喫煙と禁煙      1月27日

 ついにアメリカでは、たばこを販売する場合、パッケイジの半分を割いて癌に冒された肺や心臓の患部の写真をプリントすることを義務付けることを法制化するらしい。かつて禁酒法を創った国なので、たばこに関してもこの後どういったところに落ち着くのか予測もつかないが、なんだか少しヒステリック過ぎやしないかと思うのだが、皆さんは如何お考えでしょうか。「人は他者を発見したとき(あるいは、自己が社会化された時と言ってもいいかも知れない)酒・たばこ・コカイン等の意識を麻痺させる嗜好物を必要とするようになった」。これは、以前から僕が持っている持論だ。他者と自己の乖離を「疎外」と呼ぼうと、なんと呼ぼうと勝手だが、人が自己と他者のずれを強く自覚し、且つそれは如何ともしがたく、どのような意識を持ってしてもそれを埋め合わせることは出来ないと認識したとき、人は酒やたばこを発見せざるを得なかったと僕は理解している。人間は神ではないので正の部分だけで出来ているわけではなく、負の遺産も引きずりながら生き続けていかなければならない。つまり、アメリカが負の部分を隠蔽して、いくら表向きの健全さを演出しても、無意識に沈潜した人間の本質でもある不健康な心的領域を、何らかの方法で解消しないとアメリカはかえって不健全になるように僕には思えるのだが。健全さの象徴でジョギングする人の後ろを、覆面を付けたストーカーがつけているといったような笑えないシチュエーションがイメージ出来てしまうのだが・・・・・・・。早急にたばこに代わる何かを見いださなければ、アメリカの猟奇的事件は後を絶たないように思う。

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