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2009 & 2010 Today's image index
今年の落ち葉はちょっと変? 何となくパステル調です。



いつもお隣の地主さんに、落ち葉が散らかっている家の前の歩道を掃いてもらっているので、偶には・・・・と竹箒を担いでお隣の分まで掃き清めさせて頂きました。そこで気付いたのですが、今年の落ち葉は、いつものように色づいていないのです。余りにも長く暑い夏が続いているからでしょうか。色味が飛んでシックなパステルカラーです。これはこれで素敵ですが。。



気付けば今日は九月です。そして、昨日はブルームーンでした。別に月が青い訳ではありません、一月に二度目の満月が訪れることを言います。前回は2010年度、そして前々回は2007年度ですから結構貴重です。うっとり眺めていたら画像に残すのを忘れました。僕の名前は「日出夫」ですが、結構月も好きです。そういえば大分以前にアップした「昼の月」は、未だにたくさんのアクセスがあります。一度「昼の月」で検索してみて下さい。google では、トップページに紹介されることが多いです。画像は、いつも最上段に紹介されていてちょっと気分好いです♪
 
 
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2009 & 2010 Today's image index
September..............何ともロマンチックな響きです。

このシーズンだけしか名曲「September song.」が聴けないのは何とももったいないような。。
そういえば「Remember って何月だっけ?」という同級生の問いに絶句したことが遠い昔にありました。真顔で聞かれると一瞬戸惑います;;


ちょっと話が飛んじゃいましたが、季節の話題は、何となく落ち着いてリラックスできます。



この http://urushi-art.net で、秋をどのくらい取り上げたろう。大好きな夏が終わった直ぐ後なので、どうしてもある寂しさがやって来る。歳の勢もあるかも知れない。。でも、まだ煙が似合うほど秋は深まってはいない。というか晩夏といってもいい。


昨日今日と久し振りの雨。大分前に頂いた鉢の西洋盆栽が、3・4年ほど前の猛暑の夏に枯れてしまっていた。ずっと気になっていたので、夕立の前に姫林檎の鉢植えをホームセンターで求めたものを鉢に移した直後に大きな雨粒が落ちてきた。恵みの雨だった。
毎夕、雑草の生い茂る我が家の庭に水を蒔く。もちろん植木に水をやるためだが、雑草の方が多いので自然のクーラーだ・・・と決め込んで水をやっている;;ゴーヤを家の周りに生やすのが流行っているようなので、ならば雑草も同じ効果があるのではと刈らないでいる、って只の無精なだけです;;;



むかし、中国の古い書物を読んでいたら、春は色とりどりの花々が咲き乱れ一年で一番色に溢れる季節だと思われているが、実はそうではなく、本当は秋の紅葉などの方が、余程色付いている・・・・とあったが、ちょっぴり理解出来る。でもやはり春の方が、赤・青・黄・橙・ピンクと色味は多いような・・・・・・。
 
 
いつものように五霊神社に寄り大銀杏の枝振りは・・・・空を仰ぎ見ると、ほんの少しの鰯雲が混ざり遠くには入道雲。九月の空は、夏と秋が同居している。そして、銀杏の葉は、まだ青々と風に揺れている。まだ夏だ。。少しだけ安心しても風や日射しに秋を見つけている自分がいる。



むかしほど過ぎゆく夏を惜しむことはなくなった。そんな自分をちょっとだけ寂しく思うが、その方が自然なのかも知れない。いや大人になったのだろう、って幾つだよ;;


平均寿命が延びた勢で、最近の年寄りは、二十代も五十代も同じ様な服を着ていて昔のように、ワカメちゃんを子供にもつ波平さんのようなお父さんはいなくなった・・・と藻谷浩介さんが言っていたっけ。このところの僕のファッションも三十代、下手すりゃ二十代の若者と変らない。たぶん全然おかしくないと思う。でも、この前川崎で川崎シニア委員会役員の呑み会に出掛けたが、僕以外は皆さん勤め人なので休日土曜の夕刻なのに、白いワイシャツにグレーのズボンだったのには驚いた。僕だけナイキのハーフパンツに urushi-art.net のロゴ付き鹿の子。でも、吞んでしまえば服などどうでもよくなる。今回のオリンピックでは、なでしこ japan の岩清水がMVPだ・・・・で盛り上がりました。
 
 
夏が好きだ好きだと言ってるわりには、しんみりとした秋はなかなかだと思っている。それに夏は外気温に合せて服を選ばなければならないけれど、秋は着たい服や靴がたくさん選べる。よくよく考えてみると、好きな Jazz も秋っぽいバラードが好きだし、結局「夏が好きだ」と若ぶっていただけかも知れない。



芸術の秋・・・とよく言われるが、何故「秋」なのかは今一つ分らない。やはり秋は、四季の内で落ち着いた季節なので、外からの障害が少ない中で、いろいろ鑑賞ができると言うことなのかも知れない。


芸術の秋で思い出したが、前回紹介したアンドリュー・ワイエスの絵画でもう一つ触れたかったことがあった。それは、あれだけ写実的な描写をするので、よく写真と比べられるのだが、どこが写真と違うのか・・というか写真では撮れない”何か”は、ワイエスの何処にあるのかという本質的問いだ。



と、口で言っても伝わらないので、しつこく粘り強く「薄氷」をネットで探したところ見つかりました。でも僕のイメージだと、もっとカラフルな落ち葉だったのですが、意外に地味でした。以下 ↓ ご覧下さい。
 

「薄氷」 Andrew Wyeth
そう、言いたかったことは、ワイエスの写実画は写真と違って遠景・中景・近景すべてにフォーカスされているということ。つまりカメラでは、特別明るいレンズを使いカメラの絞りを可能な限り絞ってシャッターを切らない限り、遠中近すべてに焦点を合わすことは不可能だ。しかし、絵画の場合、同じ平面に遠中近すべてに焦点の合せた描写が自由に描ける。



カメラに限らず僕らの”眼”も、遠景・中景・近景すべてを同時にフォーカスできる様には出来ていない。遠景にフォーカスすると近景はぼけるし、近景にフォーカスすると遠景はぼける。だから写実画を写真にとって換えることは出来ない。そこが決定的に写真機で撮られた写真と絵画の違うところだ。
 

「海からの風」 Andrew Wyeth
もう一度「海からの風」を視て欲しい。遠景・中景・近景すべてに焦点が合っていることがお分かり頂けると思う。室内も室外ももの凄い日射しの強い光溢れる天候状態なら、こういった写真が撮れないことはない。しかし、実際そういった条件はあり得ないし、レースのカーテンなど「白飛び」といってベタな平面になり、きめ細やかなレース柄などは写真には写らない。カメラとは違って、ワイエスの凄さが返って際だつことが分るはずだ。なので写真が写実画に取って代わることはあり得ない。このことは、絵画がイリュージョンであっていいことが証明される良い題材でもある。

「薄氷」 Andrew Wyeth......部分
 
上の画像は、Andrew Wyeth の「薄氷」のアップだが、よく見て頂くと薄く張った氷の直ぐ真下に泡が見える。この距離で泡にフォーカスすると、普通のカメラだとこの明度では先ず沈んだ葉はもっとぼけてしまう。でも、ワイエスは、存在するものすべてにフォーカスし、それを同一平面に等価に併置する。薄氷も、泡も、落ち葉も、水も、漂う冷気も・・・・ワイエスが、自然界に存在するものすべてを慈しみ、それぞれを等価に愛していることが画面から伝わってくる。



ここまで書いてきて気付いたのだが、ワイエスは、もう一枚これと同じ題材の絵を描いていたのでは・・・・とぼんやり思う。どうしても僕の心に残る「薄氷」は、紅や黄の紅葉が沈む雨水の水溜まりに薄氷りが張っているのだ。そしてもう少しはっきりと、葉の葉脈もくっきりと表現されていた様に記憶しているのだが。。




幻の「薄氷」は置くとして、何れにしろ写真では写せない、あるいは人の眼では視られない風景をワイエスは、敢えて描いているといえる。その意味で絵は、「嘘」≒イリュージョンであっていい。そもそも「ほんとうのもの」を人は視ることはできない。



魚眼レンズという特殊なレンズがある(とても高価です;;)。このレンズは、そのものズバリ魚の眼球に付いている水晶体≒レンズと同じ曲率をもつレンズで、それは丁度凸面鏡に映る風景と同じように風景が視界180°というかグルリと映る。何故そんなレンズが必要かというと、魚が水面に近付くとき一番危険にさらされる。そこで水面上にあるものを一瞬にすべて見渡せることが一番のリスクヘッジになる。自然界は良くできていて、魚の眼球は、そのように特殊なレンズが付いているのだ。


そして、トンボの眼球もまた特殊だ。トンボの目は複眼といって,1万の小さな目である個眼群で構成されている。したがってトンボは魚より凄く、360°グルリと見えているはず。
 
  何が言いたいのかというと、僕らの眼に映る風景は、魚やトンボの見ている風景とはまったく違っているということ。だとすると、どちらの風景が、ほんとうの世界なのか判定は付きません。このことを吉本隆明氏は「原生的疎外」と呼びました。つまり外界(吉本さんの言葉で環界)を視る器官が数多の生物によってそれぞれ違って見えてしまうということは、「視る」という構造の中に普遍性を保障できないというか、誤差を含んで視るしか「ものを視る」ことは出来ないということを宿命付けられているということになります。

この誤差を含みつつ世界を視なくてはならないこと・・・・・それが正しく人間が持つ原初的な疎外で吉本さん曰く「原生的疎外」ということになります。


そして、もう一つ世界を正しくというか誤差なく視ることが出来ない訳があります。それは、自然物としての身体を通してしか外界を視ること(原生的疎外)が出来ないうえに、そこで視た外界を眼球という身体を通して知覚を得、そして物事を構成する訳ですが、それを思考と言っても良いしイメージと言っても良い。要は、あるイリュージョン(幻想)をもつことによってしか外界や内界を認識することはできないということ。つまり、僕ら人間は(もちろん人間だけではなく総ての生物を指す)イリュージョンをもってしなければ世界を認識できないという厄介な事実(純粋疎外)があるということになります。
 
Andrew Wyeth
何だかワイエスとは大分離れてしまいましたが、ここで言いたかったことは、絵画がイリュージョンであることで、その価値を何ら貶めるものではないということです。何故かというと、僕らの世界の捉まえ方そのものが既にイリュージョンをもってしか成立しないという事実があるからです。



(原生的疎外)+(純粋疎外)=(世界の構成)・・・・・・二重の誤差で成り立つ世界



何だか大分理屈っぽく地が出てしまいました;;もう少し分かり易く言えないものか。。
  
Andrew Wyeth
今回ワイエスをとりあげて絵画、そしてイリュージョンについて触れてみました。

改めてワイエスの絵を眺めて見ると、ある意味日本人以上にリリカルで繊細な感性をもつ作家だな~と再認識しました。僕らが普段もつアメリカ人の概念を大きく壊す作風は、世俗に流れるアメリカのイメージが、確かなものではないことを教えてくれます。先日「東京物語」が国を超えて世界の人々に共感を得ていることでも触れたように、一般に流通しているイメージ(マスコミが流すイメージ)は、あまりあてにならないということでしょうか。できれば自分の眼で確かめることが一番大切なようです(残念ながらアメリカ人の友人をもったことがありません)。



ワイエスは、生まれ故郷のペンシルベニア州と、別荘のあったメイン州から外にほとんど出なかったという。身の回りの何気ない日常に題材を見いだし、そこにリアルな現実を感じていた。そして、彼は言う「私は秋と冬が好きだ。その季節になると、風景の骨格が感じられてくる。その孤独、冬の死んだようなひそやかさ」...............。
 
Andrew Wyeth
ここまで来て、ワイエスの絵画は、写真のもつリアリズムとは違うことをお分かり頂けたと思う。くどいようだが、カッティングしたかのような月↑と氷柱を僕らの眼は同時にフォーカスできない。でも絵画は、何の矛盾も感じさせずに総ての事物にフォーカスして描くことが許される。そこが、絵画がイリュージョンたる所以だ。そして、そこにこそ僕らは「真実」をみる。



「本当のこと」を表現するには、大きな嘘を媒介にしなければならない・・・・・ちょっと気取った言い方ですが真実ではないでしょうか。



 
Andrew Wyeth
ここで紹介したワイエスの作品も素敵ですが、もっと心の深いところに届く名作が幾つもあるのです。

ほの暗い納屋?の窓辺の下に縁の分厚い石造りの水槽がある。大きな 水道の蛇口から出続ける水が、今正しく満杯になり水槽から溢れる寸前の一筋を描いたもの・・・・・など是非とも紹介したかったものがあるのですが、ネットにはアップされていませんでした。残念ですが、今度機会がありましたら是非ともご自分で探し当てて下さることを願わずにいられません。

Andrew Wyeth
 今日も昼間は30℃を超えていましたが、朝晩は、ひんやりした風が部屋を抜けてゆくようになりました。季節は既に、秋に気付いてしまったようです。。 


では、また。
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「1946年の冬」...........Andrew Wyeth