薪窯焼成  
 
常滑レポート index
08/03  薪窯焼成 
 燕の巣造り
売れてなんぼのもんや 
至福の時間
フェスティバル 
研修生
無常
春が来た 
歴史的新年の閃き




2005~2010 常滑レポート index
陶芸研究所では、6月最後の週に今年度はじめての薪窯焼成を行った。窯詰めに一週間かけ、焙り焚きを一昼夜、薪に切り替えて三昼夜という焼成は楽なものではない。

技師、研修生、OB、OGなどがチーム陶研として窯焚き事業に携わる。薪だけで予算は20万円弱はかかっているのだ。
摂氏1200度という熱量が及ぼす粘土の変成作用は、やはり半端なものではない。そして、その燃料が古代以来の薪であることにも進化論の視座を無視する文化論的意義が認められようと想われる。


梅雨の末期、連日35度という外気温が報道される時期に窯焚きを行うのだから、いささか狂気の沙汰でもあったが、研究所開設50周年イベントなどが控えており、やらないわけには行かなかったのだ。

常滑は明治末期に薪から石炭へと燃料を切り替え。昭和40年代に石炭から石油に切り替えさらに電気や天然ガスというエネルギーを取り入れて産業としての焼物造りを続けてきたのであった。


薪へのこだわりは作家においてもさほど無く、急須は電気の窯に移り、釉薬物は石油やガスに移行していった。
常滑市民俗資料館





薪窯の味を再発見したのが陶芸研究所の活動であり、平安末から鎌倉・室町に至る古常滑の発見と評価という活動に連動していたのだった。そして、その味わいは急須作家にも移転して、人間国宝になった三代常山も最高級の急須は薪の自然釉が掛かる物としていたのだった。
  
窯焚きに付き合ってみると、その大変さが良く判る。ガス窯ですら、なかなか思うに任せず苦労している様を見ることがある。いわんや薪においておやである。しかし、その一方で苦労すれば、それだけで人が認めてくれるのかというと、また話は別であろう。


その苦労を敢えてするだけの価値があると思える作品こそが、大事であろうし、それを認めてもらう努力もまた必要になろう。薪窯は窯の神様とのコラボレーションであり、いかにして神様が微笑んでくれるのかに、焚き手のテクニックが発揮されるのだと思う。
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窯焚きの手伝いに作家の卵たちはバテ気味であったが、3日ほど置いての窯出しはまた格別なものがある。卵たちの作品も入っていたのだから。そして、けっこう様になった作品が出てきたりする。神様は微笑んだのかもしれない。  page top