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冬が長く春が待ち遠しかった。今年の桜の開花は、昨年の花見の”自主規制”のこともあり、みなさん何か特別な思いで眺めているような・・・・。 北国の人びとが、春を待ち焦がれる気持ちが少しだけ理解できた。その分、いつもより桜の色味が濃く見える。 |
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個展準備で、あまり浮かれ出てゆくわけにはいかないでいる。それでも、今を逃しては一生の不覚とばかり、一眼をもって、いつものように自転車でご近所を回遊。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
桜という植物が、なぜこんなにも人を惹き付けるのかは謎だが、単純に見てくれだけで言っても花付きがたっぷりとして尋常でなく豊なところが魅力のひとつか。 こんな風に沢山の花を付ける樹木は他に見あたらない。 一本の樹に、まるで淡雪を覆い被せたかのように咲く呈は、遠くから眺めても一輪の花ではなく、一群れの塊として美しい。この枝の下を抜けるときに、何やら樹霊が降りてくる気配すらする。 |
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この月曜日だったか、二階でかみさんが呼ぶので行ってみるとNHK『プロフェッショナル』をやっていて六本木『龍吟』の山本シェフが取り上げられていた。昨年、ミシュラン3つ星に輝いたことは知っていたが、今や時代の寵児なんだ・・・・と画面を眺めていると、「たった一本のキュウリをお客さんに差し出すだけでは、それはただの食材でしかないけれども、これをポキッと半分に折って差し出せば、そこから、これは立派な料理として成り立つ・・・」。なるほどと合点して画面に惹き付けられてしまった。 実はこの『龍吟』さん、今息子が追加オーダーを受けた錫刷毛目茶托の下地を手掛けている最中だが、他にも折敷などを使って頂いている。 中学卒業と同時に調理人の世界に入ったと言うから、大工牧野と同じで、本物は有り体の学歴どなど邪魔でしかなく、何とも次元が違っていてすげーなーと素直に感心した。 そう言えば、近現代で僕が尊敬できる日本の作家は、唯一斉藤義重だけなので(義重さんは小学校しか出ていません)、何やら深い共通点があるようで、「これっ」と自分のやるべきことが定まった人間は、迷いなくその道を究める覚悟で臨み、それ故現場での実績以外の付加価値を自分に付けないところに潔さを感じる。 これだとまったく逃げ道がなく、その道を究めるしか、他にとるべき道がないよう、塞がれた状況を敢えて作っている様にさえ感じてしまう。そこが凄い。 |
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(落書き錫研き折敷) |
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さて、桜に話を戻します・・・・・ 一年を通して今頃の山肌が一番好きだ。そこは、淡くパステル調の色合いで、よく見ると多種多様な色で溢れている。秋、冬、そして夏、それぞれの色合いがあるけれど、春四月の山肌が一番豊かな色を見せてくれる。一見霞んでぼやっとしているようだが眼を懲らして見ると、そこは何いろとは呼べない微妙な色で充溢している。 そもそも「色」とは、白川静氏の字統によると「ひざまづく人の後ろから人が抱き相交わること」とあります。つまり、その何と言いましょうか、あれなんで、いや、まあ...............えっと・・・郵便的な、余りに動物的なと言いましょうか、所謂まぐあい、バックスタイルですね。その様のことを言います。 春・・・・・芽時、動物で言えば”盛り”にあたりますから、最もエネルギーを蓄えている生命力に富んだ時季にあたります。それ故、豊饒なる色に世界は染まるのでしょう。 色気・色っぽさ・色情・色事・・・・・性に纏わる漢字に「色」の文字を充てるのには、この文字の出自から来ているのが分りますが、春が色に満たされるのも、そういった摂理から来ているようです。 |
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(ご近所) |
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桜は、パッと咲いてパッと散ることで、儚さや潔さのメタファーになりますが、そうこうしているうちに女心と春の空よろしく、本日は雨模様。満開を過ぎた桜の花弁も雨を含んで牡丹雪のようにゆっくりと散りつづけています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
一晩経って今朝は快晴。 窓ガラスには、昨夜の滴が残っています。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
「春の光は、石のやうだ」 |
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悲しき朝
河瀬の音が山に来る、 春の光は、石のやうだ。 筧〈かけひ〉の水は、物語る 白髪の嫗〈おうな〉にさも肖〈(に)〉てる。 雲母の口して歌つたよ、 背〈うし〉ろに倒れ、歌つたよ、 心は涸〈(か)〉れて皺枯〈(しわが)〉れて、 巌〈いはほ〉の上の、綱渡り。 知れざる炎、空にゆき! 響の雨は、濡れ冠る! ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ われかにかくに手を拍く…… (山羊の歌 中原中也) |
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書く内容に統一性が保てなくなってきました;;; 個展が間近に迫ると余裕がなくなりこういった流れになりますので、あしからず。。 | |||||||||||||||||||||||||||||||
桜の話題にピリオドをうつのは寂しいのですが、季節は無常に過ぎて行きます。 あっ、そうそう新gallery『館・游彩』が、この13日にオープンしました。個展準備でプレオープンには顔を出せなかったので未だ全貌を見ていません。テーブルの納品時に各部屋を案内されたのですが、備品は未だだったので総てが出揃った状況は確認出来ず、この個展が済んでからゆっくり伺おうと思います。 館・游彩の blog がありますので、そちらをご覧頂くとちょっぴり中を覗けたりします。 http://ameblo.jp/persia-blue/image-11224834446-11919556003.html さて、いよいよSAVOIR VIVREでの個展です。次の更新は、21日のオープン以降になると思います。たまの六本木を冷やかすのも身体に良いかも知れません。 では、お待ちしています。。 |
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