ジカメがおもしろい   2月20日

 関心を持ってから何年経つだろうか。ついにデジタルカメラを手に入れた。カメラ雑誌CAPAの編集部や、WEB SITE でデジカメのデーターを徹底して収集した(おかげでインターネットの契約量を大きく超えてしまった)。まず、各機種の性能(レスポンスを含む)の情報を可能な限り集め、その裏をとるため雑誌編集部に電話をして「実は各機種の性能を比較検証する作業の際、限られた取材時間内での時間に追われた状況で一番重要に思えたことは、各カメラのレスポンスです」と聞かされた。性能は各社ドングリの背比べなので、残されるのはレスポンスに絞られるというのは納得できる。そういった条件を一番満たしていたのが CASIO QV-2000 UXだったようで、他の人気機種は、二枚、三枚と撮っていくと、やたらかったるく原稿の締切が気になる中でかなり苛ついたそうだ。ただ、カメラのサイズが大きいのとデザインがいま一つとも言っていた。僕は好きだが、この事とCASIOのイメージが重なることも事実だ。ただ、それを補って余りあるのがコストパフォーマンスだ。200万画素クラスで4万円台は他にない(人気機種の半値に近い)。それにデジカメがこのあと加速度的に進化するのは目に見えている事を考えると、入門機としては文句無しだ。様々な要素を鑑みQV-2000UXに決定し、ヨドバシカメラで購入した。インターネットで購入すると店頭価格よりさらに3000円安かったが、今回は現物を見たかったので横浜まで出掛け、一応他の機種にも目をやった後で、店員にも意見を聞き購入した.使ってみて驚いたのは、その画像のシャープさと質感のリアルさだ。僕はカメラ好きで、性格的に特にシャープさが一番気になる。過去に3タイプの中判カメラを使った経験も持っている。しかし、自他共に認めるデジタル人間であることもあってか、デジカメでの画像はプリントアウトしたものでも充分満足のいくものだった。さらにUSBから取り込む画像のソフト(Photo Loader)は使い勝手が抜群だ。これだけ褒めたらCASIOから何か貰ってもいいくらいだが。それは冗談として、とにかく自宅にパソコンというラボ(現像室)を用意できる訳だから、自在に加工が出来、又デジカメが持つ機能として、撮った写真をその場でチェック出来、失敗作はその場で消去出来るのも物理的、経済的、精神的にエコノミーだ。しかし、デジカメ購入を決意するまでの経緯はそう単純ではなかった。愛機でもあった中判カメラや、手巻き上げ式のクランクノブと、上からのぞき込みピントを合わせる奥ゆかしさが気に入っていた二眼レフカメラの名機YASHIKA-Gマット125を売却してデジカメ購入資金に充てたのは、心の奥底で大切なものを失ってしまったようなしこりが残っている。ただ、彼ら名機がずっと棚に眠っていたのも事実なのだ。やはり使う頻度が一番高いのは、35mmのミノルタ α-507一眼レフで、最近ではミノルタのコンパクトカメラを持ち歩くのが日常になった。これが一眼レフとの違いが分からないほどシャープに仕上がるから困る。



(我庭の枯葉)    CASIO/QV-2000UXにて撮影
 

 銀塩カメラは、行き着くところまで行き着いた気がする。それに、このところパソコンでグラフィックを楽しんでいるが、生来の無精で筆を洗ったり、バケツを片づけたりする時間が惜しく、ほとんど絵の具を使って絵を描くことがなくなっている。このことは写真に関わる姿勢にも同じ事が言えて、暗室の設備や現像液等の段取りの手間を惜しんでしまうのと似ている。このような傾向は、自分の職業が漆芸であることに深く関係しているかも知れない。それは、実際に刷毛を手にしてものを塗る迄の段取りの多さと、気の遠くなるほどの手間の掛かりように、何処かで落とし前をつけたい欲求が僕自身の無意識にあるのだろう。このことが、ヴィジュアルが極端に先行しそうな傾向に待ったをかけてバランスをとり、消失しそうな身体性をかろうじて確保していると言えるかも知れない。無論、機械いじりが好きでメカに強い(車検も自分でやります=以前はブレーキのシリンダーや、キャブレターはおろかディスクブレーキのオーバーホールまでやりました)という性格も反映していると思うが。
 今回「デジカメが買い」と直感したのは、あるPC雑誌にCCD(普通の銀塩カメラのフィルムにあたるもの)の特性について、専門家が詳細なデーターを挙げつつ述べた記事を見たことが大きい。そえによると、300万画素に近づいた段階で画素サイズを小さく落とさなければ成らなくなり、単位画素が持つノイズの数と描写力の均衡が崩れてしまうことを指摘していた。つまり、レンズを通して入ってくる光による像の描写力の限界が、画素ピッチを越えてしまうことにより、結果的に200万と300万の画素数による違いが、プリントの結果として出てこないと言うことに理論的になる。そして、画質は画素数ではなく画素サイズであると結論づけていた。この意見が(PC USER 2/8号、P.101 筆吉田正太郎)、長い間時期を待ち、今が買いだと決断させた主な要因だ。だが技術の進歩は、恐らくこの課題を近々あっさりと超えていくことだろう。現に、昨年暮れFUJIの技術陣が、画素形態を矩形から亀甲形に変えることにより、単位面積当たりの画素数と画素サイズを増すことで、ノイズを増やすことなく画質を上げることにに成功している。それにしてもデジカメは楽しい。購入を控えている皆さん、デジカメは200万画素でOK.この春、各社一斉に300万画素クラスを出し、値崩れを起こした段階で「買いです」!!

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