことに、それなりの自信というか、そんなに自分を表に出さなくても表現は成り立つという、ある意味老境に入ったのかも知れません。以前は、自分をしっかり表に出さないことは作り手として無責任では・・・・という頑なな観念がどこかにあり、意識して自分を出していた観もありました。その点今は、若い故の突っ張りもなく結構自由にやれているように思います。



芸術の秋ということで、ものを作るのには丁度良い季節になってきたようです(僕自身は、四季を通じて創作意欲に変わりはありませんが)。



秋と言えば、猫は、その顔つきが哲学者のように過ぎゆく時を感じている風です。。たぶん何も考えていないと思いますが;;;

我が家の愛猫メイは一昨年辺りから、駐車場の上に特設してあげた涼をとる棚で暑い夏をやり過ごすことがなくなりました。よく考えると、歳で、そこまで駆け上がる筋力がなくなったのだ・・・・と最近気付きました(空間の偏り)。人間で言ったら僕より年上になるはずですから。でもメイは、生命力が人一倍じゃなくて猫一倍強いので長生きするのではと期待しています(猫がきらい)。



秋の夜長、やりたいことが沢山あって困ります。みなさまに於かれましては、寒暖の差が激しくなりますので風邪など召しませんように。

では、では 
 
メイ 14才?