あけましておめでとうございます。
 昨年暮れに個展があったため更新が遅れ、申し訳ありませんでした。今年も多少堅くて読み辛いCOLUMNになりそうですが、懲りずに見て下さるようお願い致します。なるたけ読みやすくなるよう努めますので今年も宜しくお願いします。

石原慎太郎とのこと  1月4日

 昨年暮れ、都内田園調布の「ギャラリー仲摩」で個展をした。会期半ばの日曜日に、フラッと都知事の石原慎太郎氏が画廊に寄った。
 リラックスした様子で、先方から話しかけてきたので「今日はお休みですか?」と、間抜けな僕の問いかけに,「だって、日曜日だぜ!」とテレビ画面のまんまの「慎太郎節」が返ってきた。仕事と私事を峻別するその姿勢は、半ば予想できたが、案外すがすがしくとても好感が持てるものだった。
 折角の休日は、非日常を自分の内で充実させようとでもいっているような氏のスタンスは,次々とテンポよく話しを展開させた.
 僕は20代の始め,父親との間がしっくりいっていなかったこともあり、自分の内面に理想としての父型のイメージ像を結べていなかった。その間隙を埋めるべく、父権の象徴を“売り"にしていた“慎太郎”の言動は、当時の僕にとってとても刺激的で魅力があり、人の「弱さ」を「積極性」に変換する術を氏から学んだ。
 そう言うわけで小説を除き氏のエッセイは殆ど読破していたので、画廊内で氏の口から出る言葉のバックボーンを僕は殆ど掴んでいて話しはとてもスムースに行った。氏が学生時代サッカーをしていたこと、そして、そのポジションがウィングだったことも30年前、既にリサーチしていた。30年近く前、氏が最初の都知事選に出馬したとき、彼を推した関係者の中に小林秀雄がいたことを聞かされたときも、僕の鎌倉彫の修業時代、毎朝ジョギングの後、鶴ヶ岡八幡宮境内でクールダウンしていると早歩きで散歩している小林秀雄によくあ会ったことを聞かせたところ、目を細めて氏を懐かしんでいる様子だった。
 その他、環境に優しいといわれる新燃料「ガイアックス」に関しても聞いてみたところ、安定供給が難しいことがネックになっているので今のところ都での使用は考えていないとの返事だった。
 文学・美術・政治等、文化全般に渡る氏との会話は、概して楽しく少年のようにナイーブな氏との会話のやりとりは、マスコミで都合良く紋切り型に造られた“傲慢な”?イメージとは、おおよそ似つかないものだった。なんて素直で初々しい感性を持ち続けている人なんだろう、といった感想がすんなり持てる好人物だった。
                               
                                          合鹿椀と個展風景

 結局、僕の気に入っている合鹿椀を二点をお買い上げいただき、その内一点を是非持ち帰り、その日の晩ご飯で使いたいとの嬉しい「我が儘」を残して爽やかにお帰りになった。
 帰りしな「早く芸術の世界」に帰りたいとのニュアンスの言葉を残して行った氏の後ろ姿がとても愛おしく、正直で生な氏の素顔を見た気がしてとても嬉しかった。
 
 氏には、行政だけでなく表現全般で、是非ともクリエイティブな構造改革をしていただきたい。

慎太郎ガンバー!!

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