相変わらず常滑の焼き物業界には景気の良い話がない。その一方で観光客は目だって増えているようだ。常滑をロケ地に選んだ映画やドラマが最近は話題に上るし、情報番組で取り上げられた店などは相当に売り上げを伸ばしているという。



いろんな人が集まるところから次の展開も生まれてくるのだと期待したい。陶業振興を目的として設立されたコンペで入賞する連中の多くが60代というのも皮肉な現象だが、彼らが培った経験や技術や表現力を受け継ぐ若手がいないわけではない。



商店の方でも東京ドームのイベントに乗り込んで常滑焼の急須を売り込もうと計画中だという。かつては市の財政からもそうした動きのかなりの援助が行われたように聞くが、ここのところの地方財政の悪化の波は常滑にも押し寄せつづけて一向に明るい展望が開けないのであった。
息子の学校の事業に参加して飛騨路の白川村に製材の廃材を利用した発電所を見学に行ってきた。エコロジー活動の具体例である。話を聞けば廃材は発電を維持するには量が足りず、建築廃材も近年では紙の原料などにかなりの量が回されるのだという。運営はかなり厳しそうであった。
常滑市民俗資料館
道中、道の駅で買い物をすることになったのだが、漬物やら山の珍味類のみやげ物の袋の裏を見ると原材料:中国というのが結構あって驚く。道の駅で売ってほしくないものであった。時代だなあと感心することしきり。



スーパーで弁当のために梅干を買おうとするのだが、てごろな大きさの梅干はどれも原材料:中国とあって、和歌山産とか紀州産を歌った梅干を買うとあまりに立派で大きすぎるのであった。



にんにくなども料理で使いやすくて100円で3玉もネットに入ったのは中国産で、となりの青森産は1玉300円ほどの値段で芸術的に大きなピースが集まっているのだが料理に使うにはいささか立派すぎるのであった。
なんだか皮肉なものだなあ、と大きすぎる梅干に口をすぼめ立派なニンニクスライスを乗せて食べられる鰹の刺身をスーパーで捜すのだが、このごろスーパーのお刺身には艶出しコーティングがされていて買う気が萎えてしまうことが多くなった。なんだかなあという感じだ。



道の駅から美濃路に進路を変えて瑞浪の超深地地層研究所を見る。原発で発生する核廃棄物の採集保管場所としての超深地を研修する機関であった。独立行政法人というが国家そのものを感じた。不景気などどこ吹く風という雰囲気。
常滑市民俗資料館
工芸が国家的プロジェクトになったことはなかったように思う。明治期の外貨獲得を目的とした輸出品生産では国の意向が働いてはいたが、あくまで奨励の域にとどまっていたのではないだろうか。



もっとも、国が関与しなかったからこそ多様性が保障されてきたともいえようか。超深地に物凄さはあっても美しさは見出しがたいし、なんだか大友克洋のAKIRAを後追いしているようで滑稽さも漂っていたように感じたのであった。