『マラルメ詩椀』
 
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  二十年前の『マラルメ詩椀』です。



SAVOIR VIVREが 六本木AXIS の2Fベルエタージュ(西洋骨董店)を兼ねて運営していた頃、ストライブ柄のコートを御召になりスタイルのいいミニスカートの奥方を連れ立って来店なさったご夫婦がいました。お名前は建築家(現在は東京芸大教授)北川原 温さんご夫妻。


僕の『中也詩椀』をご覧になって「中也の詩もいいが、マラルメの詩を書いてもらえないだろうか」と頼まれて作ったのが上の画像↑の『マラルメ詩椀』です。当時は一部緑錆が湧いていたはず。
 
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マラルメの詩
  確か、「マラルメ」と聞いた僕は、咄嗟に「それは簡単でいいですね」と冗談を飛ばしたのを覚えている。それは、『マラルメの白紙』といった例えがあるように、絵画で言えば真っ更なキャンバスが一番美しいと感じること。つまり吉本隆明さんも言うように「沈黙」が最も饒舌な詩であることがありうるからだ。マラルメは、正しくミニマルの先がけで「何も書かない」ことの饒舌さをよく知っていた詩人だ。



結局、僕の冗談は外した感だったけれど、ものすごく自由な心持ちで、後日渡されたマラルメの一遍の詩を緑青を湧かしながら描いたことをよく覚えている。


先日、このお椀をお持ちになってSAVOIR VIVREを訪ねて下さり、新規にお祝いでお使い物にしたいので、同じ椀で、何か適当な詩をみつけるので、今度は僕の最近の古文字に使う錫粉で描いてもらえないか・・・・ということでした。
 「是非、その当時の椀を見てみたい!」・・・・ということで、わざわざSAVOIR VIVREのオーナーに届けてもらったという次第です。


20年以上前の「マラルメ椀」は、思いのほか大らかで大胆なのに驚き、若かった頃の作品に気をもらいました。

とても大切に、かつ頻繁にお使いになるということで、早めにお返し願いたいと念を押されました;;;(誠にうれしい限りです
♪♪)
 
   
  未だに、椀に古文字はもちろん、文字や詩を描く作り手には出会ったことがない。北川原さんは、当時から、僕の「詩を描く」ことの意味と狙いを理解して頂いたていたようで作家冥利につきます。そういった背景があって、アクション・ペインティングのように漆をヘラ引きし、さらにブロンズ紛を蒔いて腐蝕させるという、けっこう大胆で自由な表現が可能だったように思います。


そして、ここまで大切に使われていることに感謝すると共に、内側に塗った「渋朱」が20年以上を経て真っ赤に発色しているのにも驚かされました。まるで古代朱のように明るく発色していました。
 
STЁPHANE  MALLARME


















万葉英字落書Cup・・・・万葉集部分













万葉英字落書Cup・・・・・落書き部分
 
  そして、STЁPHANE  MALLARME の文字も背景のヘラ引きもいい調子です。よくかんがえたら、このコンセプトは今でも生かされていて「万葉英字落書Cup」に繋がっているようです。  
   
  すみませ~ん。仕事とサッカー(プレーと役員)でフリーズしていました;;

先日、ようやく雨の中『館遊彩』のテーブルが仕上がり納めることが出来ました。

かみさんのシエンタに積載して、久し振りにゆったりとドライブできたのは好いが、カーナビがピンポイントで案内してくれないので、目の前が現場なのに、その周りを三周し「あれ~。。仕方がない電話で聞くしかないか;;」と携帯に手をやると..........目の前が館遊彩  ><  視野狭め~,,,,,



いつもは急いでいるときが多いので、逗子駅から近い日影茶屋のロールケーキですが、今日は本物の逗子のケーキ「珠屋」のピーチロールを雨で渋滞の中、銀座通りに割り込み駐車してゲット。その甲斐あって喜んで頂きました♪



届け終わって家に帰ると直ぐ、館遊彩さんから電話。「男椅子」「女椅子」「子供椅子」をgalleryに用意したいんだけど男椅子が決まらず思案していたところ、獅子頭を彫ってみてはどうか・・・・となって東さんなら彫れるのではと電話した・・・・とのこと。「僕はプロですから」と即答し、「とてもいい獅子頭が、確か興福寺の四天王の多聞天が身につけていたはず・・・後で資料を送ります」と、前々から一度トライしてみたかった獅子頭を紹介しました。



実は、興福寺の四天王は、好い画像が無く、それ以上に良い出来の『薬師寺東院堂 四天王 増長天』が身につけている獅子頭を紹介しました。それが↓↓です。
 
 
薬師寺東院堂 四天王 増長天














足・・・・履き物の獅子
 
  どうです。格好いいでしょ。




そうそう、上の画像・・・・下駄と骨折ギブス用の靴が写っているやつですが、先日「ギブスの中がつっている」と訳の分らないことをかみさんが言うのです。そんなことあんのか~と思いましたが、でも、よくつるのです、かみさんは。

草木も眠る丑三つ時  「アアアァッ・・・・」と奇声とも何ともつかない淫靡な声を発するから  何だ何だ、間男でも・・・・と横に目をやると七転八倒で足を痙っているかみさん。。そう、よく痙るんです足が。ギブスの中の足が痙ると言われても「ギブスの中の足が痒い」といってギブス本体ををボリボリ搔くようなもんです。為す術なしであります。お陰で毎朝社長出勤よろしく愛車のミニで職場まで送り届ける毎日です。このところ寝坊が続き高速をぶっ飛ばしてます;;;
 
 
(獅子図面)









(亀紋合鹿椀下絵)
 
  さて、いよいよSAVOIR VIVREでの個展が迫ってます。 タイトルは「KAMAKURA」.



久し振りに「彫り」をテーマにした個展です。

彫りのリクエストは多いのですが、何ぶん手間と時間が掛るので普段は避けてます。今の日本のマーケットの構造では、そう高い価格は付けられないので、やればやるほど赤字という風になります。従って、僕以外に漆器に彫りを持ち込む作家は見あたらない・・・・と言うことになります。



僕は、鎌倉彫出身ですが、そもそも「鎌倉彫」と謳った名称は、過去の資料には見あたりません。それもそのはず、「鎌倉彫」という名は、戦後「お教室」としてサロン化して、アマチュアの方々を対象にしたお稽古事を本格的に始めるにあたって付けられた名称だからです。



鎌倉彫のルーツは、元々は仏師ですから、そもそも彫りは上手くなければウソです。ただ、近代国家を指向する明治に、神道を日本の精神の核とすることで国をひとつに纏めよう・・・・ということから、仏教は信じてはならない、として廃仏毀釈なるお触れを出され、仏師はその職を奪われました。もの凄い変革でした。仕方なく先人達は、そのスキルを日常使の工芸に転用することで延命を図りました。パリの万博に出品し賞を得たりすることで付加価値と名を売ることも彼らなりに考え、今日の言い方で言えばマネージメントも真剣に考えたといえます。



でも、近代とは、来るべき大衆社会に向け、大量生産への指向が、製造の効率をどんどん上げることを要求する必然をもちます。装飾の塊でもある「鎌倉彫」は、謂わば手間の掛る前近代的手工芸ですので、ミニマルを指向するモダンの中では、趣味の悪いキッチュな遺物に貶められてしまいます。

ただ、モダンも過ぎ、もはやポストモダンも陳腐に見え始めてきた今、「装飾」が人間の表現にとって重要な表現領域であることは、以前ほど抵抗なく認められて良い状況にはなってきているように思えます。


先日、上記しました獅子頭をもつ「男椅子」のデザインの構想で、請け負った若いデザイナーの方に次のように伝えました。


モダンなデザインは、基本ミニマルを指向するベクトルをもちますので前近代と対極にあります。そこに、まるで木に竹を接ぐように有機的な古典の意匠を持ち込むわけですからコンセプトとしては、ぎりぎりポストモダンという範疇で取り組むのが間違いがないかな・・・と考えます。

モダンには、強い倫理観がありますから、ポストモダンにモードを変えるとき、無意識をコントロールするのが、とても難しいと思いますが、ここは悪いことを悪戯っぽくするという具合に、心をコントロールして欲しいところです・・・・・。
  
 
「獅子牡丹唐草紋彫り椀」
  今年は、息子のサポートもあり、あっさりと確定申告を e-Tax (電子申告)で済ませ、僅かばかりの税金をネットバンキングで納め終了♪ 途中疲れも出てきたのでコンビニで、しこたま 駄菓子を買い込み、計算疲れする前にパクパクむしゃぶりつくと元気が出るので今年は上手く乗り切った...........のでフリーズしてました(申し訳ない)。


それにしても「よっちゃん」イカは旨い! でも、ラムネは昔の方が酸っぱくて旨かったような。。



ということで、更新が遅れがちであるにも関わらずアクセスして下さる方が多く、誠にもって忝ない。

そして、このところ韓国から?のアクセスが多いのに驚いています。本国からなのか、在日の方が翻訳して下さっているのか、ハングル語に訳された僕の http://urushi-art.net に結構なアクセスがあります。たぶん、在日の方がこのHP(http://urushi-art.net)をご覧になって面白いと思って下さったのでしょう。

あっ、これはサーバーのサービスでアクセス解析のデータを見ることができ、そこで分ったことです。昨年の暮れ辺りからでしょうか、週に数百件のアクセスがあるようになったのは。
事情がどうであれ韓国にリスペクトしている僕としては嬉しい限りです。僕の言葉の端々と、その行間から朝鮮文化としての奈良が好きなことを読み取って下さるのでは・・・と勝手に解釈しています。

このサイトが ↓↓ です。



http://translate.googleusercontent.com/translate_
c?hl=ko&prev=/search%3Fq%3D%25E6%259D%25B1%25E6%
2597%25A5%25E5%2587%25BA%25E5%25A4%25AB%26hl%3Dko
%26biw%3D760%26bih%3D448%26prmd%3Dimvns&rurl=translate.
google.com&sl=ja&twu=1&u=http://urushi-art.net/index/
2007/00.html&usg=ALkJrhi-rNEbYVZCy3xzDyiCp5wW6tCGCA
 











「室町古典椿紋彫椀」
 
  さて、いよいよSAVOIR VIVREでの個展が来月に迫りました。本来ならば昨年の今頃開催のはずでしたが震災で流れました。



今年はその分も取り戻すべく、最も僕らしく「KAMAKURA」と銘打ち、徹底して手間の掛る木彫を試みたいと思います(個展にお出掛け下さるみなさま、値が張りますので貯金をして於いて下さるとありがたいのですが。。)。


リクエストの多い亀紋彫り合鹿椀も出ます。
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続・明日香・斑鳩 
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  さて、冒頭で紹介した北川原 温さんご夫妻がお持ちの『中也詩椀』の画像がSAVOIR VIVREから送られてきました。

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケットボールする。

私は目をつむる、
  かなしい酔ひだ。
もう不用になつたストーヴが
  白つぽく
びてゐる。

朝、鈍い日が照つてて
  風がある。
千の天使が
  バスケットボールする。

   
  「中也詩椀」の詩も、以前は「盲目の秋」など、今回の「宿酔」も含め随分書きました。何だかまた中也の詩が書きたくなりました。



さてさて、個展も間近です。北川原 温さんご夫妻が、著名な建築家と、ある評論家の方に記念品として僕の椀をお贈りしたいとのことで、先日、詩をもってSAVOIR VIVREにお越しになりました。リクエストの詩は「万葉集」 大伴家持が詠んだ・・・・・



山吹の花の盛りにかくのごと君を見まくは千年にもがも



原文: 夜麻夫伎乃 花能左香利尓 可久乃其等 伎美乎見麻久波 知登世尓母我母  



原文もいいです。

意味: 山吹(やまぶき)の花の盛りに、このようにあなた様にお会いすることが、いつまでも続いて欲しいものです。

天平勝宝(てんぴょうしょうほう)6年3月25日、橘諸兄(たちばなのもろえ)が山田比売島(やまだのひめしま)の邸宅で宴会をしたときの歌です。(たのしい万葉集より)

 










  いよいよ個展です。


頑張りまっす!
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